428 / 476
第28章 勇者が誘う、最後の舞台
第428話 思いを伝えるために
しおりを挟む
「この"壁周り"も、随分と変わったな」
「そうですね。私が最初にゼロラさんに連れられてきた時は、ビクビク震えてたのに……。なんだか、あの時が懐かしいですね」
俺とマカロンは二人で"壁周り"を散策していた。
二人で最初にここを訪れたのは、チャン老師の元を尋ねた時か。
本当にあの時とは全然違うな。
決して贅沢とは言えないが、人々の生活が改善されているのがよく分かる。
建物の修繕も進んでおり、ゴミを漁る子供ももういない。
住人達にも職が行き渡り、少しずつ活気が見え始めている。
「こういう場面を見ると、ゼロラさんが頑張った甲斐がありましたね」
「まあ、悪い気はしないな」
俺とマカロンの間で交わされる、他愛ない会話。
周囲の人々も、俺達の話は聞いていないようだ。
こういう時こそ、告白するチャンスだ。
何気ない話の中で思いを伝える――
――難しい! 気まずい!
よく考えたら、俺は自分から"告白したこと"が一度もない。
そもそも、"告白された"のも、ユメからだけだ!
告白って、こんなに難しいものだったのか……。
「くそっ……。今がチャンスだってのに――」
「え? 何がチャンスなんです?」
「それはだね、マカロン。君も大体察しがついている通りさ」
俺がふと独り言を口にすると、マカロンに聞こえてしまっていたようだ。
おまけにリョウまで割り込んできて――
「――って、おい!? リョウ! なんでお前もここにいるんだよ!?」
「リョ、リョウさん!? いつの間に!?」
「二人の仲を見届けに来たのさ。ボクにもそれぐらいの権利はあると思わないかな?」
もはや恒例にも思える、リョウの突然の参上。
こいつ……俺がマカロンに告白しようとしてることを理解して、デバガメしに来たな……。
「リョウさん……。いきなり首を突っ込んできて、そういうことを言うものですか?」
「いいじゃないか。ボク達の仲だよ? それに、コソコソ隠れてやるのは、ボクの主義じゃない」
相変わらず、自分勝手な奴だ。
ロギウスとの婚約が決まったというのに、こいつの自由奔放さは変わらない。
こいつがこの国の王妃になるのか……。
つくづく思うが、この国は大丈夫なのか?
まあ……ロギウスが責任もって、こいつの面倒を見てもらうことを祈るばかりだ。
――すでに制御できていないが。
「あ、あの……ゼロラさん。私も何となく思ってたのですが、もしかして本当に私に……?」
マカロンは顔を赤らめながら、俺へと目配せする。
見られているこちらが恥ずかしい。
ユメが俺に告白した時も、こんな感じだったな――
「ゼロラ殿。ここで言わなきゃ、元魔王の名が廃るよ。ロギウス殿下の婚約者命令だ。さあ! 言っちゃおう!」
「ここでそんな権限を使うな……」
リョウも盛大に俺を煽って来るが、言っていることには一理ある。
マカロンが俺の気持ちを理解した上で、俺の答えを待ってくれているんだ。
ユメに告白された時とは違い、今度は俺の方から告白を――
「――あれ? なんだか人混みができてるね?」
――俺が心を決めようとしていた時、リョウが少し離れたところに目を向けた。
何やら掲示板のようなものが立てられ、人々はそれを見ているようだが――
「おいおい……。この話、本当かよ……?」
「これが本当なら……相当ヤバイ話だぞ……」
「でも、勇者レイキース様の話だし……」
掲示板を見ている住人達の様子は、どこかおかしい。
張られている記事の内容に動揺し、何かを恐れているようだが――
気になった俺も、遠目でその記事を見てみた――
『【零の修羅】ゼロラの正体は、【伝説の魔王】ジョウイン』
『ルクガイア王国の改革は、魔王の陰謀だった』
『"魔王の娘"と共に、ルクガイア王国を支配する計画の実態』
『今こそ【栄光の勇者】レイキースと共に、元の正しき道へ戻る時!』
「な、なんだこれは……?」
そこに書かれていたのは、俺の正体を暴露する記事。
住人達はこれを見て、激しく狼狽えていたのだ。
「な、なんですかこれは!? なんでゼロラさんのことを――」
「この記事……。書いたのはまさか……レイキースか!?」
マカロンとリョウも記事を見て困惑している。
そんな中でも必死に記事に目を通し、事の真相を探ろうとしてくれている。
俺の正体を知る仲間に、こんなことをする奴がいるとは思えない。
俺を下げ、レイキースを持ち上げるような記事の内容――
やはりこの記事を書いたのは、レイキースなのか!?
だが、奴は俺の正体を知らないはず。
一体、どうやってこの事実を――
「おーい! みんなー! 向こうでオークが"魔王の娘"を匿ってるぞー!」
「早く追い出すんだー! このままじゃ、魔王に滅ぼされるぞー!」
さらにそこへ火に油を注ぐように、駆け付けた別の人間が知らせにやってきた。
見たところ、ここの住人ではない。
だが、そんなことは関係なしに"壁周り"の住人達はその言葉に反応し、指さした方角へと走り出した。
――その方角は、ミライがいる場所だ。
「ミ、ミライ!」
「ゼロラさん!?」
「ゼロラ殿!?」
ミライの身に危険が迫っている。
いてもたってもいられなくなった俺は、マカロンとリョウのことも忘れて、一目散に駆けだした――
「そうですね。私が最初にゼロラさんに連れられてきた時は、ビクビク震えてたのに……。なんだか、あの時が懐かしいですね」
俺とマカロンは二人で"壁周り"を散策していた。
二人で最初にここを訪れたのは、チャン老師の元を尋ねた時か。
本当にあの時とは全然違うな。
決して贅沢とは言えないが、人々の生活が改善されているのがよく分かる。
建物の修繕も進んでおり、ゴミを漁る子供ももういない。
住人達にも職が行き渡り、少しずつ活気が見え始めている。
「こういう場面を見ると、ゼロラさんが頑張った甲斐がありましたね」
「まあ、悪い気はしないな」
俺とマカロンの間で交わされる、他愛ない会話。
周囲の人々も、俺達の話は聞いていないようだ。
こういう時こそ、告白するチャンスだ。
何気ない話の中で思いを伝える――
――難しい! 気まずい!
よく考えたら、俺は自分から"告白したこと"が一度もない。
そもそも、"告白された"のも、ユメからだけだ!
告白って、こんなに難しいものだったのか……。
「くそっ……。今がチャンスだってのに――」
「え? 何がチャンスなんです?」
「それはだね、マカロン。君も大体察しがついている通りさ」
俺がふと独り言を口にすると、マカロンに聞こえてしまっていたようだ。
おまけにリョウまで割り込んできて――
「――って、おい!? リョウ! なんでお前もここにいるんだよ!?」
「リョ、リョウさん!? いつの間に!?」
「二人の仲を見届けに来たのさ。ボクにもそれぐらいの権利はあると思わないかな?」
もはや恒例にも思える、リョウの突然の参上。
こいつ……俺がマカロンに告白しようとしてることを理解して、デバガメしに来たな……。
「リョウさん……。いきなり首を突っ込んできて、そういうことを言うものですか?」
「いいじゃないか。ボク達の仲だよ? それに、コソコソ隠れてやるのは、ボクの主義じゃない」
相変わらず、自分勝手な奴だ。
ロギウスとの婚約が決まったというのに、こいつの自由奔放さは変わらない。
こいつがこの国の王妃になるのか……。
つくづく思うが、この国は大丈夫なのか?
まあ……ロギウスが責任もって、こいつの面倒を見てもらうことを祈るばかりだ。
――すでに制御できていないが。
「あ、あの……ゼロラさん。私も何となく思ってたのですが、もしかして本当に私に……?」
マカロンは顔を赤らめながら、俺へと目配せする。
見られているこちらが恥ずかしい。
ユメが俺に告白した時も、こんな感じだったな――
「ゼロラ殿。ここで言わなきゃ、元魔王の名が廃るよ。ロギウス殿下の婚約者命令だ。さあ! 言っちゃおう!」
「ここでそんな権限を使うな……」
リョウも盛大に俺を煽って来るが、言っていることには一理ある。
マカロンが俺の気持ちを理解した上で、俺の答えを待ってくれているんだ。
ユメに告白された時とは違い、今度は俺の方から告白を――
「――あれ? なんだか人混みができてるね?」
――俺が心を決めようとしていた時、リョウが少し離れたところに目を向けた。
何やら掲示板のようなものが立てられ、人々はそれを見ているようだが――
「おいおい……。この話、本当かよ……?」
「これが本当なら……相当ヤバイ話だぞ……」
「でも、勇者レイキース様の話だし……」
掲示板を見ている住人達の様子は、どこかおかしい。
張られている記事の内容に動揺し、何かを恐れているようだが――
気になった俺も、遠目でその記事を見てみた――
『【零の修羅】ゼロラの正体は、【伝説の魔王】ジョウイン』
『ルクガイア王国の改革は、魔王の陰謀だった』
『"魔王の娘"と共に、ルクガイア王国を支配する計画の実態』
『今こそ【栄光の勇者】レイキースと共に、元の正しき道へ戻る時!』
「な、なんだこれは……?」
そこに書かれていたのは、俺の正体を暴露する記事。
住人達はこれを見て、激しく狼狽えていたのだ。
「な、なんですかこれは!? なんでゼロラさんのことを――」
「この記事……。書いたのはまさか……レイキースか!?」
マカロンとリョウも記事を見て困惑している。
そんな中でも必死に記事に目を通し、事の真相を探ろうとしてくれている。
俺の正体を知る仲間に、こんなことをする奴がいるとは思えない。
俺を下げ、レイキースを持ち上げるような記事の内容――
やはりこの記事を書いたのは、レイキースなのか!?
だが、奴は俺の正体を知らないはず。
一体、どうやってこの事実を――
「おーい! みんなー! 向こうでオークが"魔王の娘"を匿ってるぞー!」
「早く追い出すんだー! このままじゃ、魔王に滅ぼされるぞー!」
さらにそこへ火に油を注ぐように、駆け付けた別の人間が知らせにやってきた。
見たところ、ここの住人ではない。
だが、そんなことは関係なしに"壁周り"の住人達はその言葉に反応し、指さした方角へと走り出した。
――その方角は、ミライがいる場所だ。
「ミ、ミライ!」
「ゼロラさん!?」
「ゼロラ殿!?」
ミライの身に危険が迫っている。
いてもたってもいられなくなった俺は、マカロンとリョウのことも忘れて、一目散に駆けだした――
0
あなたにおすすめの小説
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
ファンタジー
10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる