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第6章 少年少女の思いの先
第65話 ボクが処刑寸前なのだが?
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ゼロラ殿のミリア様誘拐騒動の後、ボクはミリア様の部屋にいた。
現在、衛兵二人がお互いに剣を構えてボクの目の前で交差させている。
そしてボクはというと、両腕を後ろに縛られた状態で、その交差した剣の間に首を差し出す形で座らされている。
完全に処刑台に上げられた死刑囚の姿だね。
「……それでボクはここからどうすればいいのかな? ボクの宝のありかを大声で伝えればいいのかな?」
「結構余裕ありますよね。リョウ大神官」
「あなたの宝なんてろくな物じゃなさそうなので、いりません」
それは心外だ。ボクが密かに集めた美少女・美少年コレクションを『ろくな物』呼ばわりとはいただけない。
「もういいわ。ガルペラ侯爵は無事だったし、今後このようなことは控えるように」
「うむ。今度からもっとバレないようにするよ」
ミリア様のお許しが出たのでボクは後ろ手に縛られた縄を魔法で燃やして立ち上がる。
「やっぱりこの人にただの縄なんて意味ないよな」
「ノリでやっただけだからこうなることは分かってたわ」
ノリで処刑ごっこは勘弁願いたいね。もっとも、ミリア様がそのつもりなのは知ってたから付き合ったんだけどね。
「『もっとバレないようにする』って、やめるつもりはないのですね」
「あきらめろ。ミリア様もそれを知ったうえで『控えるように』とおっしゃったのだ」
衛兵達の間でのボクの評判が悪い。ちょっと辛い。
「それで今後どうするつもりなのかな、ミリア様? このままオジャル伯爵と婚約するのかな?」
「婚約は破棄するつもりよ。そして、アタシはラルフルともう一度話をする。そのためにゼロラさんは明日、オジャル伯爵とアタシが会う時に、ラルフルを連れてきてくれると約束してくれたわ」
うんうん。やっぱり純愛が一番だよね。ボクは寝取られはNGな主義なんだ。
「ただ相手のバックにはボーネス公爵もいる。皆には苦労をかけることになるわ……」
「気にしないでください、ミリア様! 我らもミリア様とラルフルの仲を応援します!」
「お二方のためならば、ボーネス公爵を敵に回すのも構わぬ所存でございます!」
ミリア様って本当に慕われてるよね。ボクはここでは比較的新参者だけど、その気持ちはわかるよ。
「ではミリア様。本日のところはボク達は失礼いたします。明日、オジャル伯爵が来ようと、ボーネス公爵が現れようと、最悪の事態には備えるようにいたします」
「頼りにしてるわ。お願いね」
ボクと衛兵たちはミリア様の部屋を出ていった。
■
「意外とすんなり引き下がったのですね、リョウ大神官」
「んー? 君たちはボクを何だと思っているのかな?」
「変態」
「ストーカー」
「クフフフ。これは手酷い評価だね」
ボクだって時と場合を選ぶことだってあるさ。
「失礼ながら発言させてください。リョウ大神官は元々"こうなることが分かっていた"のではないですか?」
ボクと衛兵の会話に、外で待機していた神官の一人が口を挟む。
「リョウ大神官は我々神官に事前に申されましたよね。『もしゼロラ殿が何か行動を起こした場合、その意を汲んで神官は行動を起こすように』と」
「え? リョウ大神官、そんなことを言ってたのですか?」
うん、言ってたね。まさかゼロラ殿がガルペラ侯爵を囮にボクを巻き込むとは思わなかったけど。
「まさかリョウ大神官は全て計算の上で……!?」
「買いかぶり過ぎだね」
「ですが、ミリア様のことを思ったうえで行動されてはいたのでしょう?」
それについては否定しないかな。ボク達聖堂内の人間じゃ、ミリア様の心を開くことはできない。でも……ゼロラ殿ならやってくれそうな気がしたんだよね。彼のことは信用できる。この短期間でラルフル君やガルペラ侯爵とも仲良くなれる人間性の持ち主だ。
ちょっと妬ましいほどにね。
「ボクのことを少しは信用しなおしてくれたかな? だったら明日は覚悟を決めておいてくれ。下手をすれば戦闘になる。ボクだってミリア様を守りたい」
「分かりました。我らも尽力いたしましょう」
と言っても、最悪ギャングレオ盗賊団や黒蛇部隊クラスの相手じゃない限り、ボク一人でも対応できるんだけどね。
「た、大変です! リョウ大神官! 遠方の見張りの者より連絡が入りました!」
……騒々しいね。でも必死な様子だ。これはただ事じゃないのかな?
「遠方より、王都よりオジャル伯爵とボーネス公爵が部隊を引き連れてこちらに向かっています! 距離と速度からして、本日未明にはこのスタアラ魔法聖堂に到着するものかと!」
「……随分急なお出ましだね。明日まで待ってもくれないのか」
これは想定外。急に押し掛けられては悠長なことも言ってられないか。
「大神官の権限で命じるよ。ボーネス公爵もオジャル伯爵も、このスタアラ魔法聖堂内に入れないでね。こちらからの手出しは無用。ボクも準備をした後、聖堂正面で出迎えるよ。後のことは終わってから考えるよ」
「はっ! リョウ大神官の命令のままに!」
ミリア様が絡むとボクの命令も素直に聞いてくれるよね。いつもこの調子ならいいんだけど。
さて、こっちは救援要請でもしようか。ただ追い返すだけじゃ駄目だ。これは"ミリア様とラルフル君のための戦い"。役者がそろわないと意味がない。通信魔法を使えばここからでも状況を伝えるぐらいはできるだろう。
『……官……? こ……法……か?』
やっぱりこちらから向こうの状況を知るのは難しいね。こんなことならもっと通信魔法の精度を上げておけばよかった。
こっちの言葉はちゃんと聞こえてるはずだから、とりあえず報告させてもらうよ。
「この通信魔法の都合上、急に一方的で悪いんだけど、どうしても知らせたいことがあるんだ。……ミリア様を迎えるボーネス公爵とオジャル伯爵の部隊が予定より早く……今日の未明にやってくる。急いでスタアラ魔法聖堂まで来てくれ」
現在、衛兵二人がお互いに剣を構えてボクの目の前で交差させている。
そしてボクはというと、両腕を後ろに縛られた状態で、その交差した剣の間に首を差し出す形で座らされている。
完全に処刑台に上げられた死刑囚の姿だね。
「……それでボクはここからどうすればいいのかな? ボクの宝のありかを大声で伝えればいいのかな?」
「結構余裕ありますよね。リョウ大神官」
「あなたの宝なんてろくな物じゃなさそうなので、いりません」
それは心外だ。ボクが密かに集めた美少女・美少年コレクションを『ろくな物』呼ばわりとはいただけない。
「もういいわ。ガルペラ侯爵は無事だったし、今後このようなことは控えるように」
「うむ。今度からもっとバレないようにするよ」
ミリア様のお許しが出たのでボクは後ろ手に縛られた縄を魔法で燃やして立ち上がる。
「やっぱりこの人にただの縄なんて意味ないよな」
「ノリでやっただけだからこうなることは分かってたわ」
ノリで処刑ごっこは勘弁願いたいね。もっとも、ミリア様がそのつもりなのは知ってたから付き合ったんだけどね。
「『もっとバレないようにする』って、やめるつもりはないのですね」
「あきらめろ。ミリア様もそれを知ったうえで『控えるように』とおっしゃったのだ」
衛兵達の間でのボクの評判が悪い。ちょっと辛い。
「それで今後どうするつもりなのかな、ミリア様? このままオジャル伯爵と婚約するのかな?」
「婚約は破棄するつもりよ。そして、アタシはラルフルともう一度話をする。そのためにゼロラさんは明日、オジャル伯爵とアタシが会う時に、ラルフルを連れてきてくれると約束してくれたわ」
うんうん。やっぱり純愛が一番だよね。ボクは寝取られはNGな主義なんだ。
「ただ相手のバックにはボーネス公爵もいる。皆には苦労をかけることになるわ……」
「気にしないでください、ミリア様! 我らもミリア様とラルフルの仲を応援します!」
「お二方のためならば、ボーネス公爵を敵に回すのも構わぬ所存でございます!」
ミリア様って本当に慕われてるよね。ボクはここでは比較的新参者だけど、その気持ちはわかるよ。
「ではミリア様。本日のところはボク達は失礼いたします。明日、オジャル伯爵が来ようと、ボーネス公爵が現れようと、最悪の事態には備えるようにいたします」
「頼りにしてるわ。お願いね」
ボクと衛兵たちはミリア様の部屋を出ていった。
■
「意外とすんなり引き下がったのですね、リョウ大神官」
「んー? 君たちはボクを何だと思っているのかな?」
「変態」
「ストーカー」
「クフフフ。これは手酷い評価だね」
ボクだって時と場合を選ぶことだってあるさ。
「失礼ながら発言させてください。リョウ大神官は元々"こうなることが分かっていた"のではないですか?」
ボクと衛兵の会話に、外で待機していた神官の一人が口を挟む。
「リョウ大神官は我々神官に事前に申されましたよね。『もしゼロラ殿が何か行動を起こした場合、その意を汲んで神官は行動を起こすように』と」
「え? リョウ大神官、そんなことを言ってたのですか?」
うん、言ってたね。まさかゼロラ殿がガルペラ侯爵を囮にボクを巻き込むとは思わなかったけど。
「まさかリョウ大神官は全て計算の上で……!?」
「買いかぶり過ぎだね」
「ですが、ミリア様のことを思ったうえで行動されてはいたのでしょう?」
それについては否定しないかな。ボク達聖堂内の人間じゃ、ミリア様の心を開くことはできない。でも……ゼロラ殿ならやってくれそうな気がしたんだよね。彼のことは信用できる。この短期間でラルフル君やガルペラ侯爵とも仲良くなれる人間性の持ち主だ。
ちょっと妬ましいほどにね。
「ボクのことを少しは信用しなおしてくれたかな? だったら明日は覚悟を決めておいてくれ。下手をすれば戦闘になる。ボクだってミリア様を守りたい」
「分かりました。我らも尽力いたしましょう」
と言っても、最悪ギャングレオ盗賊団や黒蛇部隊クラスの相手じゃない限り、ボク一人でも対応できるんだけどね。
「た、大変です! リョウ大神官! 遠方の見張りの者より連絡が入りました!」
……騒々しいね。でも必死な様子だ。これはただ事じゃないのかな?
「遠方より、王都よりオジャル伯爵とボーネス公爵が部隊を引き連れてこちらに向かっています! 距離と速度からして、本日未明にはこのスタアラ魔法聖堂に到着するものかと!」
「……随分急なお出ましだね。明日まで待ってもくれないのか」
これは想定外。急に押し掛けられては悠長なことも言ってられないか。
「大神官の権限で命じるよ。ボーネス公爵もオジャル伯爵も、このスタアラ魔法聖堂内に入れないでね。こちらからの手出しは無用。ボクも準備をした後、聖堂正面で出迎えるよ。後のことは終わってから考えるよ」
「はっ! リョウ大神官の命令のままに!」
ミリア様が絡むとボクの命令も素直に聞いてくれるよね。いつもこの調子ならいいんだけど。
さて、こっちは救援要請でもしようか。ただ追い返すだけじゃ駄目だ。これは"ミリア様とラルフル君のための戦い"。役者がそろわないと意味がない。通信魔法を使えばここからでも状況を伝えるぐらいはできるだろう。
『……官……? こ……法……か?』
やっぱりこちらから向こうの状況を知るのは難しいね。こんなことならもっと通信魔法の精度を上げておけばよかった。
こっちの言葉はちゃんと聞こえてるはずだから、とりあえず報告させてもらうよ。
「この通信魔法の都合上、急に一方的で悪いんだけど、どうしても知らせたいことがあるんだ。……ミリア様を迎えるボーネス公爵とオジャル伯爵の部隊が予定より早く……今日の未明にやってくる。急いでスタアラ魔法聖堂まで来てくれ」
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