賭けから始まった偽りの結婚~愛する旦那様を解放したのになぜか辺境まで押しかけて来て愛息子ごと溺愛されてます~

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 最後までお付き合いいただければ嬉しいです~~<(_ _)>

 ~・~・~・~・~


 夜会までの数日、邸では穏やかな時間が流れ、アルジェールにも何事もなく時間が過ぎていった。
 そしていよいよ舞踏会当日。

 「奥様!お綺麗です~~!」
 「かぁさま、とってもきれい!」
 「ワォン!」

 ドレッシングルームでオーリンや侍女たちに囲まれながらドレスアップを終わらせた私は、鏡の前に立ち、自分の姿に感激しきりだった。

 「皆、ありがとう。素晴らしいわ……まるで自分じゃないみたい」
 「何を仰います!奥様は美しいのですから正真正銘奥様です!!」
 「ありがとう」

 自国ではこのサンドベージュの髪も貧乏くさいって言われていたので、あまり好きになれずにいた。
 でもこの国でレブランド様から愛されるようになってから、少しずつだけど自分の事を認められるようになり、自分にも魅力があるのだと思えるようになってきたと思う。
 それに自分を卑下していては、自分の子供も否定しているような気がしてしまう。
 だから、皆が愛してくれる自分を大切にしなくては。

 「レブランド様にも早く見せたいわ」
 「旦那様も待っておりますとも!」
 「とうさまにみせよう!」
 「ワフッ!」
 
 全ての準備が整ったので、旦那様の待つ一階へと向かった。
 レブランド様は私が階段を下りてくるのに気付き、すぐに駆け寄ってきてくれる。
 今日は旦那様も正装でとても素敵。

 「カタリナ、なんて素晴らしいんだ」
 「ありがとうございます。レブランド様も……とても素敵ですわ」
  
 あまりに素敵だから言葉がうまく出てこない。
 漆黒の髪をまとめ、整った顔がよりはっきりと見えて、胸が高鳴っていく。
 旦那様にはいつもドキドキしているけれど、今日は特に心臓がうるさくて顔に熱が集まっているのが分かる。

 「カタリナ?顔が赤いような……」
 「な、なんでもありませんわ。さぁ行きましょう!」
 「ああ、そうだな。オーリン、アルジェールを頼んだ」
 「はい!お任せください!」
 「アルジェール、オーリンの言う事をよく聞くのよ」
 「はい!おまかせください!」
 「ふふっ、アルジェールは騎士だものね。期待しているわ」

 そしてすぐそばにいるドルチェの前に屈み、彼にも挨拶をしていく。

 「ドルチェ、アルジェールをお願いね。いい子で待っていて」
 「ワォォン!」

 元気に挨拶を返してくれたので、私とレブランド様は皆に見送られながら王宮へと出発した。
 なるべく早く帰ってきたいわ……アルジェールが心配だから。
 そんな私の気持ちが伝わったのか、レブランド様が私を抱き寄せ、頬にキスをしてくれる。

 「大丈夫だ。今日は邸にイズマーニと騎士達が駐在して、警護してくれている。私達も出来る限り早めに帰ろう」
 「はい」

 馬車は私たちを乗せてゆっくりと街道を進み、やがて王宮へとたどり着いた。

 ~・~・~・~・~

 私が王宮へ来たのは旦那様と結婚する前、まだ王女だった時に建国祭で国賓として招かれた時以来だった。
 あの時がレブランド様との出会い――――
 懐かしいわ。
 あの頃と全く変わらず、王宮への入り口前には素晴らしい庭園が広がり、ライトアップされていて幻想的だった。
 レブランド様にエスコートされながら、景色を楽しむ。

 「素晴らしいですわね。それに庭園でのダンスを思い出します」
 「そうだな。あの時の君は王女なのに少しも気取ったところがなくて、とても可愛らしく、あっという間に惹かれていった」
 「レブランド様……」

 彼の気持ちが切々と語られていくのを聞くのは、嬉しいけれど、少しこそばゆい。

 「私と楽しそうにダンスを踊っていた君が今でも脳裏に焼き付いている。その時のまま……いや、今はそれ以上に君への想いは毎日募っていくばかりだ」
 「私だって同じですわ。今日だって素敵すぎて視線を合わせるのも大変で……」
 「そうか。私だけではなくて安心した」

 王宮に入る前の会話だけで、胸がいっぱいになっていく。
 彼の妻になれた私はとても幸せ者ね。
 二人で顔を見合わせ、舞踏会場のホールへと歩いていった。

 私たちがホールに現れると、会場中が一瞬静まり返る。
 そしてすぐに騒めきがさざ波のように湧きおこった。
 ひそひそ囁き合う人や、声を抑えずに話す人、こちらを怪訝そうな表情で窺う人など色々な人がいる。

 「カタリナ、私がそばにいる」
 「はい、大丈夫ですわ。こうなる事は分かってましたし、避けては通れない道ですもの」
 「そうか。しかし何かあれば私を頼ってくれ」
 「はい、旦那様」

 レブランド様がいてくれれば何でも乗り越えていけるような気がしてくる。
 出会った時から彼が私のヒーローで、大好きな人――――
 そんな私たちのもとへ、一番会いたくないけれど会わなくてはならない女性が、ゆっくりと歩いてきた。
 
 その人物とは、五年もの間謹慎していた、レブランド様の幼馴染ヴェローナ様だった。
 
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