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第9章 激突・ギャングレオ盗賊団
第118話 対決・ギャングレオ盗賊団参謀長
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サイバラを倒した後、俺は長い螺旋階段を上がっていった。まだサイバラから受けたダメージは癒えきってないが、十分に戦うことはできる。
「流石ですね、ゼロラ様。あなた様なら必ずここにたどり着くと信じてましたよ」
階段を上り終えた先で待っていたのはギャングレオ盗賊団参謀長のコゴーダだった。
手を後ろで組みながら、姿勢を整えて立ちふさがっている。
「随分と手厚く、手荒く歓迎してくれたもんだ。それで俺の実力は分かったのか?」
「ええ、あなたは強い。ここまでたどり着いた時点でそれは確かでしょう。ですが頭領は最後の試験として、この私を投入されました。あと一歩確証が欲しいところですし、それに――」
コゴーダが握った拳を眼前に構えながら口を紡ぐ。
「私も……"ギャングレオ盗賊団参謀長"として、直接この身で確かめたいものでしてね……!」
「あんた頭脳担当じゃなかったのか?」
「私だってギャングレオ盗賊団の一員です。それに……こう見えて私、結構強いんですよ?」
紳士的な装いであるコゴーダだが、その戦い方は俺と同じく素手格闘がベースのようだ。
「老体に鞭打って後で腰でも痛めるんじゃねえぞ?」
「歳の心配はご無用です。あなただって若くはないでしょう?」
ごもっとも。だったら遠慮はなしだ。ここの大ボスの前の最後の一戦、楽しませてもらおうか!
■
「シュ! シュ! シュ!」
「チィ!? 思ったより鋭いな……」
コゴーダの戦い方は<ボクシング>がベースだ。いや、動き自体は完全に<ボクシング>に特化している。パンチ以外の攻撃手段は使わないが、パンチのみで多数のコンビネーションを織り交ぜてくる。
「このぉお!」
「おっと、危ない」
攻撃をパンチのみに集中させているため、足は回避に専念できる。研ぎ澄まされたヒットアンドアウェイ。サイバラのように動きに無駄もなく、シンプルだがそれゆえに厄介だ。
「サイバラ君のように若さゆえの勢いはありませんが、歳をとっているからこそできる戦い方……"老獪"というものですよ」
"老獪"ねぇ……。確かにこのまま攻勢に出ても、守勢に回ってもうまく流されながら戦うことになる。サイバラ戦のダメージが残っていることは織り込み済みなのだろう。それも計算に入れたうえで冷静に戦っている。
「どうにも……あんた相手には下手に考えない方がよさそうだ」
俺はコゴーダのペースに乗せられないように、一気に攻勢に出る。それも勢い任せにだ。
「そんな荒っぽい戦い方では私に……ウグゥ!?」
俺の拳がコゴーダに入る。コゴーダが攻撃を避けきれないほどに何度も連続でパンチとキックの嵐を浴びせる。
「ゴホォオ!? サイバラ君との戦いの後で、まだこれだけ動けますか……」
やはりそうだ。
いくら巧みな技と冷静な対処を身に着けていても、コゴーダは年齢のせいで体力がない。サイバラが俺にしていたのと同じように、俺がコゴーダに休む暇なく攻撃を加え続ければ、いずれ隙が生じる。
「まったく……私ももう少し若ければよかったのですが……」
ポォオオ
コゴーダが自らの体に手を当てて魔法を発動させる。
「回復魔法か……」
「ええ。初歩的なものですが私も魔法には覚えがあります。ですがこんなものでダメージを軽減しても、いずれはこちらのジリ貧になってしまいます。ですので――」
カシャン
コゴーダが両手を後ろに回して何かを装着した。
「少し、小細工をさせていただきます」
コゴーダは再び両手を前に出した。
「メリケンサックか。パンチの威力を上げるってわけか」
「そう思っていただいても構いません。ですが、"それだけ"ではありません」
コゴーダの左ジャブが迫る。俺はガードするが――
カキン
「こ、これは!? 氷魔法か!?」
コゴーダの拳が当たったところが凍りついた。
「メリケンサックは私の魔法を伝搬させるための媒体でもありますので……!」
氷の魔力を纏ったコゴーダの両拳が襲い掛かる。回避を優先するが、一部はガードを余儀なくされる。コゴーダの拳が俺にあたるたびに体の熱を奪われ、こちらの動きが鈍くなってしまう。
「本当に強いな……。ただの頭脳担当じゃなかったわけだ」
「戦いにも頭は使います。歳をとると相応の戦い方も身に付きますしね」
俺も攻勢に出ようとするが、コゴーダの氷魔法にサイバラ戦のダメージが重なって、思うように体を動かせない。
「なんとか拮抗には持っていけましたが、やはり決め手に欠けますか」
そう言ってコゴーダは俺と距離を置く。
「私の必殺技を使わせていただきましょう。……<タイガーファング>!」
コゴーダが左手を大きく振りかぶってオーバーハンドブローを放つ! 俺は体を後ろに反らして回避できたが――
「二発目!?」
コゴーダは一発目の勢いで屈んだ体勢のまま、今度は右手で地を這う虎の如きアッパーを放つ!
「小賢しい!」
「な!?」
アッパーが当たる直前。俺はコゴーダの体を掴んで組み合う! 魔法を使っていてもコゴーダのスタイルは<ボクシング>のままだ! だったら"組み技"には弱いはずだ!
「オォオウラァア!!」
ドスゥウウン……!
俺の背負い投げが完全に決まった。コゴーダにはもう反撃するだけの体力もないようだ。
「俺の勝ちでいいんだな?」
「ええ……そのようで。やはり行く歳来る波には勝てませんか……。老いてますます健在、とは行きませんね……」
とにかくこれでギャングレオ盗賊団から与えられた試験は全部合格だ。
……ようやく頭領シシバに会える。
「流石ですね、ゼロラ様。あなた様なら必ずここにたどり着くと信じてましたよ」
階段を上り終えた先で待っていたのはギャングレオ盗賊団参謀長のコゴーダだった。
手を後ろで組みながら、姿勢を整えて立ちふさがっている。
「随分と手厚く、手荒く歓迎してくれたもんだ。それで俺の実力は分かったのか?」
「ええ、あなたは強い。ここまでたどり着いた時点でそれは確かでしょう。ですが頭領は最後の試験として、この私を投入されました。あと一歩確証が欲しいところですし、それに――」
コゴーダが握った拳を眼前に構えながら口を紡ぐ。
「私も……"ギャングレオ盗賊団参謀長"として、直接この身で確かめたいものでしてね……!」
「あんた頭脳担当じゃなかったのか?」
「私だってギャングレオ盗賊団の一員です。それに……こう見えて私、結構強いんですよ?」
紳士的な装いであるコゴーダだが、その戦い方は俺と同じく素手格闘がベースのようだ。
「老体に鞭打って後で腰でも痛めるんじゃねえぞ?」
「歳の心配はご無用です。あなただって若くはないでしょう?」
ごもっとも。だったら遠慮はなしだ。ここの大ボスの前の最後の一戦、楽しませてもらおうか!
■
「シュ! シュ! シュ!」
「チィ!? 思ったより鋭いな……」
コゴーダの戦い方は<ボクシング>がベースだ。いや、動き自体は完全に<ボクシング>に特化している。パンチ以外の攻撃手段は使わないが、パンチのみで多数のコンビネーションを織り交ぜてくる。
「このぉお!」
「おっと、危ない」
攻撃をパンチのみに集中させているため、足は回避に専念できる。研ぎ澄まされたヒットアンドアウェイ。サイバラのように動きに無駄もなく、シンプルだがそれゆえに厄介だ。
「サイバラ君のように若さゆえの勢いはありませんが、歳をとっているからこそできる戦い方……"老獪"というものですよ」
"老獪"ねぇ……。確かにこのまま攻勢に出ても、守勢に回ってもうまく流されながら戦うことになる。サイバラ戦のダメージが残っていることは織り込み済みなのだろう。それも計算に入れたうえで冷静に戦っている。
「どうにも……あんた相手には下手に考えない方がよさそうだ」
俺はコゴーダのペースに乗せられないように、一気に攻勢に出る。それも勢い任せにだ。
「そんな荒っぽい戦い方では私に……ウグゥ!?」
俺の拳がコゴーダに入る。コゴーダが攻撃を避けきれないほどに何度も連続でパンチとキックの嵐を浴びせる。
「ゴホォオ!? サイバラ君との戦いの後で、まだこれだけ動けますか……」
やはりそうだ。
いくら巧みな技と冷静な対処を身に着けていても、コゴーダは年齢のせいで体力がない。サイバラが俺にしていたのと同じように、俺がコゴーダに休む暇なく攻撃を加え続ければ、いずれ隙が生じる。
「まったく……私ももう少し若ければよかったのですが……」
ポォオオ
コゴーダが自らの体に手を当てて魔法を発動させる。
「回復魔法か……」
「ええ。初歩的なものですが私も魔法には覚えがあります。ですがこんなものでダメージを軽減しても、いずれはこちらのジリ貧になってしまいます。ですので――」
カシャン
コゴーダが両手を後ろに回して何かを装着した。
「少し、小細工をさせていただきます」
コゴーダは再び両手を前に出した。
「メリケンサックか。パンチの威力を上げるってわけか」
「そう思っていただいても構いません。ですが、"それだけ"ではありません」
コゴーダの左ジャブが迫る。俺はガードするが――
カキン
「こ、これは!? 氷魔法か!?」
コゴーダの拳が当たったところが凍りついた。
「メリケンサックは私の魔法を伝搬させるための媒体でもありますので……!」
氷の魔力を纏ったコゴーダの両拳が襲い掛かる。回避を優先するが、一部はガードを余儀なくされる。コゴーダの拳が俺にあたるたびに体の熱を奪われ、こちらの動きが鈍くなってしまう。
「本当に強いな……。ただの頭脳担当じゃなかったわけだ」
「戦いにも頭は使います。歳をとると相応の戦い方も身に付きますしね」
俺も攻勢に出ようとするが、コゴーダの氷魔法にサイバラ戦のダメージが重なって、思うように体を動かせない。
「なんとか拮抗には持っていけましたが、やはり決め手に欠けますか」
そう言ってコゴーダは俺と距離を置く。
「私の必殺技を使わせていただきましょう。……<タイガーファング>!」
コゴーダが左手を大きく振りかぶってオーバーハンドブローを放つ! 俺は体を後ろに反らして回避できたが――
「二発目!?」
コゴーダは一発目の勢いで屈んだ体勢のまま、今度は右手で地を這う虎の如きアッパーを放つ!
「小賢しい!」
「な!?」
アッパーが当たる直前。俺はコゴーダの体を掴んで組み合う! 魔法を使っていてもコゴーダのスタイルは<ボクシング>のままだ! だったら"組み技"には弱いはずだ!
「オォオウラァア!!」
ドスゥウウン……!
俺の背負い投げが完全に決まった。コゴーダにはもう反撃するだけの体力もないようだ。
「俺の勝ちでいいんだな?」
「ええ……そのようで。やはり行く歳来る波には勝てませんか……。老いてますます健在、とは行きませんね……」
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