記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第22章 改革の歌

第311話 改革二重奏王都開戦①

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 こちらは俺とジフウの二人。敵は多数の王国騎士団一番隊。

 ――それでも俺に臆するものなど何もなかった。

「ドォオラァアア!!」
「ゴフゥ!? す、素手で鎧を砕くだと……!?」

「ダァウラァアア!!」
「こ、これが黒蛇部隊隊長、【龍殺しの狂龍】の実力……!?」

 一番隊は確かに他の王国騎士団よりも強い。
 だが俺とジフウが手を組んだ以上、恐れる相手ではない!

 俺の拳が、蹴りが、王国騎士団の鎧を貫き吹き飛ばす!
 ジフウの投げが、関節技が、王国騎士団をどんどんと打ち倒す!

「ウハハハハ! どうした!? もっとじゃんじゃんかかってきやがれぇえ!!」

 ジフウはかつてないほど楽しそうに王国騎士団をなぎ倒していく。
 これまでジフウを縛り付けていた、"権力の渦中"という鎖はもうない。
 <絶対王権>によって、ジャコウと完全に袂を絶った【龍殺しの狂龍】――
 首輪を外された"本物の龍"が狂ったように暴れ、戦場を蹂躙する。

「こっちにも来い! 俺とジフウで、まとめて面倒見てやるぜぇえ!!」

 俺も負けてはいられない。
 ジフウが相手しているのとは別の王国騎士団を、怒涛の勢いで蹂躙する。
 <絶対王権>で賊軍となった王国騎士団――
 こいつらを倒せば、俺達改革派の勝利となる!

「合わせるぞ! ジフウ!」
「任せろ! ゼロラ!」

 俺とジフウはそれぞれ掴んでいた騎士を、背中合わせになるように投げ飛ばす!

「オォラァア!!」
「ダラァアア!!」

 バギャン!!

 そして同時に二人の騎士それぞれへと放たれる飛び膝蹴り。
 お互いの顔面へと直撃した衝撃は逃げ場なく、二人の騎士にまともに流れ込んで行った。

「さあ! どんどん来やがれ! てめぇら全員……一人残らず面倒見てやるよぉお!!」
「ウハハハハ! ジャコウの犬どもが! この黒蛇部隊隊長ジフウ様に……勝てると思うなぁあ!!」

 俺とジフウの勢いに王国騎士団はたじろいでいる。
 数も力もこれまで戦った王国騎士団の中で最強の相手――

 だが、今の俺達二人は止められない!
 王国騎士団は剣や魔法で応戦するも、そのこと如くを俺とジフウによって打ち破る!

「え、ええい! 何をしておるのじゃ! 魔法使いどもよ! 早く<極大火球魔法>を放つのじゃ!」

 そんな戦いの様子を後方で見ていたジャコウは、自身の前方に魔法使いを横一列に並ばせて、何やら魔法の準備をさせていた。

「<極大火球魔法>だ! 避けろ! ゼロラ!!」

 ジフウの言葉を聞いたと同時に――


 ボォウゥン!!


 ――魔法使い達の連携で、巨大な火球が二つこちらに迫ってきた!

「小賢しいな……」

 弾き返すのは難しい大きさの火球。しかもそれが二つ――

 だが、俺にはその火球の軌道が完全に読めていた。
 その場から動くことなく、体を反らして火球をやり過ごす。



 ドゴォオン!

「ぐ、ぐはっ!?」
「あ、熱い!?」

 俺が交わした火球はそのまま後方にいた王国騎士団へと被弾した。
 最早ジャコウはヤケクソになっているようだ。
 少し挑発すればこっちの思い通りに行きそうだな――

「ジフウ。お前も魔法を素手で弾き返すことはできるな?」
「当たり前だ! お前にできて、俺にできないわけねえだろ!」

 ジフウは余裕綽々といった感じだ。
 だったら手っ取り早く行くとするか――



「ジャコウ。俺達二人を倒す気なら、もっとガンガン魔法を打ち込んでこないと無茶な話だぜ?」

 俺は笑みを浮かべながらジャコウを挑発してやった。

「お、おのれ~! わしを小馬鹿にするでないわ! 魔法使いどもよ! あの二人に火球魔法の雨を浴びせてやるのじゃ!」

 俺の挑発に簡単に乗ってくれたジャコウは、魔法使いに火球魔法を使うよう命じる。

 馬鹿な男だ。俺達の考えも知らずに――

「行くぞ! ジフウ!」
「おうよ! ゼロラ!」

 俺とジフウで大量に放たれた火球魔法へと突っ込み――

「オラオラオラァアア!!」
「ダラダラダラァアア!!」

 ――手当たり次第にその火球を周囲へと弾き飛ばしていった!

「な!? あれだけの火球を素手で―― ゴフゥ!?」
「だ、ダメだ! 捌ききれない!」

 俺とジフウが弾き飛ばした火球は、王国騎士団へと流れていった。
 大量の火球を俺達に放ったがために、王国騎士団は次々と流れ弾で倒れていく。

「き、貴様ら~! よくもぉお!!」
「てめぇが考えなしに挑発に乗るからだろ」
「フナ虫ジャコウが。てめぇはそもそも軍師なんて器じゃねえんだよ。ウハハハ!」

 俺とジフウに嵌められて、ますます激昂するジャコウ。
 ジフウが言う通り、こんなに感情的に動いていては軍師なんて務まらない。
 改革派にはロギウスという名軍師がいる。
 ジャコウもあいつを見習えばいいものを――





「ま、まだじゃ! 障壁魔法の準備はできておるな!?」
「は、はい! 先程整いました!」

 ――どうやら、ジャコウにもまだ策があったようだ。
 ジャコウの元に集められた先程とは別の魔法使い達が、何やら魔法を唱え始める――


 ガキィイン――


「成程……。障壁魔法で俺とジフウを分断させてきたか」
「悪あがきばっかりするフナ虫だぜ……まったく」

 俺とジフウは障壁魔法によって二手に分断された。
 確かにこれで連携して動くことは難しくなったが、それでも負ける気はしない。



 ――そして、ジャコウは俺の方にいる。

「ゼロラ。ジャコウへの止めは任せる。俺もこっちの連中を蹴散らし次第、どうにかそっちへ回り込む」
「分かった。お前が来る前にケリをつけておくぜ」

 王国騎士団総大将、軍師ジャコウの討伐は俺に託された。

 こいつを倒せばこの戦いは終わりだ――
 貴族によるこの国の腐敗、この国の新たなる未来――
 その実現のためにも、俺に倒されてもらうぞ……ジャコウ!
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