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車に乗るところで、笠井さんと少し喋って手を振る。すっかり意気投合したらしく笠井さんが志城にまたくるように言っているのに苦笑いをして。何気に多忙な人なんだけど。
助手席に乗り込みながら、気にしなくていいよ、というと、不思議そうな顔をされた。
「なんで?」
「忙しいでしょ。普段土曜も仕事入るし」
「ああ…」
何を考えているのだろう。前の彼女は、忙しくても毎週末出かけるし、平日でもご飯に行くと順調そうな話をつい最近までしていたらしいな、とふと思い出す。にこにこ、可愛く笑って、幸せそうだったなと思うと、なんとなく、居心地が悪い。それと同じように、時間を割かないといけないと思っているなら申し訳ないな、とも思うし。もやもやする。
「何考えてる?」
「ん?いや。というか、なんでこの後」
ご飯を食べて帰ろう、と言ってきた笑吏に、この状況で誘うかな、と思いながら断ろうとすると、いいよ、と返事をした上に、笑吏が何かを言う前に、志城くんは的確に、元彼に声をかけていた。どうせ、彼がいないと笑吏は足がないから誘うんだろうなとは思っていたけど。
「会わせてって、言ったろ?」
「…わたしのメンタル」
「気が向いたらフォローしてやる」
「いや、そこはして」
はは、と笑いながら車を出して、約束したファミレスに入る。もう彼の車が止まっているから、中にいるんだな、と思う。
「お前さ」
「ん?」
「あそこの団体の人たち。可愛がられてんな」
「あー。多分。そうかな、と思える程度には」
「こよりが自覚するほどとは、なかなかだな」
微妙な状況のわたしとか、元彼とか、色々を、気にしてさりげなく間に入ったり呼んで気が重くなるところに関わらなくていいようにしてくれる人たちがいる。残念なことに、その人たちからの元彼の評価はあまり良くない。
「保護者か」
「保護者だろ」
大学時代から、なんだかんだと面倒見がいいから。そそっかしいから面倒をかけて、保護者扱いを確かに先輩たちからされていたなと思い出して笑ってしまう。
「同じ学年なのにね」
「オレ、年上」
「知ってる」
店内を見回すと、禁煙席に見つけて、並んで座った。わたしの前は、元彼。どっちだとしても、食欲は減退するからまあ、どっちでもいい。
いいの、禁煙で、と訊こうとする口は、視線だけ向けて噤んだ。可愛い女の子の笑吏は、喫煙を見せる気はないらしい。
つくづく、思考が嫌味に偏っていて、自分の中の悪意とかドロドロしたものに嫌気がさしてなおさら食欲がなくなる。
「こより、何食う?腹減った」
「ん?」
不意に間にメニューを広げられて距離が近い。けど、思い返せば志城とはいつもこの距離感だった。彼女がいないときは。
「ほんと、わかりやすいよね」
「そうか?」
言わんとするところは察したらしい。そしてどうやら無意識の部分もあったらしいから、ある意味誠実な人なんだろう。
「ドリンクだけでもいいんだよなぁ」
「は?食え、あほ。お前、オレが嫁にもらおうと思う程度には痩せたからな?」
「痩せてるのが好きだっけ?」
「保護者ですから」
「そっち?」
いつもの調子で乗せられて言葉を返していて、はたと気づいた。目の前でこちらに向けられている視線。
視線に気づいているのは志城くんも一緒だから、適当に注文してその目を向ける。
「さっき自己紹介したけど。こよりの大学の同級生で志城です。食事に誘ってたってことは、友達?こより」
本人じゃなくてこっちに聞くのね。
「小中学校の同級生で、勝野笑吏さん。そちらは、あそこで知り合って、歳が近いから仲良くなったの。皆木洸太さん」
どうも、と人当たりの良い笑顔だけど、ちょっと居心地の悪くなる雰囲気で志城くんがいるから、その場を逃げようと立ち上がる。飲み物、取ってこようかな、と。
「何にする?」
「ん?見にいく」
コーヒーと、野菜ジュースを入れている隣で、コーヒーとメロンソーダを入れている志城くんが呟く。
「同級生、なんだ」
「ん?」
「友達じゃねぇの?」
ああ、と気がつく。無意識だ。
友達、と言うにはなかなか難しい距離感と関係なのだ。昔から、多分、そもそも向こうが友達だと思っていないだろうな、と言うのもある。ただ、わたしのさっきの発言はしっかり拾って、わたしから嫌がらせ受けたと認識されるんだろうけど。
「どっちでも良いかな」
「へぇ」
「なんか、不穏?」
「友達が、お前にあんな言い方するなら、お前にも説教かな、と」
「は?」
なんだか笑ってるけど。
「後で消化不良になるような食事にしないでね?」
「気が向いたらフォローするって」
頼んだもの、と言うか、志城が注文したものを食べつつ、口に突っ込まれ、ほぼシェアする形で食べているのを雑談をしながら眺めていたらしい皆木さんが、やっと口を開いた。非常に居心地が悪い。向こうも、言いたいことも思うところもあるんだろう。
「仲良いですね」
「ね。そんなに面倒見てもらって」
「ああ、これ?」
あ、ダメな流れ、と思っても、さっき突っ込まれたもので口がいっぱいだ。
「この間久々に会ったら、なんか痩せてるし、食も細いし。でもま、口に持っていけば開けるのは変わってないな」
「餌付けしないでって」
「オレはそんなにしてないぞ。してたのは先輩たちだろ」
「餌付けされないようにって、先にコンビニのパンとかよく口に突っ込んでくれたよね」
「…いつから、付き合ってたんですか?婚約って」
一番歳は上なのに、敬語で話す皆木さんと、普通な志城くん。
まあ、結婚するとか言うし。ふたまた、とか思われていても仕方ないんだよな、と口の中のものが、どんどん飲み込めなくなっていく。
「付き合ってないよな」
「むぐっ」
びっくりしすぎて飲み込んだ。いや、事実をそのまま言っただけだけど。詰まりそうなのを助けてくれるにしては強く背中を叩かれてその手を押し除けていると、笑吏の冷ややかな視線を感じる。
「いちゃいちゃしてるようにしか、見えませんけど」
「結婚するんだし、今は別に良いだろ?」
あ、また不穏。
「今週、飯に行って、付き合ってる相手がいるか聞いたらいないって言うし。飯食わねぇし痩せてるし」
「ダイエットしてたの?こより。必要なさそうなのに」
「してないよ」
なんでそうなる、と思いながら、話の方向が読めなくて居心地が悪い。皆木さんの視線も、痛い。でも、友達に戻ろうって言ったのはこの人で、わかった、と返事するしかなかった。片方の気持ちが離れちゃった後の頑張り方なんて、知らない。そのやりとりで、終わっているんだから。付き合っている相手がいないのは、本当だった。はずなのに、なんだか嘘をついたような気分にさせられる。
「オレ、こよりと恋人になる気は昔っからないんだよな」
「そうなの?」
若干、だいぶショックでびっくりした。今さらだと自分でも思うけど。なのに、すごく楽しそうな顔で皮肉に笑っていつも通り、前髪をぐしゃぐしゃにされる。
「そういう顔はするからお前、面白いんだよ」
「ひどっ」
「まあとにかく」
気がつくと、2人で話してしまうのは、わたしまでペースに巻き込まれているからなのは、わかる。
「こいつは、ずっと友達なんだけどな。…そうそう、そういう顔するやつ多くてさ。普通に考えて、友達が妙に痩せてりゃ心配もするし世話もやくだろ。それにとやかく言われんのがばかばかしい」
「…めちゃくちゃだね、相変わらず」
思わず笑いながら言うと、皆木さんが呆れた目を向けてくる。笑うところ?と。言いたいんだな、っていうことは分かった。
「友達で彼女、はないけど、友達で家族はありだろ」
「あ。それで結婚なんて言い出したの?」
わたしの方が思わず納得して言ってしまうと、こっちを向いて盛大なため息をつかれた。首を傾げると、困ったものを見る目になる。
「何年経っても、ほっとけねぇんだもん、お前」
「志城君に言われたくないよね、とりあえず」
「こんなに面倒見のいいオレ、貴重よ?」
「自分で言う」
ふはっ、と吹き出してしまう。完全に皆木さんと笑吏は置いてけぼりだけど、まあいいや、と思ってしまう。どうせ、こいつの独壇場なのだ。
「目を離すと面白いことやらかすし。なんとかなるって言いながら、ちまちまなんとかしようとしてるし」
「え」
不意の声に、思わず振り返った。面食らったような皆木さんの顔が珍しい。隣で、いつからそんな顔をしていたのか、笑吏が昏い顔をしていて、嫌な感覚に襲われる。ろくなことが、ないから。
「なんとか…?」
「あれ、ここじゃそんなに言わない?こいつの口癖みたいなもんだけど。なんとかなるよ、って」
「あれって、そう言いながら人任せの…」
「んなことしたこと、あったんすか?皆木さんには」
あったかなあ、と首を傾げるけれど、無自覚に何かやらかしたとしたら、それは思い出せない。困ったなと思っていると、不意に志城くんが話題を変えた。
「そう言えば。オレたちの話ばっかりになっちゃったけど、2人も結婚するんですか?さっき練習会場で、あの2人もそろそろとかあるのかってこいつが聞かれてたけど」
それを言ったのは笠井さん。笠井さんが入った頃には、そう見えたんだなってよくわかる。まだ、付き合っていた、はずなんだけど。
ああ、この人、「いい人」なんだな、と思ってしまうのは、皆木さんが凍りついたようにこちらを凝視したから。それを笑って受け流すわたしは、どう見えているんだろう。笠井さんがそれを聞いた時、周りにいた何人かが慌ててわたしを呼びつけたのはきっと、気遣ってくれたから。
でも、案外、平気だったのは、志城くんのおかげ。わたしも、簡単なものだなと思う。自分の居場所と立場をきちんと与えてもらっていれば、思いの外、平気なのだから。
助手席に乗り込みながら、気にしなくていいよ、というと、不思議そうな顔をされた。
「なんで?」
「忙しいでしょ。普段土曜も仕事入るし」
「ああ…」
何を考えているのだろう。前の彼女は、忙しくても毎週末出かけるし、平日でもご飯に行くと順調そうな話をつい最近までしていたらしいな、とふと思い出す。にこにこ、可愛く笑って、幸せそうだったなと思うと、なんとなく、居心地が悪い。それと同じように、時間を割かないといけないと思っているなら申し訳ないな、とも思うし。もやもやする。
「何考えてる?」
「ん?いや。というか、なんでこの後」
ご飯を食べて帰ろう、と言ってきた笑吏に、この状況で誘うかな、と思いながら断ろうとすると、いいよ、と返事をした上に、笑吏が何かを言う前に、志城くんは的確に、元彼に声をかけていた。どうせ、彼がいないと笑吏は足がないから誘うんだろうなとは思っていたけど。
「会わせてって、言ったろ?」
「…わたしのメンタル」
「気が向いたらフォローしてやる」
「いや、そこはして」
はは、と笑いながら車を出して、約束したファミレスに入る。もう彼の車が止まっているから、中にいるんだな、と思う。
「お前さ」
「ん?」
「あそこの団体の人たち。可愛がられてんな」
「あー。多分。そうかな、と思える程度には」
「こよりが自覚するほどとは、なかなかだな」
微妙な状況のわたしとか、元彼とか、色々を、気にしてさりげなく間に入ったり呼んで気が重くなるところに関わらなくていいようにしてくれる人たちがいる。残念なことに、その人たちからの元彼の評価はあまり良くない。
「保護者か」
「保護者だろ」
大学時代から、なんだかんだと面倒見がいいから。そそっかしいから面倒をかけて、保護者扱いを確かに先輩たちからされていたなと思い出して笑ってしまう。
「同じ学年なのにね」
「オレ、年上」
「知ってる」
店内を見回すと、禁煙席に見つけて、並んで座った。わたしの前は、元彼。どっちだとしても、食欲は減退するからまあ、どっちでもいい。
いいの、禁煙で、と訊こうとする口は、視線だけ向けて噤んだ。可愛い女の子の笑吏は、喫煙を見せる気はないらしい。
つくづく、思考が嫌味に偏っていて、自分の中の悪意とかドロドロしたものに嫌気がさしてなおさら食欲がなくなる。
「こより、何食う?腹減った」
「ん?」
不意に間にメニューを広げられて距離が近い。けど、思い返せば志城とはいつもこの距離感だった。彼女がいないときは。
「ほんと、わかりやすいよね」
「そうか?」
言わんとするところは察したらしい。そしてどうやら無意識の部分もあったらしいから、ある意味誠実な人なんだろう。
「ドリンクだけでもいいんだよなぁ」
「は?食え、あほ。お前、オレが嫁にもらおうと思う程度には痩せたからな?」
「痩せてるのが好きだっけ?」
「保護者ですから」
「そっち?」
いつもの調子で乗せられて言葉を返していて、はたと気づいた。目の前でこちらに向けられている視線。
視線に気づいているのは志城くんも一緒だから、適当に注文してその目を向ける。
「さっき自己紹介したけど。こよりの大学の同級生で志城です。食事に誘ってたってことは、友達?こより」
本人じゃなくてこっちに聞くのね。
「小中学校の同級生で、勝野笑吏さん。そちらは、あそこで知り合って、歳が近いから仲良くなったの。皆木洸太さん」
どうも、と人当たりの良い笑顔だけど、ちょっと居心地の悪くなる雰囲気で志城くんがいるから、その場を逃げようと立ち上がる。飲み物、取ってこようかな、と。
「何にする?」
「ん?見にいく」
コーヒーと、野菜ジュースを入れている隣で、コーヒーとメロンソーダを入れている志城くんが呟く。
「同級生、なんだ」
「ん?」
「友達じゃねぇの?」
ああ、と気がつく。無意識だ。
友達、と言うにはなかなか難しい距離感と関係なのだ。昔から、多分、そもそも向こうが友達だと思っていないだろうな、と言うのもある。ただ、わたしのさっきの発言はしっかり拾って、わたしから嫌がらせ受けたと認識されるんだろうけど。
「どっちでも良いかな」
「へぇ」
「なんか、不穏?」
「友達が、お前にあんな言い方するなら、お前にも説教かな、と」
「は?」
なんだか笑ってるけど。
「後で消化不良になるような食事にしないでね?」
「気が向いたらフォローするって」
頼んだもの、と言うか、志城が注文したものを食べつつ、口に突っ込まれ、ほぼシェアする形で食べているのを雑談をしながら眺めていたらしい皆木さんが、やっと口を開いた。非常に居心地が悪い。向こうも、言いたいことも思うところもあるんだろう。
「仲良いですね」
「ね。そんなに面倒見てもらって」
「ああ、これ?」
あ、ダメな流れ、と思っても、さっき突っ込まれたもので口がいっぱいだ。
「この間久々に会ったら、なんか痩せてるし、食も細いし。でもま、口に持っていけば開けるのは変わってないな」
「餌付けしないでって」
「オレはそんなにしてないぞ。してたのは先輩たちだろ」
「餌付けされないようにって、先にコンビニのパンとかよく口に突っ込んでくれたよね」
「…いつから、付き合ってたんですか?婚約って」
一番歳は上なのに、敬語で話す皆木さんと、普通な志城くん。
まあ、結婚するとか言うし。ふたまた、とか思われていても仕方ないんだよな、と口の中のものが、どんどん飲み込めなくなっていく。
「付き合ってないよな」
「むぐっ」
びっくりしすぎて飲み込んだ。いや、事実をそのまま言っただけだけど。詰まりそうなのを助けてくれるにしては強く背中を叩かれてその手を押し除けていると、笑吏の冷ややかな視線を感じる。
「いちゃいちゃしてるようにしか、見えませんけど」
「結婚するんだし、今は別に良いだろ?」
あ、また不穏。
「今週、飯に行って、付き合ってる相手がいるか聞いたらいないって言うし。飯食わねぇし痩せてるし」
「ダイエットしてたの?こより。必要なさそうなのに」
「してないよ」
なんでそうなる、と思いながら、話の方向が読めなくて居心地が悪い。皆木さんの視線も、痛い。でも、友達に戻ろうって言ったのはこの人で、わかった、と返事するしかなかった。片方の気持ちが離れちゃった後の頑張り方なんて、知らない。そのやりとりで、終わっているんだから。付き合っている相手がいないのは、本当だった。はずなのに、なんだか嘘をついたような気分にさせられる。
「オレ、こよりと恋人になる気は昔っからないんだよな」
「そうなの?」
若干、だいぶショックでびっくりした。今さらだと自分でも思うけど。なのに、すごく楽しそうな顔で皮肉に笑っていつも通り、前髪をぐしゃぐしゃにされる。
「そういう顔はするからお前、面白いんだよ」
「ひどっ」
「まあとにかく」
気がつくと、2人で話してしまうのは、わたしまでペースに巻き込まれているからなのは、わかる。
「こいつは、ずっと友達なんだけどな。…そうそう、そういう顔するやつ多くてさ。普通に考えて、友達が妙に痩せてりゃ心配もするし世話もやくだろ。それにとやかく言われんのがばかばかしい」
「…めちゃくちゃだね、相変わらず」
思わず笑いながら言うと、皆木さんが呆れた目を向けてくる。笑うところ?と。言いたいんだな、っていうことは分かった。
「友達で彼女、はないけど、友達で家族はありだろ」
「あ。それで結婚なんて言い出したの?」
わたしの方が思わず納得して言ってしまうと、こっちを向いて盛大なため息をつかれた。首を傾げると、困ったものを見る目になる。
「何年経っても、ほっとけねぇんだもん、お前」
「志城君に言われたくないよね、とりあえず」
「こんなに面倒見のいいオレ、貴重よ?」
「自分で言う」
ふはっ、と吹き出してしまう。完全に皆木さんと笑吏は置いてけぼりだけど、まあいいや、と思ってしまう。どうせ、こいつの独壇場なのだ。
「目を離すと面白いことやらかすし。なんとかなるって言いながら、ちまちまなんとかしようとしてるし」
「え」
不意の声に、思わず振り返った。面食らったような皆木さんの顔が珍しい。隣で、いつからそんな顔をしていたのか、笑吏が昏い顔をしていて、嫌な感覚に襲われる。ろくなことが、ないから。
「なんとか…?」
「あれ、ここじゃそんなに言わない?こいつの口癖みたいなもんだけど。なんとかなるよ、って」
「あれって、そう言いながら人任せの…」
「んなことしたこと、あったんすか?皆木さんには」
あったかなあ、と首を傾げるけれど、無自覚に何かやらかしたとしたら、それは思い出せない。困ったなと思っていると、不意に志城くんが話題を変えた。
「そう言えば。オレたちの話ばっかりになっちゃったけど、2人も結婚するんですか?さっき練習会場で、あの2人もそろそろとかあるのかってこいつが聞かれてたけど」
それを言ったのは笠井さん。笠井さんが入った頃には、そう見えたんだなってよくわかる。まだ、付き合っていた、はずなんだけど。
ああ、この人、「いい人」なんだな、と思ってしまうのは、皆木さんが凍りついたようにこちらを凝視したから。それを笑って受け流すわたしは、どう見えているんだろう。笠井さんがそれを聞いた時、周りにいた何人かが慌ててわたしを呼びつけたのはきっと、気遣ってくれたから。
でも、案外、平気だったのは、志城くんのおかげ。わたしも、簡単なものだなと思う。自分の居場所と立場をきちんと与えてもらっていれば、思いの外、平気なのだから。
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