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第25章 新たなる世界へ
第368話 悪あがき
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「ふ~。戻ってこれたのです」
「こ、ここはウォウサカか……?」
「なんでわたくし達が……こんな目に……!?」
「お二方とも、潔く現状を受け入れられよ」
ガルペラはレイキース、リフィー、バルカウスの勇者パーティー三人を連れて、ウォウサカへと戻ってきた。
ウォウサカの街は突如消えていった<ナイトメアハザード>に困惑していたが、人々は活気を取り戻し始めていた。
「ウォウサカも元通りなのです。これなら、皆を迎えに行けるのです。でもその前に、レイキースさん達をどうにか――」
「ガルペラ侯爵! これはどういう事態だい!? <ナイトメアハザード>は晴れていくし、レイキース達もケガしてるし……!?」
ジフウに頼まれた要件をこなそうとするガルペラの元に、ロギウスが困惑しながら駆けつけてきた。
突如執務を抜け出したガルペラ達のことを、ロギウスも心配していたのだ。
「ロギウス殿下! 丁度良かったのです! 実は――」
ガルペラは事情を説明した。
ゼロラの記憶のため、魔王城に向かったこと。
ゼロラが余計な邪魔を入れたくないために、レイキース達を弾いたこと。
そして、ゼロラ達の活躍により、<ナイトメアハザード>の問題が解決したこと。
ガルペラが知る限りの情報を、ロギウスに伝えた。
「――っと、言う訳なのです。なのでロギウス殿下、早速魔王城まで船を用意してほしいのです」
「大体の事情は分かった。レイキース達の身柄もこちらでいったん預かろう」
ガルペラからの情報だけでは正確なことまでは分からなかったが、それでもゼロラ達仲間のため、ロギウスは早速方々に手を回し始めた。
「レイキース、リフィー、バルカウス。悪いけど、ここは大人しく従ってもらうよ」
「くそ……! こ、このことをレーコ公爵に報告して――」
「残念だけど、レーコ公爵にもう僕達をどうにかできる力は残ってない」
「な、なんですって!? どういうことなの!?」
「君達がいない間に、改革は成立した。もうこれまで傲慢の限りを尽くした貴族に、権力なんて残ってない」
「そうか……改革は成立したのか。ハハハッ、やはりそうなったか」
部下に指示を出してレイキース達を連れて行こうとするロギウスから放たれた言葉は、これまでルクガイア王国を離れていた三人にとっての驚愕の事実。
レイキースは歯を食いしばり、焦燥する。
リフィーはレーコ公爵の失墜に、茫然となる。
バルカウスだけがその事実を理解し、どこか安堵した笑みを浮かべた。
なす術なく連れていかれる勇者パーティーの三人。
改革が成立した以上、この三人の扱いも変わってくる。
そんな光景を、ウォウサカの住人達も特別不思議がることなく見守っていた。
「……ジャコウ様達に報告が必要か」
ただそんな民衆の中で、漆黒のローブで身を隠した五人組だけは事態を静観することはできなかった。
■
「なんじゃと!? レイキース様達がロギウス殿下達に連行されたじゃと!?」
「はい。そしてこの件、例の【零の修羅】ゼロラも関わっているようで――」
レイキース達の様子を見ていた五人組――ルクガイア暗部構成員達は、事の次第を上司のジャコウに報告した。
「詳しいことは分からぬか。だが! これは千歳一隅のチャンスやもしれぬ!」
ジャコウと同じく報告を聞いたボーネス公爵は、その目を血走らせながらいきり立った。
ボーネス公爵達は現在、ウォウサカの近くで自らが所有する船に潜んでいる。
このままルクガイア王国に居座っていても、自身の立場が危ぶまれるだけ。
それでも、これまで築き上げてきた地位は捨てがたい。
そんなボーネス公爵は六隻の船による艦隊を組み、ルクガイア王国海岸沿いの岩陰に身を隠していた。
そこで再起の機会を伺いつつ、国外逃亡もできるように――
「ジャコウ! 全艦出撃させるぞ! あの忌々しいゼロラどもを、一網打尽にするのだ!」
「ボ、ボーネス公爵!? 今そんな大規模な動きをしては、目をつけられて――」
「構うものか! わしらに後などないのだぞ!? ここでゼロラども皆殺しにし、わしの権威を復活させるのだ! ガハハ、ガーハハハ!!」
そんなボーネス公爵から下された、ゼロラ達を倒すための命令。
焦点の合わなくなった目を血走らせ、壊れたように笑うボーネス公爵に、最早正常な判断などできなかった。
「そ、そうですな……。ゼロラどもさえ倒してしまえば、わしらはまた返り咲けますのじゃ! ヒヒ、ヒーヒヒヒ!!」
そして、それはジャコウも同じ。
ボーネス公爵の凶行を止めることなく、この危機的状況に我を失い賛同した。
「者ども! 船を出すのじゃ! 帆に風魔法を使い、全速力でゼロラどもを海の藻屑としてしまうのじゃ!」
「は、はい……。分かりました……」
ジャコウに命令され、ルクガイア暗部の五人やボーネス公爵の部下達は船を出す。
己の愚行の積み重ねにより、己の身が滅ぶ寸前となった一団を乗せた、六隻の艦隊――
さらなる愚行が、悪あがきが、ゼロラ達へと迫り始める――
■
「ん? あんなところに六隻も船があるのです。あれはロギウス殿下が手配した船なのです?」
「いや、僕はまだ船の手配はしてないが……?」
そんなボーネス公爵が率いる艦隊の様子は、ガルペラとロギウスにも見えていた。
「双眼鏡を貸してくれ。――ッ!? あ、あれは!? ボーネス公爵の船か!?」
ロギウスは艦隊の正体を確かめるため、部下から借りた双眼鏡を覗く。
そしてその船にボーネス公爵が乗っていることを見て、その顔が青ざめ始める。
「ま、まずい……! ボーネス公爵はゼロラ殿達を襲うつもりだ! 何を考えているんだ!?」
「お、おそらく切羽詰まり過ぎて、何も考えれてないのです! すぐに私達も向かうのです!」
ロギウスもガルペラもおおよその事態を把握し、すぐに船を準備しようとした。
だが、相手はボーネス公爵が率いる六隻の艦隊。
急ごしらえで用意した船では、ただ返り討ちに会うだけだ――
「ロギウス、ガルペラ侯爵。二人はここに残っていてくれ。この先の海戦、余が出るとしよう」
そんな二人の元に現れたのは、ルクガイア王国国王、ルクベール三世だった。
「父上!? ですが、ボーネス公爵は六隻の船で艦隊を組んでいます! 今ここにある船だけでは、返り討ちに――」
「ボーネス公爵の動きは余の方でも予想していた。最低限の準備はしてある」
そう言って国王はウォウサカの港に近づく、一隻の船を指さした。
その船は一般的な船よりもはるかに大きく、大砲などの装備も備わっている。
さらに帆にはルクガイア王国の国章が描かれている。
それはルクガイア王国の国民にとって、もっとも強大な力の尊重――
「余とて無理をするつもりはない。だが、この船でボーネス公爵を威嚇することぐらいはできるだろう」
「す、すごい……! 父上がこんな船を用意していただなんて……!」
「陛下! 私達も乗せてほしいのです!」
「それはできぬ。お主達二人はこの国の未来を創る存在だ。"真にこの国の長"たる者として、二人には残っていてほしい」
国王はロギウスとガルペラの同乗を拒否する。
今このルクガイア王国にとって必要なのは、国王である自身ではなく、この二人であることを国王は理解していた。
今の国王には、一軍の将としての立ち振る舞いが相応しい。
「それに、この船以外の戦力も用意しておる」
さらに国王はあらかじめ依頼していた後ろの人物達を、ロギウス達に紹介する。
「いつになく覚悟を決めたようだな、陛下。まあいい。俺も"三公爵"の一人として、あの狸ジジイとはケリをつけたいとは思っていた」
「クーカカカ! この俺を一時的に釈放してまで頼るとはな~! ルクガイア王国の国王陛下が聡明だってことを、この先の海で見せてやるよ~!」
そうして現れたのは、バクトとフロスト。
その後ろにはギャングレオ盗賊団の精鋭護衛衆二人と、隊長ジフウ以外の黒蛇部隊も出揃っている。
「皆、今一度余に力を貸してくれ。ボーネス公爵はこの国にとって、最大の膿とも言える存在。この海戦にて、それを討ち取ってくれようぞ!」
国王の号令に応えるように、集められた人員は船へと乗り込んでいく。
そして、ゼロラ達を助けるため、ボーネス公爵達を倒すため、国王が船長を務める船は沖合と出航した――
「こ、ここはウォウサカか……?」
「なんでわたくし達が……こんな目に……!?」
「お二方とも、潔く現状を受け入れられよ」
ガルペラはレイキース、リフィー、バルカウスの勇者パーティー三人を連れて、ウォウサカへと戻ってきた。
ウォウサカの街は突如消えていった<ナイトメアハザード>に困惑していたが、人々は活気を取り戻し始めていた。
「ウォウサカも元通りなのです。これなら、皆を迎えに行けるのです。でもその前に、レイキースさん達をどうにか――」
「ガルペラ侯爵! これはどういう事態だい!? <ナイトメアハザード>は晴れていくし、レイキース達もケガしてるし……!?」
ジフウに頼まれた要件をこなそうとするガルペラの元に、ロギウスが困惑しながら駆けつけてきた。
突如執務を抜け出したガルペラ達のことを、ロギウスも心配していたのだ。
「ロギウス殿下! 丁度良かったのです! 実は――」
ガルペラは事情を説明した。
ゼロラの記憶のため、魔王城に向かったこと。
ゼロラが余計な邪魔を入れたくないために、レイキース達を弾いたこと。
そして、ゼロラ達の活躍により、<ナイトメアハザード>の問題が解決したこと。
ガルペラが知る限りの情報を、ロギウスに伝えた。
「――っと、言う訳なのです。なのでロギウス殿下、早速魔王城まで船を用意してほしいのです」
「大体の事情は分かった。レイキース達の身柄もこちらでいったん預かろう」
ガルペラからの情報だけでは正確なことまでは分からなかったが、それでもゼロラ達仲間のため、ロギウスは早速方々に手を回し始めた。
「レイキース、リフィー、バルカウス。悪いけど、ここは大人しく従ってもらうよ」
「くそ……! こ、このことをレーコ公爵に報告して――」
「残念だけど、レーコ公爵にもう僕達をどうにかできる力は残ってない」
「な、なんですって!? どういうことなの!?」
「君達がいない間に、改革は成立した。もうこれまで傲慢の限りを尽くした貴族に、権力なんて残ってない」
「そうか……改革は成立したのか。ハハハッ、やはりそうなったか」
部下に指示を出してレイキース達を連れて行こうとするロギウスから放たれた言葉は、これまでルクガイア王国を離れていた三人にとっての驚愕の事実。
レイキースは歯を食いしばり、焦燥する。
リフィーはレーコ公爵の失墜に、茫然となる。
バルカウスだけがその事実を理解し、どこか安堵した笑みを浮かべた。
なす術なく連れていかれる勇者パーティーの三人。
改革が成立した以上、この三人の扱いも変わってくる。
そんな光景を、ウォウサカの住人達も特別不思議がることなく見守っていた。
「……ジャコウ様達に報告が必要か」
ただそんな民衆の中で、漆黒のローブで身を隠した五人組だけは事態を静観することはできなかった。
■
「なんじゃと!? レイキース様達がロギウス殿下達に連行されたじゃと!?」
「はい。そしてこの件、例の【零の修羅】ゼロラも関わっているようで――」
レイキース達の様子を見ていた五人組――ルクガイア暗部構成員達は、事の次第を上司のジャコウに報告した。
「詳しいことは分からぬか。だが! これは千歳一隅のチャンスやもしれぬ!」
ジャコウと同じく報告を聞いたボーネス公爵は、その目を血走らせながらいきり立った。
ボーネス公爵達は現在、ウォウサカの近くで自らが所有する船に潜んでいる。
このままルクガイア王国に居座っていても、自身の立場が危ぶまれるだけ。
それでも、これまで築き上げてきた地位は捨てがたい。
そんなボーネス公爵は六隻の船による艦隊を組み、ルクガイア王国海岸沿いの岩陰に身を隠していた。
そこで再起の機会を伺いつつ、国外逃亡もできるように――
「ジャコウ! 全艦出撃させるぞ! あの忌々しいゼロラどもを、一網打尽にするのだ!」
「ボ、ボーネス公爵!? 今そんな大規模な動きをしては、目をつけられて――」
「構うものか! わしらに後などないのだぞ!? ここでゼロラども皆殺しにし、わしの権威を復活させるのだ! ガハハ、ガーハハハ!!」
そんなボーネス公爵から下された、ゼロラ達を倒すための命令。
焦点の合わなくなった目を血走らせ、壊れたように笑うボーネス公爵に、最早正常な判断などできなかった。
「そ、そうですな……。ゼロラどもさえ倒してしまえば、わしらはまた返り咲けますのじゃ! ヒヒ、ヒーヒヒヒ!!」
そして、それはジャコウも同じ。
ボーネス公爵の凶行を止めることなく、この危機的状況に我を失い賛同した。
「者ども! 船を出すのじゃ! 帆に風魔法を使い、全速力でゼロラどもを海の藻屑としてしまうのじゃ!」
「は、はい……。分かりました……」
ジャコウに命令され、ルクガイア暗部の五人やボーネス公爵の部下達は船を出す。
己の愚行の積み重ねにより、己の身が滅ぶ寸前となった一団を乗せた、六隻の艦隊――
さらなる愚行が、悪あがきが、ゼロラ達へと迫り始める――
■
「ん? あんなところに六隻も船があるのです。あれはロギウス殿下が手配した船なのです?」
「いや、僕はまだ船の手配はしてないが……?」
そんなボーネス公爵が率いる艦隊の様子は、ガルペラとロギウスにも見えていた。
「双眼鏡を貸してくれ。――ッ!? あ、あれは!? ボーネス公爵の船か!?」
ロギウスは艦隊の正体を確かめるため、部下から借りた双眼鏡を覗く。
そしてその船にボーネス公爵が乗っていることを見て、その顔が青ざめ始める。
「ま、まずい……! ボーネス公爵はゼロラ殿達を襲うつもりだ! 何を考えているんだ!?」
「お、おそらく切羽詰まり過ぎて、何も考えれてないのです! すぐに私達も向かうのです!」
ロギウスもガルペラもおおよその事態を把握し、すぐに船を準備しようとした。
だが、相手はボーネス公爵が率いる六隻の艦隊。
急ごしらえで用意した船では、ただ返り討ちに会うだけだ――
「ロギウス、ガルペラ侯爵。二人はここに残っていてくれ。この先の海戦、余が出るとしよう」
そんな二人の元に現れたのは、ルクガイア王国国王、ルクベール三世だった。
「父上!? ですが、ボーネス公爵は六隻の船で艦隊を組んでいます! 今ここにある船だけでは、返り討ちに――」
「ボーネス公爵の動きは余の方でも予想していた。最低限の準備はしてある」
そう言って国王はウォウサカの港に近づく、一隻の船を指さした。
その船は一般的な船よりもはるかに大きく、大砲などの装備も備わっている。
さらに帆にはルクガイア王国の国章が描かれている。
それはルクガイア王国の国民にとって、もっとも強大な力の尊重――
「余とて無理をするつもりはない。だが、この船でボーネス公爵を威嚇することぐらいはできるだろう」
「す、すごい……! 父上がこんな船を用意していただなんて……!」
「陛下! 私達も乗せてほしいのです!」
「それはできぬ。お主達二人はこの国の未来を創る存在だ。"真にこの国の長"たる者として、二人には残っていてほしい」
国王はロギウスとガルペラの同乗を拒否する。
今このルクガイア王国にとって必要なのは、国王である自身ではなく、この二人であることを国王は理解していた。
今の国王には、一軍の将としての立ち振る舞いが相応しい。
「それに、この船以外の戦力も用意しておる」
さらに国王はあらかじめ依頼していた後ろの人物達を、ロギウス達に紹介する。
「いつになく覚悟を決めたようだな、陛下。まあいい。俺も"三公爵"の一人として、あの狸ジジイとはケリをつけたいとは思っていた」
「クーカカカ! この俺を一時的に釈放してまで頼るとはな~! ルクガイア王国の国王陛下が聡明だってことを、この先の海で見せてやるよ~!」
そうして現れたのは、バクトとフロスト。
その後ろにはギャングレオ盗賊団の精鋭護衛衆二人と、隊長ジフウ以外の黒蛇部隊も出揃っている。
「皆、今一度余に力を貸してくれ。ボーネス公爵はこの国にとって、最大の膿とも言える存在。この海戦にて、それを討ち取ってくれようぞ!」
国王の号令に応えるように、集められた人員は船へと乗り込んでいく。
そして、ゼロラ達を助けるため、ボーネス公爵達を倒すため、国王が船長を務める船は沖合と出航した――
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