【完結】ままならぬ僕らのアオハルは。~嫌われていると思っていた幼馴染の不器用な執着愛は、ほんのり苦くて極上に甘い~

Tubling@書籍化&コミカライズ決定

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好きが渋滞 ~結人Side~

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 中間考査が終わり、亮たちがカラオケに行くというので駆流に腕を引かれ、彼らに合流した。

 
 「なぁ。やっぱりお前たちも来るわけ?」


 宝森がまったく歓迎していない。

 でもいつの間にか駆流と仲良くなっていたのか、やり取りが気安い感じがして驚いた。

 亮の家で勉強会やった時か?

 そういや俺と亮がキッチンに行っている間、駆流と宝森二人で楽しそうに話してたみたいだし、珍しく駆流が大きな声出したりしてたもんな。

 駆流が亮にちょっかいを出す機会が減って何よりだと思っていると、俺の近くで亮が少しフラついていた。

 大丈夫かって聞いても躓いただけだって言うし、ひとまずその時は考えないようにしたけれど、ムクドに行くあたりから少し様子がおかしいような気がしてくる。

 分厚い眼鏡をしているので表情はハッキリとは分からないが、具合が悪いんじゃないのか?

 若干ボーっとしているように見えるし。

 ムクドにいる間も口数が少ないので、いよいよ具合が悪いというのが確信に変わる。

 でも亮の事だから皆に迷惑をかけるのを嫌がると思い、宝森たちと別れてから額をくっつけてみると、普通じゃない熱さだったのだ。

 熱を自覚したら途端に体に力が入らなくなったのか、亮がぐったりしていたので、背中から脇に腕を通し、体を支えてやった。

 ホントなら抱きかかえたいところだが、さすがに亮が嫌がるだろうし……本当なら抱きしめたいくらいだけど。

 
 「俺に寄っかかってろ」


 くったりと俺の制服に顔を埋め、意識を手放した幼馴染を家まで支えながら連れて帰った。


 「まぁぁ!熱が?!」

 「立っていられないみたいで。部屋まで連れて行きます」

 「ありがとう、結人くん!」


 おばさんにお礼を言われながら部屋まで連れて行き、何とか制服の上着を脱がせて部屋着を着る手伝いをする。

 下は……俺がやってもいいのか?


 「自分ではく……」

 「そ、そか……」


 何となく見てはいけない気がして背を向けた。

 支えてやりたいけど、ダメだ。

 心臓がもたない。

 とにかく早く着替えてくれと祈るような気持ちで待ち続けると、ベッドが軋む音が聞こえ、すぐに振り返った。

 ボーっとしながら布団に入ろうとする幼馴染を支え、ゆっくりと寝かせてあげると、安心したのか長い息を吐いた。


 「大丈夫か?」

 「ん…………」


 熱で瞳が潤んでいる……可愛いー……。

 幼馴染みに見惚れていたところ、彼の綺麗な目から一筋の涙が流れたのだった。

 
 「亮?」
 

 熱が辛いのか?

 あまりに心配になり、亮の柔らかい頬を撫でる……熱のせいで熱いな。
 
 もちもちの肌をずっと触っていたくて、優しく撫でていると、だんだんと意識が遠のいているのか、瞼が閉じられたのだった。

 
 「亮、頑張ったな」


 皆が楽しんでいる雰囲気を壊さないように、耐えたんだろうな。

 昔からそういうところは変わらない……いつも周りの為に動き、俺の母さんが亡くなった時も自分の事より、俺たち兄弟の事を優先してくれた。

 それが当たり前だと思っていた俺の方が、よほど罪深いんだから。

 お前が謝る事なんてないのに。

 頬を撫でる俺の手を可愛い幼馴染の小さな手が握り締め、ギュッと離そうとしない。

 
 「フッ、ずっと握ってんの。かわいー」


 胸にこみ上げる愛おしい気持ちをどう表現すればいいのか分からない俺は、自然と体が動いていた。

 熱い吐息が漏れる唇に近付き、自分の唇を重ねる――――

 俺を好きになれ。

 
 「大好きだよ、亮」
 

 伝わってほしいけど、まだ伝えられない気持ちを眠っている幼馴染みにぶつけた。

 聞いているはずないのにな。

 ぐっすり眠る愛おしい存在から目を離し、名残惜しい気持ちを残しながら亮の部屋を後にした。

 早く具合が良くなるといいな……しかし具合が良くなって週明けに登校してきた幼馴染は、明らかに様子がおかしく、その日からしばらく避けられるようになってしまう。

 なぜだ?俺は何かやらかしてしまったのか?

 まさかあの時、起きていたんじゃ……そんな不安が胸を過ぎり本人に確認してみたが、迷惑をかけたから気まずいだけだと言う。

 それからは亮の態度も元に戻ったので、本当に気まずかっただけなんだなとホッと一安心した。

 そしていつものように亮と帰ろうとしたところ、クラスの女子に呼び出され、校舎裏へと行く事となったのだった。


 「好きです、久楽くん。私と付き合ってください!」


 目の前の女子はクラスで割と可愛い方なのだろう……サッサと断って亮のところに行きたい。

 そんな事ばかり考えて油断していたところに、告白してきた女子が俺の胸に飛び込んできた。


 「ちょっ……何してんだ……!」

 「だって、久楽くんの事が好きだから!」


 普通なら喜ぶ場面なんだろうけど、自分の恋愛対象が同性なのもあり、女子と触れてもまったく嬉しい気持ちにはならなかった。

 そうでなくとも亮の存在がある限り、他の誰かと付き合うという事はない。

 皆に俺は器用だと思われてるみたいだが、こういう事に関しては正直器用じゃないのは自分でも痛感している。

 誰かに見られても面倒だと思った俺は、自分の腕の中にいる女子を引き離した。

 俺が胸の中で抱きしめたいと思うのは、この世界でただ一人だけ。

 でも誰かに恋をする気持ちは理解出来るから、出来る限り丁寧に断りの言葉を伝えた。


 「悪い。好きなヤツいるから」

 「そ、そっか。ありがとう……」


 まるで目の前の女子が自分のように感じ、少しズキンと胸が痛んだ。

 もしこんな風に面と向かって告白をしてフラれたら……立ち直れる気がしないな。

 だからって諦められる気もしないんだけど。

 とにかく亮を待たせている事を思い出し、急いで教室へ向かったが、すでにそこに亮の姿はなかった。

 もう帰ってしまったのかもしれない。

 まだ残っていた駆流と校門のあたりを歩いていると、目の前に大好きな幼馴染の頭が見えてくる。

 亮だ――――

 喜び勇んで近づいていったところに、宝森の声が響いてきたのだった。
 

 「そっか~~亮の好きなヤツがな~~」

 「えっ……と…………」

 「親戚のおじさんみたいな気持ちになるな!もっと亮のコイバナ、おじさんに聞かせてくれ」

 「もう!面白がってるでしょ」


 そこまで聞いて、駆流と顔を見合わせる。

 亮の好きな人?

 好きな人がいたのか?

 足が地面に張り付いて動かない……誰だよ、ソイツ。

 亮はノンケだしこちら側の人間じゃないだろうから、クラスの女子なのか?

 なかなか言葉が出てこない俺の横から、駆流が悲鳴のような声を上げた。


 「え!亮クンの好きな子の話?!!」


 まさかの話にその日はなかなか眠れず、早くも失恋の危機に瀕してしまうのだった。

 しかも体育祭実行委員の後も声をかけられる事なく、先に帰られてしまうという……何回かRINEしたけど、全然返信がこない。

 自室のベッドに寝転がりながら、長いため息をついた。


 「はぁ――……まさか、好きな人と一緒なんじゃねぇよな……」


 せっかくいい感じになってきたと思ったのに、ライバル出現とか冗談じゃねぇぞ。

 どこの誰かも分からない人間にとられるとか……相手は誰なんだろうか。

 クラスの女子かとも思ったが、正直クラスの女子と仲良くしている感じはないし、小学生の時は明るくて可愛いからよくモテて俺も焦ったけど、今は……周りに男が多いもんな。

 まさか亮もこちら側か?!

 駆流とかじゃねぇよな……中学時代の人間とか……やっぱり中学時代に会わないでいた事が今更になって悔やまれる。

 悶々としているところに亮から【ごめんね!忙しそうだったから先に帰ったんだ】というRINEが入った。

 でもなんで返信がなかったのかとかがなくて、全然モヤモヤが晴れない。

 俺って面倒くさい男だな。

 付き合ってもいないのに彼氏面とか……でも亮の事になると全く余裕がねぇ。

 とにかく明日会ったら聞いてみるか。

 なんとか気持ちを切り替えて学校へ行くと、クラスで駆流から、目の前が真っ白になるような話を聞かされる事となるのだった。

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