記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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最終章 それが俺達の絆

第459話 栄光への怒り

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「――と、そんなことがあったわけだ。僕は勇者として、至極真っ当な行動をとっただけ。ユメは僕に殺されてしかるべき存在だっただけだ」

 レイキースはユメの死の真相を、ただ淡々と語り終えた。
 そこに罪の意識などない。悪びれた様子もない。
 ただただ、己の行動が正しかったと正当化している。



 そんなこいつの姿を見ていると――





 ――怒りを覚えずにはいられない!!



「……レイキース。今俺は本気でてめえのことを、"殺したい"と思ったよ……!」
「『殺したい』……か。なんとも魔王らしい言葉だな」

 怒りで歯を食いしばり、拳を握って身を震わせる――
 そんな俺の姿を見て、レイキースは鼻で笑いながら話しかけてきた。

「俺が魔王だったこととか、今は人間だということとか……そんなことはどうでもいい……!」

 この俺がこれまでに感じたことないほどの怒り――
 ゼロラとして――人間として生きてきた中でも、ジョウインとして――魔王として生きてきた中でも、これほどの怒りを感じたことはない。

 ユメを殺し、そのことを歯牙にもかけず、自らが"勇者"となるための礎としてきたレイキース。
 過去から続く伝統を守るという名分の元、自らの"正義"と言う名の"暴力"を振りかざす、【栄光の勇者】。

 俺も【伝説の魔王】だった頃、ユメ以外の勇者を返り討ちにしてきた。
 それでもその勇者達には確かな"信念"を俺は感じていた。
 だが、レイキースにはそんな"信念"すら感じない。
 ただ自らのために、ただ変化を嫌うために、邪魔となる物を排除してきただけで、中身のない人間性――



 ――レイキースは"勇者"じゃない。
 一番近いのは、ダンジェロのような"中身のない人間"だ。



「ゼロラ――いや、【伝説の魔王】ジョウイン。お前はこの世界にとっての"悪"でしかない。僕が"正義"の名のもとに、今度こそお前を滅ぼしてやる……!」
「俺の魔王としての"罪"ならば、喜んで受け入れてやる。だが、そのために"罰"を与えるのは……てめえじゃない!!」

 俺は怒りを押さえようともせず、レイキースに対して身構える。
 こいつはただ変化を嫌い、自らにとって都合のいい話だけを取り込んできた。

 世の中なんてものは、その時次第でいくらでも変わる。
 正義なんてものは、世の中に合わせていくらでも移り行く。
 俺がユメと出会い、"人と魔の共存"という夢を抱いたように、この世の道理なんてものは、どこまでも変わっていく。

 そんな変化をレイキースは嫌い、自らの都合で捻じ曲げてきた。
 どれだけ世の中が移り変わろうとしても、ひたすらにそれを拒み続けてきた。

 ――そんなユメの願いを、人々の思いを踏みにじるこいつに、色々言われる筋合いはない。
 "正義"だ、"悪"だ。"罪"だ、"罰"だ。
 そういったものをこいつに語られても、反吐が出るだけだ!



「……行くぞ、レイキース。俺はてめえを殺す。てめえだけは……俺が殺す!!」
「できもしないことを言うな。魔王に勇者は……倒せない!!」

 レイキースも玉座から立ち上がり、両手で剣を構える。

 互いが感情のままに睨み合い、玉座の間が殺気で満ち溢れるのが感覚で分かる。
 【栄光の勇者】――レイキース。
 ユメの仇。ミライを陥れた元凶。今もこうして人々を操る諸悪の根源――



 ――俺はこいつだけは……許さない!!
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