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第28章 勇者が誘う、最後の舞台
第427話 新たに迎え入れるために
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「よう、オクバ」
「おお! ゼロラの旦那だど!」
俺はマカロンとミライを連れて、王都の"壁周り"へとやってきた。
俺が最初に訪れた時と違い、今は王国の正式な管轄元、住人達の生活改善が図られている。
一通りの住居が用意され、炊き出しも行われている。
それだけでなく、知性を持った魔族との交友の足掛かりとして、この場も使われ始めている。
オクバもその一人だ。
「あー! オクバのおじちゃんだー!」
「おぉ! ミライ様だど! 本当にご無事で何より―― いでで!?」
「まえばー!」
ミライはオクバのことを覚えていたようだ。
再会を喜んで両手を広げるオクバへ駆け寄り、その出っ歯な前歯を引っ張っている。
懐かしい光景だ。
「あら~? もしかして、夫が言ってたミライ様かしら~?」
「おっとー。この子はー?」
「おっとー。ともだちー?」
さらに後ろから、オクバの奥さんと子供達も姿を見せる。
子供達はミライに興味津々なようだ。
「オクバ。すまないが、お前の子供達とミライを遊ばせてくれないか?」
「お安い御用だど! おでの子供達も、友達がもっと欲しいはずだど!」
「それなら、私が面倒を見ておきますね~」
オクバの奥さんエルフは自身の子供達とミライを連れ、遊びに行ってくれた。
ミライにも友達が必要だし、俺個人としても助かる。
今この場にいるのは、俺とオクバ。そして、マカロンの三人。
「なあ……マカロン。俺はかつて【伝説の魔王】として、お前を奴隷扱いしていた。そのことについて、まずは謝罪させてくれ」
「そ、そうだったど……。おでも謝るど」
「い、いえ! 謝らないでくださいよ! あれはもう、過去の話ですから……」
頭を下げる俺とオクバに、マカロンは両手を振りながら拒否の姿勢をとる。
マカロンなりの気遣いをしてくれているようだが、この件については俺の心の痛みが収まらない――
「そもそも私、魔王軍の奴隷だった頃は、しっかりした生活をさせてもらってましたし」
「……え? そうなのか?」
「はい。確かに労働力にされて自由もありませんでしたが、三食寝床付きで、父の元にいたころよりもマシだったと言いますか……」
――マカロン、意外とまともな生活を送れてたんだな。
そういえば俺、魔王軍の奴隷に関してはオクバに一任してて、魔王時代もほとんど関与してなかったな――
「オクバ。お前、奴隷達にどんな生活をさせてたんだ?」
「おでも人間の生活がよく分からなかったから、当時、ウォウサカで活動してた人間の盗賊に話を聞いたんだど。そしたら――」
『人間なんて、三食寝床が付いてりゃ、どないかなるもんやで』
「――と、言ってたど。それでおでも、その話通りに奴隷に生活させてたんだど」
オクバにアドバイスした、人間の盗賊――
当時、ウォウサカで活動していた――
話し方から、ウォウサカ弁――
――そいつ……シシバじゃね?
「ゼロラさん……。これって私、シシバさんに感謝した方がいいのでしょうか?」
「俺もよく分からないが……とりあえず今度会ったら、礼を言っておく」
こんなところでシシバの名前が出てくるとはな……。
あいつ、昔から手広くやってたんだな……。
「ところで、ゼロラの旦那。今日は何でマカロンも一緒なんだど?」
「ああ、そのことか。いや……ちょっと一緒にいたかったんだ……」
「『一緒にいたかった』……? はは~ん。さては、"コレ"だど?」
オクバの問いに答えた俺に、マカロンに見えないように小指を立てながらオクバが返す。
こいつ……結構人間社会に溶け込んでるな。
俺は一応、元魔王だぞ? お前の元上司だぞ?
いや、それぐらい気軽な方が、俺も助かるのだが。
「まあ……お前の察しの通りだ。ユメのこともあるが、ミライのこともある。それに……俺も個人的に、マカロンとなら一緒にやっていけそうな気がしている」
「なるほどだど。おでが口を挟む話ではないと思うどが、ユメ様ならゼロラの旦那とミライ様の幸せを第一に考えるはずだど」
オクバは俺の気持ちを察し、深い言及は避けてくれた。
ミライはマカロンに非常に懐いている。
そんなマカロンの姿に、俺も好意を抱いている。
ユメのことを忘れるわけではないし、リョウが婚約したから妥協するわけでもない。
ただ、俺とミライには今後もマカロンのことが必要だし、マカロンと一緒にいたいという考えには行きついている。
オクバも言う通り、ユメの思いを汲むならば、俺はマカロンにこの思いを伝えたい――
「ゼロラさん? オクバさん? さっきから二人で、何を話しているのですか?」
そんな俺とオクバのコソコソ話が気になったのか、マカロンが顔をのぞかせる。
「ゼロラの旦那。告白するなら、今がチャンスだど。ミライ様の面倒はおでが見ているど。二人で歩きながら、いい雰囲気になったところでアタックするど」
「お前……元々は俺が用意したお見合い結婚だろうが……。でもまあ、お前の言う通りだ。すまないが、ミライのことは頼んだぞ」
ここはオクバの好意に甘えるとしよう。
オクバもついてくれているし、今の"壁周り"の治安なら大丈夫だろう。
俺とマカロンで近くをブラつきながら、告白のチャンスを伺ってみよう。
「マカロン。少し二人だけで、近くを歩かないか?」
「え!? あ! はいぃ!」
何故か声が上ずっているが、マカロンは了承してくれた。
二人で散歩でもしながら、どうにかしてタイミングを掴もう。
「ゼロラの旦那……応援してるど!」
親指を立てて見送るな、オクバ。
「おお! ゼロラの旦那だど!」
俺はマカロンとミライを連れて、王都の"壁周り"へとやってきた。
俺が最初に訪れた時と違い、今は王国の正式な管轄元、住人達の生活改善が図られている。
一通りの住居が用意され、炊き出しも行われている。
それだけでなく、知性を持った魔族との交友の足掛かりとして、この場も使われ始めている。
オクバもその一人だ。
「あー! オクバのおじちゃんだー!」
「おぉ! ミライ様だど! 本当にご無事で何より―― いでで!?」
「まえばー!」
ミライはオクバのことを覚えていたようだ。
再会を喜んで両手を広げるオクバへ駆け寄り、その出っ歯な前歯を引っ張っている。
懐かしい光景だ。
「あら~? もしかして、夫が言ってたミライ様かしら~?」
「おっとー。この子はー?」
「おっとー。ともだちー?」
さらに後ろから、オクバの奥さんと子供達も姿を見せる。
子供達はミライに興味津々なようだ。
「オクバ。すまないが、お前の子供達とミライを遊ばせてくれないか?」
「お安い御用だど! おでの子供達も、友達がもっと欲しいはずだど!」
「それなら、私が面倒を見ておきますね~」
オクバの奥さんエルフは自身の子供達とミライを連れ、遊びに行ってくれた。
ミライにも友達が必要だし、俺個人としても助かる。
今この場にいるのは、俺とオクバ。そして、マカロンの三人。
「なあ……マカロン。俺はかつて【伝説の魔王】として、お前を奴隷扱いしていた。そのことについて、まずは謝罪させてくれ」
「そ、そうだったど……。おでも謝るど」
「い、いえ! 謝らないでくださいよ! あれはもう、過去の話ですから……」
頭を下げる俺とオクバに、マカロンは両手を振りながら拒否の姿勢をとる。
マカロンなりの気遣いをしてくれているようだが、この件については俺の心の痛みが収まらない――
「そもそも私、魔王軍の奴隷だった頃は、しっかりした生活をさせてもらってましたし」
「……え? そうなのか?」
「はい。確かに労働力にされて自由もありませんでしたが、三食寝床付きで、父の元にいたころよりもマシだったと言いますか……」
――マカロン、意外とまともな生活を送れてたんだな。
そういえば俺、魔王軍の奴隷に関してはオクバに一任してて、魔王時代もほとんど関与してなかったな――
「オクバ。お前、奴隷達にどんな生活をさせてたんだ?」
「おでも人間の生活がよく分からなかったから、当時、ウォウサカで活動してた人間の盗賊に話を聞いたんだど。そしたら――」
『人間なんて、三食寝床が付いてりゃ、どないかなるもんやで』
「――と、言ってたど。それでおでも、その話通りに奴隷に生活させてたんだど」
オクバにアドバイスした、人間の盗賊――
当時、ウォウサカで活動していた――
話し方から、ウォウサカ弁――
――そいつ……シシバじゃね?
「ゼロラさん……。これって私、シシバさんに感謝した方がいいのでしょうか?」
「俺もよく分からないが……とりあえず今度会ったら、礼を言っておく」
こんなところでシシバの名前が出てくるとはな……。
あいつ、昔から手広くやってたんだな……。
「ところで、ゼロラの旦那。今日は何でマカロンも一緒なんだど?」
「ああ、そのことか。いや……ちょっと一緒にいたかったんだ……」
「『一緒にいたかった』……? はは~ん。さては、"コレ"だど?」
オクバの問いに答えた俺に、マカロンに見えないように小指を立てながらオクバが返す。
こいつ……結構人間社会に溶け込んでるな。
俺は一応、元魔王だぞ? お前の元上司だぞ?
いや、それぐらい気軽な方が、俺も助かるのだが。
「まあ……お前の察しの通りだ。ユメのこともあるが、ミライのこともある。それに……俺も個人的に、マカロンとなら一緒にやっていけそうな気がしている」
「なるほどだど。おでが口を挟む話ではないと思うどが、ユメ様ならゼロラの旦那とミライ様の幸せを第一に考えるはずだど」
オクバは俺の気持ちを察し、深い言及は避けてくれた。
ミライはマカロンに非常に懐いている。
そんなマカロンの姿に、俺も好意を抱いている。
ユメのことを忘れるわけではないし、リョウが婚約したから妥協するわけでもない。
ただ、俺とミライには今後もマカロンのことが必要だし、マカロンと一緒にいたいという考えには行きついている。
オクバも言う通り、ユメの思いを汲むならば、俺はマカロンにこの思いを伝えたい――
「ゼロラさん? オクバさん? さっきから二人で、何を話しているのですか?」
そんな俺とオクバのコソコソ話が気になったのか、マカロンが顔をのぞかせる。
「ゼロラの旦那。告白するなら、今がチャンスだど。ミライ様の面倒はおでが見ているど。二人で歩きながら、いい雰囲気になったところでアタックするど」
「お前……元々は俺が用意したお見合い結婚だろうが……。でもまあ、お前の言う通りだ。すまないが、ミライのことは頼んだぞ」
ここはオクバの好意に甘えるとしよう。
オクバもついてくれているし、今の"壁周り"の治安なら大丈夫だろう。
俺とマカロンで近くをブラつきながら、告白のチャンスを伺ってみよう。
「マカロン。少し二人だけで、近くを歩かないか?」
「え!? あ! はいぃ!」
何故か声が上ずっているが、マカロンは了承してくれた。
二人で散歩でもしながら、どうにかしてタイミングを掴もう。
「ゼロラの旦那……応援してるど!」
親指を立てて見送るな、オクバ。
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