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9章
アレクシー再び父王に対峙する
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「陛下、王太子様がおいでになっているのですが……」
家臣が困惑の表情で告げる。
「アレクシーが⁈」
なぜここに居るのが分かった⁈ フェリックスの脳裏に三年前の出来事が蘇る。まさか、まだルシアの事を? もうあきらめたものと思っていたが……ともかく会ってやらねばと思う。
「分かった、通せ。あーその前にルシアは部屋から出すな」
緊張の面持ちでアレクシーが入ってくる。フランソワは、部屋の入り口で待機する。
「何用で来た? 余がここに来ているのがよう分かったな」
フェリックスは皮肉気に言う。
「ルシア様のことでまいりました。」
その先を遮るようにフェリックスが、怒りの表情で言う。
「その先は言うな! 下がれ!」
「いいえ父上、下がるわけにはまいりません! どうか、私にルシア様をお譲りください」
「そなた、何を言っているのかわかっているのか? ルシアは余の番、下賜する気持ちはない」
「わかっております。ルシア様は我が運命の、魂のお方なのです。そのお方が、父上の番である事実に私自身慄くのものの、私の魂がルシア様を欲するのです。父上には無理なお願いだとは重々分かっております。しかし、それでも願わずにはおられません」
「父の、国王の番を願うなど僭越が過ぎる! たとえ王太子と言えど反逆に値する。 そなた、それを分かっているのか?」
「父上に反逆などと、毛頭考えたこともありません。ただ、ルシア様をお譲りいただきたい、それだけです。」
「しつこいぞアレクシー! 下がるのじゃ!」
「いいえ、下がりません! 私は、今日王太子を辞する覚悟で来ております」
激昂するフェリックスに、声は大きいものの冷静に、切り札をだす。
王太子を辞するだと! フェリックスの怒りは増す。よもやそれを言うために、この三年実直に務めてきたのか……中々やるではないか。さすがは我が王位を継ぐ者か……と感心しておる場合ではないわ!
「そなたの切り札はそれか? そなたが王太子を辞めてもルシアは渡さんぞ。第一王太子を辞めてどうするというのだ。最初は確かに惜しむものも多いだろう。だが、辺境の部隊にでも追いやればそのうち忘れ去られる。その間に余がエドワードを鍛える」
まずい、国王の方が一枚も二枚も上手だ。アレクシーの切り札は、切り札になっていない。これでは追い込まれるだけだ。さすがというべきか……フランソワが危機感を持ったその時だった。
「ルシア様いけません、陛下のご命令です。お部屋にお戻りに……」
慌ててルシアを引き留めようとするセリカを、引き払うようにしてルシアが現れた。
「ルシア! 部屋に下がっていなさい」
「ルシア様!」
フェリックスとアレクシーが同時に発したが、ルシアにはアレクシーの声だけが聞こえた。
その声と、そしてこの芳香! ああーっルシアには分かった。アレクシーが運命の相手だと! その事実にルシアは愕然とする。僕は、僕はなんて罪深いの?!
アレクシーが運命の相手、それはフェリックスへの裏切り、不実だとルシアは思った。アレクシーに引き寄せられる心と体をルシアは懸命に耐えた。
たとえ番がいても引き寄せられる、それが運命のなせるわざだがルシアは抗う。
アレクシーも運命の相手ルシアの登場に冷静ではいられない。ルシアに抱きしめようとルシアに向かうのを父王に阻まれる。
「父上、お放しください!」
「そうはいくか! ルシアに触れたら許さぬぞ! 下がれ! 下がるのじゃ!」
一人のオメガを巡って争うアルファの父子、もうこれは修羅場だった。呆然と佇んでいたフランソワが我に返る。ここは下がらないと大変なことになる。
「アレクシーだめだ、下がろう」
「嫌だ! ルシア様! あなたにも分かるはずだ! 私が運命の相手だと」
アレクシーが叫ぶように訴える。分かる、分かり過ぎるほどに……どうしよう、こんなことになって……。
この修羅場は僕のせいだ。なぜ、なぜ? 誰か助けて! お母様、僕はどうしたらいいの? ルシアは亡き母に問う。涙が止まらない。
泣きながらルシアは、一つの結論を得た。僕がいなければいい。全ての元凶は僕だ。
フェリックスは大切な人。その思いに変わりはない。今まで守ってくれたことに対する感謝も大きい。決して裏切る事は出来ない。でも、アレクシーが運命の相手だとも知った。
大切な番と、運命の相手との争い。これを収めるのは僕がいなくなること、それしかない。それがルシアの結論だった。
家臣が困惑の表情で告げる。
「アレクシーが⁈」
なぜここに居るのが分かった⁈ フェリックスの脳裏に三年前の出来事が蘇る。まさか、まだルシアの事を? もうあきらめたものと思っていたが……ともかく会ってやらねばと思う。
「分かった、通せ。あーその前にルシアは部屋から出すな」
緊張の面持ちでアレクシーが入ってくる。フランソワは、部屋の入り口で待機する。
「何用で来た? 余がここに来ているのがよう分かったな」
フェリックスは皮肉気に言う。
「ルシア様のことでまいりました。」
その先を遮るようにフェリックスが、怒りの表情で言う。
「その先は言うな! 下がれ!」
「いいえ父上、下がるわけにはまいりません! どうか、私にルシア様をお譲りください」
「そなた、何を言っているのかわかっているのか? ルシアは余の番、下賜する気持ちはない」
「わかっております。ルシア様は我が運命の、魂のお方なのです。そのお方が、父上の番である事実に私自身慄くのものの、私の魂がルシア様を欲するのです。父上には無理なお願いだとは重々分かっております。しかし、それでも願わずにはおられません」
「父の、国王の番を願うなど僭越が過ぎる! たとえ王太子と言えど反逆に値する。 そなた、それを分かっているのか?」
「父上に反逆などと、毛頭考えたこともありません。ただ、ルシア様をお譲りいただきたい、それだけです。」
「しつこいぞアレクシー! 下がるのじゃ!」
「いいえ、下がりません! 私は、今日王太子を辞する覚悟で来ております」
激昂するフェリックスに、声は大きいものの冷静に、切り札をだす。
王太子を辞するだと! フェリックスの怒りは増す。よもやそれを言うために、この三年実直に務めてきたのか……中々やるではないか。さすがは我が王位を継ぐ者か……と感心しておる場合ではないわ!
「そなたの切り札はそれか? そなたが王太子を辞めてもルシアは渡さんぞ。第一王太子を辞めてどうするというのだ。最初は確かに惜しむものも多いだろう。だが、辺境の部隊にでも追いやればそのうち忘れ去られる。その間に余がエドワードを鍛える」
まずい、国王の方が一枚も二枚も上手だ。アレクシーの切り札は、切り札になっていない。これでは追い込まれるだけだ。さすがというべきか……フランソワが危機感を持ったその時だった。
「ルシア様いけません、陛下のご命令です。お部屋にお戻りに……」
慌ててルシアを引き留めようとするセリカを、引き払うようにしてルシアが現れた。
「ルシア! 部屋に下がっていなさい」
「ルシア様!」
フェリックスとアレクシーが同時に発したが、ルシアにはアレクシーの声だけが聞こえた。
その声と、そしてこの芳香! ああーっルシアには分かった。アレクシーが運命の相手だと! その事実にルシアは愕然とする。僕は、僕はなんて罪深いの?!
アレクシーが運命の相手、それはフェリックスへの裏切り、不実だとルシアは思った。アレクシーに引き寄せられる心と体をルシアは懸命に耐えた。
たとえ番がいても引き寄せられる、それが運命のなせるわざだがルシアは抗う。
アレクシーも運命の相手ルシアの登場に冷静ではいられない。ルシアに抱きしめようとルシアに向かうのを父王に阻まれる。
「父上、お放しください!」
「そうはいくか! ルシアに触れたら許さぬぞ! 下がれ! 下がるのじゃ!」
一人のオメガを巡って争うアルファの父子、もうこれは修羅場だった。呆然と佇んでいたフランソワが我に返る。ここは下がらないと大変なことになる。
「アレクシーだめだ、下がろう」
「嫌だ! ルシア様! あなたにも分かるはずだ! 私が運命の相手だと」
アレクシーが叫ぶように訴える。分かる、分かり過ぎるほどに……どうしよう、こんなことになって……。
この修羅場は僕のせいだ。なぜ、なぜ? 誰か助けて! お母様、僕はどうしたらいいの? ルシアは亡き母に問う。涙が止まらない。
泣きながらルシアは、一つの結論を得た。僕がいなければいい。全ての元凶は僕だ。
フェリックスは大切な人。その思いに変わりはない。今まで守ってくれたことに対する感謝も大きい。決して裏切る事は出来ない。でも、アレクシーが運命の相手だとも知った。
大切な番と、運命の相手との争い。これを収めるのは僕がいなくなること、それしかない。それがルシアの結論だった。
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