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第15章 メカトロニクス・ファイト
第197話 あれは誰だったのか?
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「おっかぁ! 帰ったど! 客人もいるから飯の用意を頼むど!」
「『おっかぁ』?」
「オクバ殿の奥さんでおじゃる」
俺達が屋敷に入ると、オクバが奥さんを呼んだ。……そういや結婚してたんだな、こいつ。
「あら~? あなたがオジャル伯爵以外に人間のお客さんを呼ぶなんて~、珍しいわね~」
オクバに呼ばれて現れたのは、薄い金髪のロングヘア―の美人で耳のなが~い――
「エルフじゃねえか!?」
「ぼ、僕も初めて見たよ……!」
オークのオクバの奥さんはエルフだった。
ルクガイア王国でエルフは珍しいのだが、まさかオークの嫁として会うことができるとは……。
「驚いたでおじゃろう? まろも最初は驚いたでおじゃる」
「だろうな……」
「オークとエルフの結婚って、すごいね……」
オジャル伯爵が俺達にコメントを求めていると、奥から子供の声がしてきた。
「おっとー! お帰りー!」
「おっとー。この人達はお客さん?」
「おお! おでのかわいい息子と娘よ! この二人はおっとーの大事なお客さんだど。無礼はダメだど?」
オクバのことを『おっとー』――父と呼ぶ小さなオーク風の男の子と、エルフ風の女の子が現れた。
……そういや子供もいたんだっけな、こいつ。
「ゼロラ殿……。僕はこういう種族を超えた関係に感動を覚えてはいるのだが……なぜかオクバ殿に負けた気がする」
「奇遇だな、ロギウス。俺もだ……。あいつ人生勝ち組だろ……」
オクバ一家の様子を見て奇妙な敗北感に襲われる、俺とロギウスであった。
「ま、まあ、お二方とも! 今日は大変だったでおじゃる! 部屋は用意するので、食事の後はゆっくり休むでおじゃる!」
そんな俺達を気遣うオジャル伯爵。最悪な奴だと思ってたけど、今の俺達にとってはいい奴だよな……。
「オジャル伯爵……。前は全力で殴り飛ばしてごめんな……」
「ゼロラ殿……。あれはまろの方が悪かったのは明白でおじゃる。とりあえずその悲しい目は勘弁願いたいでおじゃる……」
そんなオジャル伯爵達の好意にあずかり、俺とロギウスは食事の後は部屋で休ませてもらうことになった。
■
「エルフの作る飯はうまいもんだったな」
「今日は色々あったからね。……本当に色々」
食事を済ませて用意された部屋に入った俺とロギウスは、各々思うところがありながらもくつろいでいる。
「……それにしても、俺達を襲ったあの黒服の連中……。結局のところ何者だったんだ……?」
「魔幻塔で作られたと思われる衣装を着ていたからボーネス公爵やジャコウの手の者だろう。おそらく、"ルクガイア暗部"の人間だ」「"ルクガイア暗部"?」
そんな俺達がお互いに思った六人の追跡者に関する疑問。
ロギウスはそれを"ルクガイア暗部"という組織の仕業だと考えた。
「王国騎士団とも黒蛇部隊とも違う。ジャコウが率いているルクガイア王国の裏組織。僕にも正体不明の完全なる暗躍部隊――それが"ルクガイア暗部"だ」
王子であるロギウスでさえその正体を掴めない組織か……。厄介なのが出てきたな。
だが、俺が直接戦ったあの六人目の追跡者の存在は何だったんだ?
「"ルクガイア暗部"もだけど、僕がそれ以上に気になるのは、やはりあの異常なまでに強かった六人目の追跡者だ。あんな人間が"ルクガイア暗部"にいたなんて……」
ロギウスも気になっていたらしい。
お互いに手の内を見せ始める前に戦いが終わったため、詳細は分からないが、その実力は間違いなく本物だ。
俺がここまで手応えを感じた相手はシシバとジフウぐらいだ。特にジフウとは決着がつかないままで終わっている。
……ジフウ? そういえばあいつが言ってたな――
「【虎殺しの暴虎】……」
「【虎殺しの暴虎】? それは確か王国内でジフウ隊長が呼ばれている二つ名、【龍殺しの狂龍】と双璧をなす――まさか……!?」
俺が口にした言葉にロギウスが驚く。そして俺と同じ考えに至ったようだ。
「ジフウから聞いたんだが、【虎殺しの暴虎】はジャコウの配下らしい。だとすれば辻褄が合う」
「確かに……。あれだけの実力を持ち、魔幻塔と――ジャコウと繋がりがあるのならば、あの六人目の追跡者こそが【虎殺しの暴虎】であることにも納得できる。だがもう一つ気になるのは、なぜ僕達を"襲ってきたのか"だ」
ロギウスもあの追跡者が【虎殺しの暴虎】であることには納得できるようだが、襲ってきた理由は分からないようだ。
「俺達を消すためじゃないか? 連中にとって俺達なんて、邪魔者以外の何者でもないだろ?」
「確かに"襲ってきた理由"自体はそれで間違いないだろう。僕が気になっているのは、なぜ僕達が今日このダウンビーズに"やって来ることを知っていたのか"、ということだ」
確かに……。言われてみれば妙な話だ……。
「僕達がテコロン鉱山に向かっていることは僕達の仲間達なら知っていることだ。その道中であるダウンビーズに寄ることも想像できるだろう。これはあまり考えたくない話なのだが――」
ロギウスは言いづらそうに自らの考えを口にする。
「僕達の仲間に……"内通者"が紛れ込んでいるのかもしれない」
「"内通者"……!? 俺達の中に裏切り者が……!?」
確かに考えたくない話だ。俺達の仲間に裏切って王国側についた"内通者"がいるだなんて……。
「これは僕の推測の域を出ない。このことはまだ内密に頼むよ」
「分かってる……」
俺達の仲間の中に裏切り者か……。できれば嘘であってほしい話だ。
だが【虎殺しの暴虎】と思われる人間と戦った俺の頭には、"ある一人の男"がその可能性として浮かび上がっていた――
「『おっかぁ』?」
「オクバ殿の奥さんでおじゃる」
俺達が屋敷に入ると、オクバが奥さんを呼んだ。……そういや結婚してたんだな、こいつ。
「あら~? あなたがオジャル伯爵以外に人間のお客さんを呼ぶなんて~、珍しいわね~」
オクバに呼ばれて現れたのは、薄い金髪のロングヘア―の美人で耳のなが~い――
「エルフじゃねえか!?」
「ぼ、僕も初めて見たよ……!」
オークのオクバの奥さんはエルフだった。
ルクガイア王国でエルフは珍しいのだが、まさかオークの嫁として会うことができるとは……。
「驚いたでおじゃろう? まろも最初は驚いたでおじゃる」
「だろうな……」
「オークとエルフの結婚って、すごいね……」
オジャル伯爵が俺達にコメントを求めていると、奥から子供の声がしてきた。
「おっとー! お帰りー!」
「おっとー。この人達はお客さん?」
「おお! おでのかわいい息子と娘よ! この二人はおっとーの大事なお客さんだど。無礼はダメだど?」
オクバのことを『おっとー』――父と呼ぶ小さなオーク風の男の子と、エルフ風の女の子が現れた。
……そういや子供もいたんだっけな、こいつ。
「ゼロラ殿……。僕はこういう種族を超えた関係に感動を覚えてはいるのだが……なぜかオクバ殿に負けた気がする」
「奇遇だな、ロギウス。俺もだ……。あいつ人生勝ち組だろ……」
オクバ一家の様子を見て奇妙な敗北感に襲われる、俺とロギウスであった。
「ま、まあ、お二方とも! 今日は大変だったでおじゃる! 部屋は用意するので、食事の後はゆっくり休むでおじゃる!」
そんな俺達を気遣うオジャル伯爵。最悪な奴だと思ってたけど、今の俺達にとってはいい奴だよな……。
「オジャル伯爵……。前は全力で殴り飛ばしてごめんな……」
「ゼロラ殿……。あれはまろの方が悪かったのは明白でおじゃる。とりあえずその悲しい目は勘弁願いたいでおじゃる……」
そんなオジャル伯爵達の好意にあずかり、俺とロギウスは食事の後は部屋で休ませてもらうことになった。
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「エルフの作る飯はうまいもんだったな」
「今日は色々あったからね。……本当に色々」
食事を済ませて用意された部屋に入った俺とロギウスは、各々思うところがありながらもくつろいでいる。
「……それにしても、俺達を襲ったあの黒服の連中……。結局のところ何者だったんだ……?」
「魔幻塔で作られたと思われる衣装を着ていたからボーネス公爵やジャコウの手の者だろう。おそらく、"ルクガイア暗部"の人間だ」「"ルクガイア暗部"?」
そんな俺達がお互いに思った六人の追跡者に関する疑問。
ロギウスはそれを"ルクガイア暗部"という組織の仕業だと考えた。
「王国騎士団とも黒蛇部隊とも違う。ジャコウが率いているルクガイア王国の裏組織。僕にも正体不明の完全なる暗躍部隊――それが"ルクガイア暗部"だ」
王子であるロギウスでさえその正体を掴めない組織か……。厄介なのが出てきたな。
だが、俺が直接戦ったあの六人目の追跡者の存在は何だったんだ?
「"ルクガイア暗部"もだけど、僕がそれ以上に気になるのは、やはりあの異常なまでに強かった六人目の追跡者だ。あんな人間が"ルクガイア暗部"にいたなんて……」
ロギウスも気になっていたらしい。
お互いに手の内を見せ始める前に戦いが終わったため、詳細は分からないが、その実力は間違いなく本物だ。
俺がここまで手応えを感じた相手はシシバとジフウぐらいだ。特にジフウとは決着がつかないままで終わっている。
……ジフウ? そういえばあいつが言ってたな――
「【虎殺しの暴虎】……」
「【虎殺しの暴虎】? それは確か王国内でジフウ隊長が呼ばれている二つ名、【龍殺しの狂龍】と双璧をなす――まさか……!?」
俺が口にした言葉にロギウスが驚く。そして俺と同じ考えに至ったようだ。
「ジフウから聞いたんだが、【虎殺しの暴虎】はジャコウの配下らしい。だとすれば辻褄が合う」
「確かに……。あれだけの実力を持ち、魔幻塔と――ジャコウと繋がりがあるのならば、あの六人目の追跡者こそが【虎殺しの暴虎】であることにも納得できる。だがもう一つ気になるのは、なぜ僕達を"襲ってきたのか"だ」
ロギウスもあの追跡者が【虎殺しの暴虎】であることには納得できるようだが、襲ってきた理由は分からないようだ。
「俺達を消すためじゃないか? 連中にとって俺達なんて、邪魔者以外の何者でもないだろ?」
「確かに"襲ってきた理由"自体はそれで間違いないだろう。僕が気になっているのは、なぜ僕達が今日このダウンビーズに"やって来ることを知っていたのか"、ということだ」
確かに……。言われてみれば妙な話だ……。
「僕達がテコロン鉱山に向かっていることは僕達の仲間達なら知っていることだ。その道中であるダウンビーズに寄ることも想像できるだろう。これはあまり考えたくない話なのだが――」
ロギウスは言いづらそうに自らの考えを口にする。
「僕達の仲間に……"内通者"が紛れ込んでいるのかもしれない」
「"内通者"……!? 俺達の中に裏切り者が……!?」
確かに考えたくない話だ。俺達の仲間に裏切って王国側についた"内通者"がいるだなんて……。
「これは僕の推測の域を出ない。このことはまだ内密に頼むよ」
「分かってる……」
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