76 / 476
第7章 家族
第76話 勘違い
しおりを挟む
「だーからその調味料じゃなくてこっちを入れるのです! 塩と砂糖を間違えるんじゃないのです!」
「し、仕方ないでしょ! 見た目が似てるんだから!」
「……大人しく聖堂の料理人に作ってもらった方がいいんじゃないかな?」
どうも。スタアラ魔法聖堂の偉大なる天才美人神官、リョウ大神官だよ。
現在ミリア様はガルペラ侯爵指南の元、クッキー作りに挑戦中だ。
「それは小麦粉じゃなくて片栗粉なのです! なんで間違えるですか!?」
「あー、もう! なんでこんなに見た目が似通ったものばっかりあるのよ!」
なお、現状は悲惨な模様。
ミリア様はラルフル君に手作りクッキーを渡したいらしく、ガルペラ侯爵に頼んで作り方を教わっているのだが……下手過ぎる。
ミリア様がここまで料理下手だったとは……。
こういうポンコツ要素もポイント高いよね。
「あー……お楽しみのところ、いや、楽しんでるのはボクの方かな? いずれにせよ、もうそろそろ妥協して料理人のクッキーをラルフル君に差し入れる結論に落ち着くべきじゃないかな?」
だってもう十回以上失敗してるし。
「う~……リョウ大神官にたしなめられる日が来るなんて……」
ミリア様の中でのボクのイメージってどうなってるのかな?
「いいから早く料理人のクッキーを持っていくですよ。手作りはまた今度の機会にするです」
「わ、わかったわよ……」
ようやく折れたミリア様を連れてボク達はラルフル君が修行しているシアの洞穴前広場へ向かった。
■
「むむぅ? ラルフル君の他に誰かいるのです」
「一人はゼロラさんに……もう一人は女の人……!?」
「おや、珍しい。マカロンちゃんも来てるとはね」
ゼロラ殿がいなければアタックチャンスだったんだけど。
「そのマカロンちゃんさんはゼロラさんの彼女なのです?」
「いやいや。二人はただの友達だよ。今のところは」
「……なんだかラルフルとマカロンって人が話してるみたいだけど」
ああ、二人ともマカロンちゃんには会ったことなかったのか。そういえばラルフル君もなかったね。
「……すごく嬉しそうに話してるのです」
「本当……。ラルフルのあんな顔、アタシだって見たことないわよ」
本当に嬉しそうに話してるね。
……そういえばマカロンちゃんとラルフル君って容姿が似てるよね。同じ赤い髪に緑色の瞳……。
ふむ、天才のボクには読めたよ。
「ゼロラ殿も粋な事を考えたものだね」
「そうなのです……。まさかミリア様とラルフル君が付き合いだして早々に別の女性を紹介するとはです……」
……あれ? ガルペラ侯爵、何か勘違いしてないかな?
「ガルペラ侯爵、勘違いしないでほしい。あれは……」
「ええ……そうね。ラルフルがアタシよりもあの人を選んだのなら、アタシは潔く身を引くわ……!」
ミリア様!? いや、ミリア様も盛大に勘違いしてるからね!?
「二人とも、落ち着いて二人の姿を見比べてほしい。何か気付くことはないかな?」
「似通った容姿をしてるわね……。アタシとラルフルよりもお似合いっぽい……」
「あれは巷で聞く"ペアルック"に違いないのです!」
似通ってて当然だよね!? それにペアルックは髪や瞳の色までは合わせないよね!?
「アタシよりも断然美人だもん……。ラルフルが心奪われるのも仕方ないわよ……」
「ラルフル君をそのまま成長させて髪を伸ばして胸を付けて女性にしたらあんな感じになるぐらいの美人です!」
だろうね!? そこまで考えれて何で気付かないのかな!?
「よし、二人ともよーく考えてほしい。ラルフル君とマカロンちゃんはすごく似た容姿をしている。それはつまり、二人は家族であると考えるのが自然で――」
「本当に自然と家族に見えるぐらいお似合いよね……」
「うわ!? 二人とも抱き合ったのです! これは完全にクロなのです!」
どうしてここまで言っても気付かないかな!? それに何がクロなんだい!? ボクからしてみれば君達二人の頭の中の方が真っ黒だよ! 完全に曇って何も見えてないよ!
「こうなったらラルフル君に直接問い詰めるのです!」
「アタシも……素直に身を引くためにも話をするわ!」
ダメだね! ボクの手には負えない! もうやだ! スタアラ魔法聖堂に帰りたい! あ、ここもスタアラ魔法聖堂だった! 帰れない!
「ラルフル君! ミリア様という人がいながらこれはどういうことなのです!?」
「ラルフル……。アンタにアタシよりいい人がいるなら、アタシは……!」
二人ともボクの話を聞かずにラルフル君に責め寄っちゃったよ。ボク、もう知~らない。
「あ! ミリアさんにガルペラ侯爵! 丁度良かったです。紹介します。こちらは自分のお姉ちゃんのマカロンです」
「……です?」
「……お姉ちゃん?」
ほら、やっぱりそういうオチじゃないか。ミリア様もガルペラ侯爵も口をあんぐり開けて動かないよ。
「……おい、リョウ神官。大体の事情は察した。お前、あの二人を止められなかったのか?」
「うん、無理」
ゼロラ殿が呆れ顔でボクに尋ねてきた。
無茶言わないでほしい。だって二人とも話を聞かないから……。
「し、仕方ないでしょ! 見た目が似てるんだから!」
「……大人しく聖堂の料理人に作ってもらった方がいいんじゃないかな?」
どうも。スタアラ魔法聖堂の偉大なる天才美人神官、リョウ大神官だよ。
現在ミリア様はガルペラ侯爵指南の元、クッキー作りに挑戦中だ。
「それは小麦粉じゃなくて片栗粉なのです! なんで間違えるですか!?」
「あー、もう! なんでこんなに見た目が似通ったものばっかりあるのよ!」
なお、現状は悲惨な模様。
ミリア様はラルフル君に手作りクッキーを渡したいらしく、ガルペラ侯爵に頼んで作り方を教わっているのだが……下手過ぎる。
ミリア様がここまで料理下手だったとは……。
こういうポンコツ要素もポイント高いよね。
「あー……お楽しみのところ、いや、楽しんでるのはボクの方かな? いずれにせよ、もうそろそろ妥協して料理人のクッキーをラルフル君に差し入れる結論に落ち着くべきじゃないかな?」
だってもう十回以上失敗してるし。
「う~……リョウ大神官にたしなめられる日が来るなんて……」
ミリア様の中でのボクのイメージってどうなってるのかな?
「いいから早く料理人のクッキーを持っていくですよ。手作りはまた今度の機会にするです」
「わ、わかったわよ……」
ようやく折れたミリア様を連れてボク達はラルフル君が修行しているシアの洞穴前広場へ向かった。
■
「むむぅ? ラルフル君の他に誰かいるのです」
「一人はゼロラさんに……もう一人は女の人……!?」
「おや、珍しい。マカロンちゃんも来てるとはね」
ゼロラ殿がいなければアタックチャンスだったんだけど。
「そのマカロンちゃんさんはゼロラさんの彼女なのです?」
「いやいや。二人はただの友達だよ。今のところは」
「……なんだかラルフルとマカロンって人が話してるみたいだけど」
ああ、二人ともマカロンちゃんには会ったことなかったのか。そういえばラルフル君もなかったね。
「……すごく嬉しそうに話してるのです」
「本当……。ラルフルのあんな顔、アタシだって見たことないわよ」
本当に嬉しそうに話してるね。
……そういえばマカロンちゃんとラルフル君って容姿が似てるよね。同じ赤い髪に緑色の瞳……。
ふむ、天才のボクには読めたよ。
「ゼロラ殿も粋な事を考えたものだね」
「そうなのです……。まさかミリア様とラルフル君が付き合いだして早々に別の女性を紹介するとはです……」
……あれ? ガルペラ侯爵、何か勘違いしてないかな?
「ガルペラ侯爵、勘違いしないでほしい。あれは……」
「ええ……そうね。ラルフルがアタシよりもあの人を選んだのなら、アタシは潔く身を引くわ……!」
ミリア様!? いや、ミリア様も盛大に勘違いしてるからね!?
「二人とも、落ち着いて二人の姿を見比べてほしい。何か気付くことはないかな?」
「似通った容姿をしてるわね……。アタシとラルフルよりもお似合いっぽい……」
「あれは巷で聞く"ペアルック"に違いないのです!」
似通ってて当然だよね!? それにペアルックは髪や瞳の色までは合わせないよね!?
「アタシよりも断然美人だもん……。ラルフルが心奪われるのも仕方ないわよ……」
「ラルフル君をそのまま成長させて髪を伸ばして胸を付けて女性にしたらあんな感じになるぐらいの美人です!」
だろうね!? そこまで考えれて何で気付かないのかな!?
「よし、二人ともよーく考えてほしい。ラルフル君とマカロンちゃんはすごく似た容姿をしている。それはつまり、二人は家族であると考えるのが自然で――」
「本当に自然と家族に見えるぐらいお似合いよね……」
「うわ!? 二人とも抱き合ったのです! これは完全にクロなのです!」
どうしてここまで言っても気付かないかな!? それに何がクロなんだい!? ボクからしてみれば君達二人の頭の中の方が真っ黒だよ! 完全に曇って何も見えてないよ!
「こうなったらラルフル君に直接問い詰めるのです!」
「アタシも……素直に身を引くためにも話をするわ!」
ダメだね! ボクの手には負えない! もうやだ! スタアラ魔法聖堂に帰りたい! あ、ここもスタアラ魔法聖堂だった! 帰れない!
「ラルフル君! ミリア様という人がいながらこれはどういうことなのです!?」
「ラルフル……。アンタにアタシよりいい人がいるなら、アタシは……!」
二人ともボクの話を聞かずにラルフル君に責め寄っちゃったよ。ボク、もう知~らない。
「あ! ミリアさんにガルペラ侯爵! 丁度良かったです。紹介します。こちらは自分のお姉ちゃんのマカロンです」
「……です?」
「……お姉ちゃん?」
ほら、やっぱりそういうオチじゃないか。ミリア様もガルペラ侯爵も口をあんぐり開けて動かないよ。
「……おい、リョウ神官。大体の事情は察した。お前、あの二人を止められなかったのか?」
「うん、無理」
ゼロラ殿が呆れ顔でボクに尋ねてきた。
無茶言わないでほしい。だって二人とも話を聞かないから……。
0
あなたにおすすめの小説
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる