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第6章 少年少女の思いの先
第59話 どんより気分で出くわして
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ガルペラから連絡が入った。俺達と聖女ミリア様の会談の段取りが付いたらしい。
早速お会いできるということで、俺はイトーさんの店でガルペラと待ち合わせをすることにした。仮にも侯爵であるガルペラが店に来るということで、本日の店は貸し切り状態だ。
ガルペラはラルフルにも一度会いたいということで、ラルフルも店に呼んだのだが……。
「…………」
「……なあ、ゼロラ。ラルフルは何かあったのか?」
「いや、俺も知らねえ。ここに来た時も虚ろな目をしてたが……」
さっきからラルフルはカウンターに顔をうずめたまま、一言も話さない。
俺もイトーさんも心配して声をかけるが、「何もないですよ……」と返すだけでラルフルは何も答えない。返事した時に見た顔はこの世の終わりみたいな顔をしていた。
ふとラルフルが顔を上げて、店の壁に掛けてあったロープに目を向ける。
「……首吊りって、どれぐらいで死ねるのでしょうか?」
「待て! 早まるんじゃない! ラルフル!」
普段の元気一杯、全力疾走の姿はどこへ行ったんだ!? もうこれ、下手に目を離せる状態じゃないぞ!?
「ゼロラさーん! お待たせしたのです! ……あれ? なんだかおかしな空気なのです」
店の静寂を破るようにガルペラが元気よく現れたが、すぐに事態の異様さを察したようだ。
「えーと……? あなたが元勇者パーティーのラルフル様ですよね?」
「はい……。自分が元勇者パーティーで魔法が使えなくなって追い出され、王宮で仕えつつもいろんな人にいじめられるゴミ虫で、意気地なしで、泣き虫で、ノロマで、愚図で、よく女性に間違われて、価値のない男のラルフルです。自分のことは"ラルフル様"などと呼ばず、どうか"ヘタレ"と呼んでください……」
本当にどうしたんだ、ラルフル!? ネガティブ思考が極まりすぎてるぞ!?
「……ゼロラさん。出発まで時間もありますので、少し話を聞いた方がいいのです」
「……同感だ」
このままラルフルを置いて行ったらまた自殺方法を考えそうだ。イトーさん一人に任せるわけにもいくまい。
■
「なに? 聖女様が『もうラルフルに会いたくない』だって?」
なんとかラルフルから事情を聴いてみたが、どうやら聖女ミリア様に手ひどく振られたとのことだ。
「いや、ないな。この間センビレッジで会った様子を見る限り」
「ああ、ないな。お前さん達、メチャクチャ仲良かったじゃないか」
「その出来事は知らないですけど、ミリア様がそんなこと言うとは思えないので、ないです」
「でも! じっざいにミリアざんに言われだんでずよぉお!!」
ラルフルが涙と鼻水で酷い顔面崩壊を起こしながら答える。落ち着け。そんなに叫ぶな。鼻水が飛んでくる。
「何かの間違いじゃないのか?」
「自分、はっきりとこの耳で聞きました……」
「だったら、冗談だったとか?」
「ミリアさんがあんな真剣な表情で冗談なんか言いませんよ……」
どうやら言われたことは事実らしい。
「どうせ自分がろくでなしだから愛想をつかされたんですよ……」
「だから落ち込むのをやめろって」
ラルフルのショックが大きすぎる。無理もないが。
それにしても不可解だ。もし聖女様がラルフルと縁を切りたいと考えていたのなら、センビレッジで久々の再会を果たした時に無視だってできたはず。その後もラルフルに会って俺に聖堂への入館許可バッジを渡すぐらいには話をしていた。心変わりがあったと言っても、急に変わりすぎてる。
「ゼロラさん。この後のミリア様との会談は私達への協力の話は後回しにして、ラルフル君との事の真相を聞いてみるのです」
「いいのか? 会談の機会なんてそうそう得られるもんじゃないぞ?」
「いや……あれを放っておくほうが問題なのです」
気が付けばラルフルは店の台所にあった包丁に目を向けていた。
「……東洋の国には"ハラキリ"という自分でお腹に刃物を刺す自害方法があると聞きました」
「だから早まるなっての!? なんでそんなに極端に考えるんだ!?」
……確かにこっちの問題の方が早急に解決する必要がありそうだ。
「ラルフル。俺とガルペラは今から聖女様に会いに行く。真相がはっきりするまで大人しく待っててくれ」
「アハハ……。期待せずにお待ちしています……」
もう魂が抜け出ていきそうな顔してるな。目が死んでる。
「イトーさん、悪い。ラルフルが早まらないように見張っててくれ」
「……善処はする。できれば急いでくれ」
イトーさんもラルフルが出すどんよりとした空気に耐えられない様子だ。
だが今のラルフルを一人にはできない。俺とガルペラは予定とは違ったが、聖女様に話を聞きにスタアラ魔法聖堂に向かった。
早速お会いできるということで、俺はイトーさんの店でガルペラと待ち合わせをすることにした。仮にも侯爵であるガルペラが店に来るということで、本日の店は貸し切り状態だ。
ガルペラはラルフルにも一度会いたいということで、ラルフルも店に呼んだのだが……。
「…………」
「……なあ、ゼロラ。ラルフルは何かあったのか?」
「いや、俺も知らねえ。ここに来た時も虚ろな目をしてたが……」
さっきからラルフルはカウンターに顔をうずめたまま、一言も話さない。
俺もイトーさんも心配して声をかけるが、「何もないですよ……」と返すだけでラルフルは何も答えない。返事した時に見た顔はこの世の終わりみたいな顔をしていた。
ふとラルフルが顔を上げて、店の壁に掛けてあったロープに目を向ける。
「……首吊りって、どれぐらいで死ねるのでしょうか?」
「待て! 早まるんじゃない! ラルフル!」
普段の元気一杯、全力疾走の姿はどこへ行ったんだ!? もうこれ、下手に目を離せる状態じゃないぞ!?
「ゼロラさーん! お待たせしたのです! ……あれ? なんだかおかしな空気なのです」
店の静寂を破るようにガルペラが元気よく現れたが、すぐに事態の異様さを察したようだ。
「えーと……? あなたが元勇者パーティーのラルフル様ですよね?」
「はい……。自分が元勇者パーティーで魔法が使えなくなって追い出され、王宮で仕えつつもいろんな人にいじめられるゴミ虫で、意気地なしで、泣き虫で、ノロマで、愚図で、よく女性に間違われて、価値のない男のラルフルです。自分のことは"ラルフル様"などと呼ばず、どうか"ヘタレ"と呼んでください……」
本当にどうしたんだ、ラルフル!? ネガティブ思考が極まりすぎてるぞ!?
「……ゼロラさん。出発まで時間もありますので、少し話を聞いた方がいいのです」
「……同感だ」
このままラルフルを置いて行ったらまた自殺方法を考えそうだ。イトーさん一人に任せるわけにもいくまい。
■
「なに? 聖女様が『もうラルフルに会いたくない』だって?」
なんとかラルフルから事情を聴いてみたが、どうやら聖女ミリア様に手ひどく振られたとのことだ。
「いや、ないな。この間センビレッジで会った様子を見る限り」
「ああ、ないな。お前さん達、メチャクチャ仲良かったじゃないか」
「その出来事は知らないですけど、ミリア様がそんなこと言うとは思えないので、ないです」
「でも! じっざいにミリアざんに言われだんでずよぉお!!」
ラルフルが涙と鼻水で酷い顔面崩壊を起こしながら答える。落ち着け。そんなに叫ぶな。鼻水が飛んでくる。
「何かの間違いじゃないのか?」
「自分、はっきりとこの耳で聞きました……」
「だったら、冗談だったとか?」
「ミリアさんがあんな真剣な表情で冗談なんか言いませんよ……」
どうやら言われたことは事実らしい。
「どうせ自分がろくでなしだから愛想をつかされたんですよ……」
「だから落ち込むのをやめろって」
ラルフルのショックが大きすぎる。無理もないが。
それにしても不可解だ。もし聖女様がラルフルと縁を切りたいと考えていたのなら、センビレッジで久々の再会を果たした時に無視だってできたはず。その後もラルフルに会って俺に聖堂への入館許可バッジを渡すぐらいには話をしていた。心変わりがあったと言っても、急に変わりすぎてる。
「ゼロラさん。この後のミリア様との会談は私達への協力の話は後回しにして、ラルフル君との事の真相を聞いてみるのです」
「いいのか? 会談の機会なんてそうそう得られるもんじゃないぞ?」
「いや……あれを放っておくほうが問題なのです」
気が付けばラルフルは店の台所にあった包丁に目を向けていた。
「……東洋の国には"ハラキリ"という自分でお腹に刃物を刺す自害方法があると聞きました」
「だから早まるなっての!? なんでそんなに極端に考えるんだ!?」
……確かにこっちの問題の方が早急に解決する必要がありそうだ。
「ラルフル。俺とガルペラは今から聖女様に会いに行く。真相がはっきりするまで大人しく待っててくれ」
「アハハ……。期待せずにお待ちしています……」
もう魂が抜け出ていきそうな顔してるな。目が死んでる。
「イトーさん、悪い。ラルフルが早まらないように見張っててくれ」
「……善処はする。できれば急いでくれ」
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