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第3章 汚れ仕事からの脱却
第24話 過去と今後
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「うぅ……! 苦労したんだなぁ、坊主……!」
俺はイトーさんとラルフルと一緒にセンビレッジへ向かう街道を歩いていた。
元々はイトーさんの依頼で俺がセンビレッジまで荷馬車を引いていたところにラルフルが駆け寄ってきたところである。
ラルフルは最初イトーさんに「自分は男です! ラルフルと言います!」と自己紹介をしていた。いい加減ラルフルも女と間違われるのに嫌気がさしたのか、名乗るよりも前に性別を述べるようになった。
そんなイトーさんの返答は「マジか?」といった疑問形。やっぱり驚くよな、ラルフルの性別は。
「ラルフルの坊主! お前は強く生きろよ! 俺も昔、【伝説の魔王】に大事な宝を奪われたことがあってだな……」
そして何気ない会話から発展したラルフルの昔の話を聞かされて男泣きするイトーさん。
分からないでもない。ラルフルは相当苦労してなお真面目に生き続けている。俺も涙したいところだが……。
「うおおおお! 魔王のバッキャロウ! 不平等な世の中のクソッタレェ!!」
「あ、あの~……。自分が話したことですが、泣き過ぎでは……?」
……イトーさんがこの様子では泣くに泣きづらい。
俺まで感情のまま涙してたら収拾がつかなくなりそうだ。
「落ち着け、イトーさん。ラルフルまで困惑しちまってるぞ」
「なんだと!? ゼロラ! お前にはさっきの話を聞いて涙を流すという感情がねえのか!?」
あるけどあんたがその調子だから堪えてるんだよ……。
「ん? そういえばイトーさんも『魔王に大事な宝を奪われた』って言ってたな? 昔何かあったのか?」
「え? あっ。お、おう。昔の話だがな……」
急に言葉に詰まるイトーさん。
そういえばイトーさんの過去についてはほとんど聞いたことがなかったな。
「別に言いたくねえなら聞かねえよ。余計な詮索をするつもりもない」
イトーさんが言いたくなさげだったのでこれ以上は聞かないことにした。
過去が分からない俺が人の"言いたくない過去"に無暗に関わるのは無粋というものだろう。
ラルフルの過去についても本人が俺という人間を信頼したからこそ語ってくれたもの。下手に深入りしてはラルフルを傷つけてしまう。本人が言えるところだけを今後も聞くようにしよう。
「ところで話を戻すんだが、あれからドーマン男爵から連絡はあったのか?」
「……ああ。『こんな不完全な仕事では報酬は払えない』だとさ。俺宛てに従者が無駄に長い苦情を書いた手紙をよこしてきやがったよ」
やっぱりそうなるよな……。俺の身勝手ですまない、イトーさん。
「もっともな話。俺はお前さんが依頼を無碍にしてくれたのがうれしくもあったんだがな」
「なに? どういう意味だ?」
「俺だってお前さんに汚れ仕事を押し付けるのは心苦しかったのさ。貴族の依頼から縁を切れるいい機会なのかもしれねえな」
イトーさんの表情はどこか晴れ晴れとしていた。
「そう言ってくれるのは有難いんだが……これからどうするんだ?」
「それなんだよな~。簡単に縁を切って終わらせようにも圧力をかけてくるだろうからな~……」
今後の策なし。方針は決めても先行きは見えず。
「それどころかドーマン男爵の奴、新しい依頼をよこしてきやがった」
依頼を失敗した相手に更なる依頼か。ケツ拭きでもさせるつもりかね。
「内容を話してくれ。ラルフルにも事情は伝えてある」
「自分もゼロラさんのために頑張って考えます!」
フンスといった感じで気合いを入れるラルフル。気持ち頼もしい。
「それがだな……今回の依頼内容、ヤバイなんてレベルじゃねえんだよ……」
「ま、まさか……暗殺の依頼とかじゃありませんよね……!?」
「いや、そんな依頼は流石にしねえだろ……」
貴族が暗殺依頼なんて、俺のような喧嘩が強いだけのただのおっさんに頼むのはやりすぎだろ、ラルフルよ。
「……すまん。ラルフルの答えでほぼ正解だ。依頼内容は『ガルペラ侯爵の殺害』だ」
「マジかよ……」
ドーマン男爵がガルペラ侯爵にいい感情を抱いていないことは知っていたが、そこまでするか……?
「そんな依頼、俺に頼んだところでバレれば速攻破滅物だぞ? 完全に俺を捨て駒として扱う気じゃねえか……」
「ああ。センビレッジに着いたら即効ドーマン男爵にこの依頼を突き返すつもりだ。……うまくいけばの話だがな」
俺を切り捨てにかかってくる人間が素直に聞いてくれるとは思えないな。最悪、俺もイトーさんも土の中に埋められそうだ。
「いっそドーマン男爵邸に開幕殴りこむか?」
「それはやめとけ。お前なら制圧できそうな気がしなくもないが、面倒事が増えるだけだぞ」
やっぱりそうなるか。だが殺しは流石に勘弁願いたい。
「う~ん……。今の話を聞いていて一つ思ったのですが……」
俺とイトーさんの会話を聞いてラルフルが何か思いついたらしい。
「逆にガルペラ侯爵に全部打ち明けて寝返るというのはどうでしょうか?」
俺はイトーさんとラルフルと一緒にセンビレッジへ向かう街道を歩いていた。
元々はイトーさんの依頼で俺がセンビレッジまで荷馬車を引いていたところにラルフルが駆け寄ってきたところである。
ラルフルは最初イトーさんに「自分は男です! ラルフルと言います!」と自己紹介をしていた。いい加減ラルフルも女と間違われるのに嫌気がさしたのか、名乗るよりも前に性別を述べるようになった。
そんなイトーさんの返答は「マジか?」といった疑問形。やっぱり驚くよな、ラルフルの性別は。
「ラルフルの坊主! お前は強く生きろよ! 俺も昔、【伝説の魔王】に大事な宝を奪われたことがあってだな……」
そして何気ない会話から発展したラルフルの昔の話を聞かされて男泣きするイトーさん。
分からないでもない。ラルフルは相当苦労してなお真面目に生き続けている。俺も涙したいところだが……。
「うおおおお! 魔王のバッキャロウ! 不平等な世の中のクソッタレェ!!」
「あ、あの~……。自分が話したことですが、泣き過ぎでは……?」
……イトーさんがこの様子では泣くに泣きづらい。
俺まで感情のまま涙してたら収拾がつかなくなりそうだ。
「落ち着け、イトーさん。ラルフルまで困惑しちまってるぞ」
「なんだと!? ゼロラ! お前にはさっきの話を聞いて涙を流すという感情がねえのか!?」
あるけどあんたがその調子だから堪えてるんだよ……。
「ん? そういえばイトーさんも『魔王に大事な宝を奪われた』って言ってたな? 昔何かあったのか?」
「え? あっ。お、おう。昔の話だがな……」
急に言葉に詰まるイトーさん。
そういえばイトーさんの過去についてはほとんど聞いたことがなかったな。
「別に言いたくねえなら聞かねえよ。余計な詮索をするつもりもない」
イトーさんが言いたくなさげだったのでこれ以上は聞かないことにした。
過去が分からない俺が人の"言いたくない過去"に無暗に関わるのは無粋というものだろう。
ラルフルの過去についても本人が俺という人間を信頼したからこそ語ってくれたもの。下手に深入りしてはラルフルを傷つけてしまう。本人が言えるところだけを今後も聞くようにしよう。
「ところで話を戻すんだが、あれからドーマン男爵から連絡はあったのか?」
「……ああ。『こんな不完全な仕事では報酬は払えない』だとさ。俺宛てに従者が無駄に長い苦情を書いた手紙をよこしてきやがったよ」
やっぱりそうなるよな……。俺の身勝手ですまない、イトーさん。
「もっともな話。俺はお前さんが依頼を無碍にしてくれたのがうれしくもあったんだがな」
「なに? どういう意味だ?」
「俺だってお前さんに汚れ仕事を押し付けるのは心苦しかったのさ。貴族の依頼から縁を切れるいい機会なのかもしれねえな」
イトーさんの表情はどこか晴れ晴れとしていた。
「そう言ってくれるのは有難いんだが……これからどうするんだ?」
「それなんだよな~。簡単に縁を切って終わらせようにも圧力をかけてくるだろうからな~……」
今後の策なし。方針は決めても先行きは見えず。
「それどころかドーマン男爵の奴、新しい依頼をよこしてきやがった」
依頼を失敗した相手に更なる依頼か。ケツ拭きでもさせるつもりかね。
「内容を話してくれ。ラルフルにも事情は伝えてある」
「自分もゼロラさんのために頑張って考えます!」
フンスといった感じで気合いを入れるラルフル。気持ち頼もしい。
「それがだな……今回の依頼内容、ヤバイなんてレベルじゃねえんだよ……」
「ま、まさか……暗殺の依頼とかじゃありませんよね……!?」
「いや、そんな依頼は流石にしねえだろ……」
貴族が暗殺依頼なんて、俺のような喧嘩が強いだけのただのおっさんに頼むのはやりすぎだろ、ラルフルよ。
「……すまん。ラルフルの答えでほぼ正解だ。依頼内容は『ガルペラ侯爵の殺害』だ」
「マジかよ……」
ドーマン男爵がガルペラ侯爵にいい感情を抱いていないことは知っていたが、そこまでするか……?
「そんな依頼、俺に頼んだところでバレれば速攻破滅物だぞ? 完全に俺を捨て駒として扱う気じゃねえか……」
「ああ。センビレッジに着いたら即効ドーマン男爵にこの依頼を突き返すつもりだ。……うまくいけばの話だがな」
俺を切り捨てにかかってくる人間が素直に聞いてくれるとは思えないな。最悪、俺もイトーさんも土の中に埋められそうだ。
「いっそドーマン男爵邸に開幕殴りこむか?」
「それはやめとけ。お前なら制圧できそうな気がしなくもないが、面倒事が増えるだけだぞ」
やっぱりそうなるか。だが殺しは流石に勘弁願いたい。
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俺とイトーさんの会話を聞いてラルフルが何か思いついたらしい。
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