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第15章 メカトロニクス・ファイト
第207話 対決・元ルクガイア王国騎士団二番隊隊士④
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「フオオオーーーー……!!」
フロストの指示を受け、フレイムはこれまで以上に大きく息を吸い込み始める。
こちらは体の自由が利かないままだ。これは死んだかもな……。
「ん? あ! いや!? ちょっと待て、フレイム! その位置での発射はマズイ! 一旦中断しろ!」
「フオ、オォ、オ?」
「いいから中断しろ! 吸い込んだ息は上手いこと少しずつ吐き出していけ! <キャノンブレス>発射の衝撃ばっかりは、この防壁ガラスでも防げないからな~」
「フオーン……」
「だから上手いこと空気を外に出してけってーの。<オーバースチーム>も排出経路への負担が大きいから、できるだけ使わずにな」
再び<キャノンブレス>を発射しようとするフレイムをフロストが制止させる。
よく見るとフレイムが立っている後ろには、さっきからフロストがガラス越しに指示を出しているガラスで仕切られたスペース。そしてその延長線上に俺とロギウス。
確かにこのままだと発射の衝撃でフレイムが後逸した時、フロストのスペースにフレイムが突っ込む形になるな……。
で、そんなやり取りを見ていて、もう一つ気になっていたことが――
「なあ、ロギウス。フレイムはロボットやニナーナとは違って、自我はあるんだよな?」
「うん、あるね。本人が喋れないだけで、ベースは人間だからね。一応」
さっきもこっちを見て嘲り笑ったり、驚いてたりはしてたからな。
「それなのに戦う時はフロストの指示しか聞かないんだな」
「フレイムってあんなに大きな図体してるけど、結構小心者なんだよね」
それも何となく分かる。フロストとのやり取りを見聞きしていると、どうにもフレイムはどちらかといえば臆病な性格のようだ。
そして俺が思っていた疑問。ロギウスも同じく抱いていた疑問。
それは――
『フレイムって、フロストの指示がないと何もできないんじゃないか?』
「フ……オォォォ……」
「よーしよし。そのまま少しずつ空気を逃がしていけ。どーせあの二人もお前にはすぐに手出しできまい」
フロストはこちらには目もくれず、"マイク"と呼ばれるものに口を当てながら、フレイムに息を少しずつ吐き出すように促している。
<オーバースチーム>による体の痺れも収まってきたが、確かに俺達じゃすぐに手出しはできないだろうよ。"フレイムには"。
「ロギウス。フロストが言ってた"スピーカー"ってのは、さっきからフロストの声がしてるアレのことだな?」
俺は壁に取り付けられている声の発生源を見て尋ねる。
「うん、そうだね」
「それじゃあ……そこからあのフロストのいるスペースまで伸びてる紐と連動して、あいつの声を出してるんだな?」
「十中八九間違いないね」
フロストのいるスペースはガラスで密閉されている。
フレイムに指示を出そうにも、ただ声を出すだけでは伝わらない。
つまり――
「それ引きちぎってくれぇえ! ゼロラ殿ぉおお!!」
「こんなのばっかりじゃねえかぁあ! 畜生ぉおお!!」
俺は急いでその紐を引きちぎった。
「よーし、これでいいだろ。それじゃ―――」
「フ? フオン? フオーン?」
完全に予想通り。フロストの声は全く聞こえなくなった。
急に兄の声が聞こえなくなった弟のフレイムは、どうしたらよいのか分からずオロオロしている。
「マジでフロストの指示がないと何もできねえのかよ……」
「彼って基本的にフロスト元隊長と一緒でしか行動しないからね……」
あっけない展開に呆れる俺とロギウス。
自分一人でどうしたらよいのか分からなくてパニック気味のフレイムは、とりあえずフロストから受けた指示に従うことにしたようだ。
「フオオオーーー……!!」
「―――ッ!? ――――――!!」
再び大きく息を吸い込むフレイム。
その後ろで「やめろ! 馬鹿!」とでも言いたげにガラスを叩きながら訴えるフロスト。
「ゼロラ殿。僕の後ろに回って、体を支えていてくれ。防御魔法を全開にすれば、<キャノンブレス>にもギリギリ耐えられる」
「分かった。支えててやるから、任せたぜ」
ロギウスが防御魔法を全開にして眼前に魔法のバリアを作り出す。
俺はその体を後ろから支えて衝撃に備える。
位置取りはそのまま。俺達の前にフレイム。その後ろのガラススペースにフロスト――
「――オオオオオォ!!」
フレイムが<キャノンブレス>を発射した。攻撃は俺達に真っ直ぐ向かって着弾した。
ロギウスの防御魔法によって守られながら、その衝撃に耐えるように俺が支える。
――そしてフレイムは<キャノンブレス>発射の衝撃で大きく後ろに後逸する。
ガシャァアアアン!!
「だーからやめろって言ってるだろーが! このバカ弟が~―― ゲブフゥウ!?」
「フオオオォ!!??」
フレイムが後逸したことで、フロストを守っていたガラススペースは粉々に粉砕。
そのままフロストはフレイムと壁に押しつぶされてしまった。
最初からこうしておけばよかった……。
フロストの指示を受け、フレイムはこれまで以上に大きく息を吸い込み始める。
こちらは体の自由が利かないままだ。これは死んだかもな……。
「ん? あ! いや!? ちょっと待て、フレイム! その位置での発射はマズイ! 一旦中断しろ!」
「フオ、オォ、オ?」
「いいから中断しろ! 吸い込んだ息は上手いこと少しずつ吐き出していけ! <キャノンブレス>発射の衝撃ばっかりは、この防壁ガラスでも防げないからな~」
「フオーン……」
「だから上手いこと空気を外に出してけってーの。<オーバースチーム>も排出経路への負担が大きいから、できるだけ使わずにな」
再び<キャノンブレス>を発射しようとするフレイムをフロストが制止させる。
よく見るとフレイムが立っている後ろには、さっきからフロストがガラス越しに指示を出しているガラスで仕切られたスペース。そしてその延長線上に俺とロギウス。
確かにこのままだと発射の衝撃でフレイムが後逸した時、フロストのスペースにフレイムが突っ込む形になるな……。
で、そんなやり取りを見ていて、もう一つ気になっていたことが――
「なあ、ロギウス。フレイムはロボットやニナーナとは違って、自我はあるんだよな?」
「うん、あるね。本人が喋れないだけで、ベースは人間だからね。一応」
さっきもこっちを見て嘲り笑ったり、驚いてたりはしてたからな。
「それなのに戦う時はフロストの指示しか聞かないんだな」
「フレイムってあんなに大きな図体してるけど、結構小心者なんだよね」
それも何となく分かる。フロストとのやり取りを見聞きしていると、どうにもフレイムはどちらかといえば臆病な性格のようだ。
そして俺が思っていた疑問。ロギウスも同じく抱いていた疑問。
それは――
『フレイムって、フロストの指示がないと何もできないんじゃないか?』
「フ……オォォォ……」
「よーしよし。そのまま少しずつ空気を逃がしていけ。どーせあの二人もお前にはすぐに手出しできまい」
フロストはこちらには目もくれず、"マイク"と呼ばれるものに口を当てながら、フレイムに息を少しずつ吐き出すように促している。
<オーバースチーム>による体の痺れも収まってきたが、確かに俺達じゃすぐに手出しはできないだろうよ。"フレイムには"。
「ロギウス。フロストが言ってた"スピーカー"ってのは、さっきからフロストの声がしてるアレのことだな?」
俺は壁に取り付けられている声の発生源を見て尋ねる。
「うん、そうだね」
「それじゃあ……そこからあのフロストのいるスペースまで伸びてる紐と連動して、あいつの声を出してるんだな?」
「十中八九間違いないね」
フロストのいるスペースはガラスで密閉されている。
フレイムに指示を出そうにも、ただ声を出すだけでは伝わらない。
つまり――
「それ引きちぎってくれぇえ! ゼロラ殿ぉおお!!」
「こんなのばっかりじゃねえかぁあ! 畜生ぉおお!!」
俺は急いでその紐を引きちぎった。
「よーし、これでいいだろ。それじゃ―――」
「フ? フオン? フオーン?」
完全に予想通り。フロストの声は全く聞こえなくなった。
急に兄の声が聞こえなくなった弟のフレイムは、どうしたらよいのか分からずオロオロしている。
「マジでフロストの指示がないと何もできねえのかよ……」
「彼って基本的にフロスト元隊長と一緒でしか行動しないからね……」
あっけない展開に呆れる俺とロギウス。
自分一人でどうしたらよいのか分からなくてパニック気味のフレイムは、とりあえずフロストから受けた指示に従うことにしたようだ。
「フオオオーーー……!!」
「―――ッ!? ――――――!!」
再び大きく息を吸い込むフレイム。
その後ろで「やめろ! 馬鹿!」とでも言いたげにガラスを叩きながら訴えるフロスト。
「ゼロラ殿。僕の後ろに回って、体を支えていてくれ。防御魔法を全開にすれば、<キャノンブレス>にもギリギリ耐えられる」
「分かった。支えててやるから、任せたぜ」
ロギウスが防御魔法を全開にして眼前に魔法のバリアを作り出す。
俺はその体を後ろから支えて衝撃に備える。
位置取りはそのまま。俺達の前にフレイム。その後ろのガラススペースにフロスト――
「――オオオオオォ!!」
フレイムが<キャノンブレス>を発射した。攻撃は俺達に真っ直ぐ向かって着弾した。
ロギウスの防御魔法によって守られながら、その衝撃に耐えるように俺が支える。
――そしてフレイムは<キャノンブレス>発射の衝撃で大きく後ろに後逸する。
ガシャァアアアン!!
「だーからやめろって言ってるだろーが! このバカ弟が~―― ゲブフゥウ!?」
「フオオオォ!!??」
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最初からこうしておけばよかった……。
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