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第2章 動く運命の前兆
第14話 対決・元勇者パーティー魔法使い①
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ザッ
俺とラルフルは川辺で向かい合いお互いに戦いの構えをとっていた。
確かに俺にできることなら手を貸すとは言ったが、ラルフルが俺に稽古をつけてほしいと言い出すとは……。ラルフルとしては魔法に代わる新しい戦い方を身に着けたいらしい。そうすれば自信もつくとかなんとか……。
ラルフルの言いたいことは分かる。強くなるために俺に教えを乞うのも分かる。
だが俺には他人に物事を教えられるような器用さは無い。断言できる。無い!
それゆえに断ろうと思ったのだが、ラルフルの真剣なまなざしに押されてしまい試行錯誤の結果、実戦形式という形で稽古をつけることになった。
「なあ、ラルフル……。一応こっちも加減はするが、さすがに危ないんじゃ……」
「いえ! 大丈夫です! 自分、こう見えて結構体力に自信はありますし、実際に戦って覚えられるならそうしたいです!」
ラルフルの純粋で真剣で必死な瞳が重い……。
元は勇者パーティーで魔法使いをしていたほどの実力者だ。形は違っても"戦いでの強さ"への憧れは強いってわけか。
「そこまで言うならよーく俺の動きを見ることだな。そしてその目で俺の技を盗め」
「すごく稽古っぽいです! よろしくお願いします!」
ラルフルが一層気合いを入れる。
俺の気が一層重くなる。
違うんだ、ラルフル。ただ単に俺が言葉で教えられる自信がねえだけなんだ……。
もうこなったらとりあえずラルフルと戦ってみるしかない。
「よし。それじゃあ俺に一発殴り掛かってきてみろ」
「え? 自分から攻撃するのですか?」
「俺が使える技の一つを見せてやる。全力で構わねえから打ってきな」
俺は<ボクシング>の構えをとる。
「そ、それでは…… ヤァアアア!」
ラルフルが全力で俺の頬目がけて殴り掛かってくる。完全に素人のパンチ。動きを読むのは簡単だ。俺は上体を反らせて軽く避ける。
「!? こ、こんな簡単に避けられるなんて……!?」
「ほら。もっとガンガン打ち込んできな」
ラルフルは俺に対して次々にパンチを繰り出すが、それを上体を反らせたり、頭を左右に振ったりして難なく躱す。
<スウェー>と<ウィービング>。ジャンから貰った本で読んだが、<ボクシング>のスタイルにおける基本的な回避動作らしい。ラルフルは小柄なため、下手に攻撃を受け止めるよりも回避からの反撃のほうが効果的と考えて俺は<ボクシング>をラルフルに見せることにした。
「そして避けたところで隙だらけの相手に……パンチだ」
「うわっ!?」
俺はある程度攻撃を避けた後にラルフルに軽くパンチを放った。もちろんスピードは抑えて。
だが、俺の放ったパンチをラルフルは上体を反らして回避してきた。
そう、まだ未熟ながらも俺が使っていた<スウェー>を使ってきたのだ。
「なるほど! これなら少ない動きで反撃にも転じれますね!」
「わ、分かってるじゃねえか。なら、こいつはどうだ!」
今度はフックで横からラルフルを狙う。……が、思わず力んで結構な速さでパンチを放ってしまった。まずい。これが直撃したらラルフルに怪我を……!
「フンッ!」
「なっ!?」
そのフックもラルフルは頭を左右に振る<ウィービング>を使って回避した。
こいつ……こんな短時間で俺の動きを覚えたっていうのか!?
「そして回避したところで……ハァ!」
「クゥ!?」
俺が驚愕していると、ラルフルが俺のフックを真似て放ってきた。その鋭さはさっきのパンチの比ではない。俺は思わず腕を使ってガードする。
「あ! す、すみません! ゼロラさんの動きを真似てたらついパンチが出てしまって……!」
「……気にするな。それにしても大した呑み込みの早さだな」
恐るべきはラルフルのラーニング能力。こいつは見た技をすぐに自分の技として身に着けることができる。体格差や筋力の関係で決定打には至らないが、もしこのまま鍛えていけばどんどんと武闘家としての実力を高めていけるだろう。
そう思った俺は思わず顔がにやけ、方針を変えることにした。
◇◇◇
ゼロラさんとの稽古を始めてゼロラさんの技を実戦形式で見ることができました。相手の攻撃をかわしてからのカウンター……。先程は四人を一撃でノックアウトしたところしか見れませんでしたが、自分に合わせてくれたのか回避の技や使い方も見せてくれました。自分にできるか不安でしたが、なんとか動きを読むことができました。その動きを真似て自分もゼロラさんのように回避してカウンターを放つことができました。
自分が思わず放ったカウンターはガードされてしまいましたが、避けるだけでなく受け止める技もあるのですね。
なるほど! 実戦形式の稽古にしたのはこういった実際の状況を踏まえてのことだったのですね! 流石はゼロラさん! 教えるのもうまいです!
この人に稽古をつけてもらえば、魔法使いではなくなった自分でもまた強くなることができる! そう思って気合を入れなおしました。
その時、ゼロラさんが少し笑みを浮かべた後、自分に声をかけてきました。
「予定変更だ。ラルフル。俺はこれから持てる技の全てを使ってお前を倒しにかかる。お前も……全力で来い!」
俺とラルフルは川辺で向かい合いお互いに戦いの構えをとっていた。
確かに俺にできることなら手を貸すとは言ったが、ラルフルが俺に稽古をつけてほしいと言い出すとは……。ラルフルとしては魔法に代わる新しい戦い方を身に着けたいらしい。そうすれば自信もつくとかなんとか……。
ラルフルの言いたいことは分かる。強くなるために俺に教えを乞うのも分かる。
だが俺には他人に物事を教えられるような器用さは無い。断言できる。無い!
それゆえに断ろうと思ったのだが、ラルフルの真剣なまなざしに押されてしまい試行錯誤の結果、実戦形式という形で稽古をつけることになった。
「なあ、ラルフル……。一応こっちも加減はするが、さすがに危ないんじゃ……」
「いえ! 大丈夫です! 自分、こう見えて結構体力に自信はありますし、実際に戦って覚えられるならそうしたいです!」
ラルフルの純粋で真剣で必死な瞳が重い……。
元は勇者パーティーで魔法使いをしていたほどの実力者だ。形は違っても"戦いでの強さ"への憧れは強いってわけか。
「そこまで言うならよーく俺の動きを見ることだな。そしてその目で俺の技を盗め」
「すごく稽古っぽいです! よろしくお願いします!」
ラルフルが一層気合いを入れる。
俺の気が一層重くなる。
違うんだ、ラルフル。ただ単に俺が言葉で教えられる自信がねえだけなんだ……。
もうこなったらとりあえずラルフルと戦ってみるしかない。
「よし。それじゃあ俺に一発殴り掛かってきてみろ」
「え? 自分から攻撃するのですか?」
「俺が使える技の一つを見せてやる。全力で構わねえから打ってきな」
俺は<ボクシング>の構えをとる。
「そ、それでは…… ヤァアアア!」
ラルフルが全力で俺の頬目がけて殴り掛かってくる。完全に素人のパンチ。動きを読むのは簡単だ。俺は上体を反らせて軽く避ける。
「!? こ、こんな簡単に避けられるなんて……!?」
「ほら。もっとガンガン打ち込んできな」
ラルフルは俺に対して次々にパンチを繰り出すが、それを上体を反らせたり、頭を左右に振ったりして難なく躱す。
<スウェー>と<ウィービング>。ジャンから貰った本で読んだが、<ボクシング>のスタイルにおける基本的な回避動作らしい。ラルフルは小柄なため、下手に攻撃を受け止めるよりも回避からの反撃のほうが効果的と考えて俺は<ボクシング>をラルフルに見せることにした。
「そして避けたところで隙だらけの相手に……パンチだ」
「うわっ!?」
俺はある程度攻撃を避けた後にラルフルに軽くパンチを放った。もちろんスピードは抑えて。
だが、俺の放ったパンチをラルフルは上体を反らして回避してきた。
そう、まだ未熟ながらも俺が使っていた<スウェー>を使ってきたのだ。
「なるほど! これなら少ない動きで反撃にも転じれますね!」
「わ、分かってるじゃねえか。なら、こいつはどうだ!」
今度はフックで横からラルフルを狙う。……が、思わず力んで結構な速さでパンチを放ってしまった。まずい。これが直撃したらラルフルに怪我を……!
「フンッ!」
「なっ!?」
そのフックもラルフルは頭を左右に振る<ウィービング>を使って回避した。
こいつ……こんな短時間で俺の動きを覚えたっていうのか!?
「そして回避したところで……ハァ!」
「クゥ!?」
俺が驚愕していると、ラルフルが俺のフックを真似て放ってきた。その鋭さはさっきのパンチの比ではない。俺は思わず腕を使ってガードする。
「あ! す、すみません! ゼロラさんの動きを真似てたらついパンチが出てしまって……!」
「……気にするな。それにしても大した呑み込みの早さだな」
恐るべきはラルフルのラーニング能力。こいつは見た技をすぐに自分の技として身に着けることができる。体格差や筋力の関係で決定打には至らないが、もしこのまま鍛えていけばどんどんと武闘家としての実力を高めていけるだろう。
そう思った俺は思わず顔がにやけ、方針を変えることにした。
◇◇◇
ゼロラさんとの稽古を始めてゼロラさんの技を実戦形式で見ることができました。相手の攻撃をかわしてからのカウンター……。先程は四人を一撃でノックアウトしたところしか見れませんでしたが、自分に合わせてくれたのか回避の技や使い方も見せてくれました。自分にできるか不安でしたが、なんとか動きを読むことができました。その動きを真似て自分もゼロラさんのように回避してカウンターを放つことができました。
自分が思わず放ったカウンターはガードされてしまいましたが、避けるだけでなく受け止める技もあるのですね。
なるほど! 実戦形式の稽古にしたのはこういった実際の状況を踏まえてのことだったのですね! 流石はゼロラさん! 教えるのもうまいです!
この人に稽古をつけてもらえば、魔法使いではなくなった自分でもまた強くなることができる! そう思って気合を入れなおしました。
その時、ゼロラさんが少し笑みを浮かべた後、自分に声をかけてきました。
「予定変更だ。ラルフル。俺はこれから持てる技の全てを使ってお前を倒しにかかる。お前も……全力で来い!」
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