【完結】ままならぬ僕らのアオハルは。~嫌われていると思っていた幼馴染の不器用な執着愛は、ほんのり苦くて極上に甘い~

Tubling@書籍化&コミカライズ決定

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俺を好きになれ ~結人Side~

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 「亮と海を見に行った?!」

 「そそ。二人で手を繋いで行ったんだ~~夕焼けが綺麗でさ!もう感動的~」

 「な……ど、どういう……」


 何で二人で……そんな事RINEでも言ってなかったし、しかも手を繋いで?

 2人が手を繋いでいるところを想像し、頭に血が上ってくる。

 ショックを受ける俺を見て面白いと思ったのか、駆流がニヤニヤ笑いながら話を続けていった。


 「あんまり綺麗でいい雰囲気だったから、僕、亮クンに……」

 「?」
 

 駆流が勿体ぶってなかなか話そうとしない。

 しかしこちらを向いた時の表情を見て、物凄い嫌な予感がして胸が騒めいた。

 その嫌な予感は的中してしまう。


 「んふ。キスしちゃった」

 「駆流!!」

 ――――ガターンッ!――――

 咄嗟に駆流の襟に手をかけたところで、椅子が倒れ、ハッと我に返った。

 周りの注目を集め過ぎている事に気付き、駆流から手を離して椅子を戻した。

 その間も駆流の余裕の表情は変わらない……まさか二人は付き合ったのか?


 「結人は亮クンの彼氏じゃないんだから、怒る権利ないからね~~」

 「分かってるよ……悪かったな」

 「お、素直じゃん」

 
 少し冷静になって駆流との会話を考えてみると、コイツと亮が付き合ってるわけじゃない事は分かる。

 俺が彼氏じゃないと言ったところを見ると、駆流も彼氏ではないんだ。

 まだ誰のものでもない事を確認出来た感じがして、ホッと胸を撫でおろした。 

 でも――――どうしてキスするシチュエーションになったんだ?

 色々と気になって授業どころじゃなかった俺は、放課後の体育祭実行委員会の時、ついに亮に問い詰めることにしたのだった。

 体育祭準備という事にして、亮を体育倉庫に引っ張って行き、一緒に入ってカギをかけた。

 これでしばらくは二人きり……訳が分からない表情の幼馴染をじりじりと跳び箱の前まで追い詰めていく。


 「ゆ、結人。どうしたの……?」

 「亮に聞きたい事がる」


 俺のただならぬ表情にビクビクしている目の前の幼馴染。

 本当はこんな事を聞きたくはないんだが、どうしても気になって普通に話せねーから。
 

 「昨日は帰りに駆流とデートしてたのか?」


 俺はワザとデートという言葉を使った。

 二人が付き合ってるならこの言葉は自然と受け入れるだろう。

 それに対しての亮の反応を知りたかったからだ。

 
 「デッ、デートじゃない……!!」

 「二人で手を繋いで帰ったんだろ?」

 「なんでそんな事まで!あ…………」

 「本当なのかよ……」


 亮の中でデートじゃない事は分かったけど、手を繋いでいたのは本当だった事に頭を殴られたような感じがする。
 
 
 「ごめんね、置いて帰っちゃって。今度から声かけるから」


 俺の気持ちをまったく知らない幼馴染は、的外れな言葉を返してくるのだった。

 本当に、俺が自分を恋愛的な意味で好きとは全く思っていないんだな。

 とにかく質問の意図が伝わっていないので、亮の言葉を否定し、聞きたかった質問をぶつけた。
 

 「違う、そういう事じゃない。…………亮は駆流の事が好き、なのか?」

 「違う!僕が好きなのは……僕は…………」


 一生懸命俺の問いかけに答えようとする亮だが、顔が真っ赤で……マジで好きな人がいるのが伝わってくる。

 ダメだ、その先は聞きたくねぇ。

 駆流の事は友達だから手を繋ぐのも抵抗がないのは分かった。

 俺はコイツの彼氏じゃないし、手を繋ぐなとも言えねぇ。

 それがもどかしくて堪らない。

 しかも、いつの間にか幼馴染の心の中にはマジで好きなヤツ居座っている。

 でも――――だからどうした。

 こちとら物心つく前から惚れてんだ、好きなヤツがいるからって諦められるわけがない。
 
 
 「他のヤツの事なんて俺が忘れさせる」


 そうだ、俺が全部塗り替えてやる。

 亮の中の好きなヤツも、駆流が触れた部分も全部。

 一緒に過ごした時間は誰よりも多いはずなのだから……きっとそれだけはこれからも変わらない。

 驚いて固まる亮の手を組み敷いて、唇を食んだ。
 

 「…………んっ」


 美味しいな。しかも聞いた事のない甘い声が漏れ出てきて、雄の本能がむき出しになる。

 絶対誰にも渡さない。
 

 「俺を好きになれ」


 俺の言葉に何かを返そうとしていた亮の唇を塞ぎ、舌を絡めていく――――

 もう何も聞きたくない。

 
 「んんっ……んぁっ、ふぅっ……んっ…………」


 存在を確かめるようなキスを繰り返し、コイツの中が俺でいっぱいになっていけばいいと、深く口付けていった。
 
 好きだ。

 昔も今も、お前だけ――――

 夢中で可愛い幼馴染を味わっていたので、気付いた時には彼の膝がカクンッと頽れ、床にへたり込んでしまう。

 しまった、呼吸の仕方を知らないのか……!
 

 「亮!」

 「……はっ……はぁ、はぁ…………っ」


 多分こういったキスが初めてだよな……亮ならそういう知識も知らなさそうだし。

 好きなヤツとキスして夢中になっちまった。

 肩で息をする幼馴染の小さな体を抱きしめ、背中を摩った。
 
 
 「ごめん……苦しかったよな」


 突然キスしたにも関わらず、俺の言葉に首を振り、胸に顔を埋めて甘えてくる。

 それは反則だ。

 背中に回した腕に力を込め、強く抱きしめた……このまま俺のものになってくれねーかな。

 お前が誰を好きでもいいから。

 絶対幸せにするし、大切にするから。

 そんな俺の願いは空しく、体育倉庫の鍵をガチャガチャと開けようとする音がして、我に返った。


 「やべ……鍵閉めてたの、すっかり忘れてた」
 
 「そ、そうだね」

 「大丈夫か?」

 「ん……」


 呼吸が乱れていた幼馴染はすっかり落ち着きを取り戻したようで、綺麗な頬を摩ると、一瞬すり寄ったように感じて離れがたくなる。
 
 でも体育倉庫の外から声も聞こえてきたので、俺たちは慌てて倉庫から出て、適当な言い訳をした後その場をあとにしたのだった。

 そして走りながら、二人で顔を見合わせて笑い合う――――

 告白したわけじゃないのに、嫌がられなかった事でほんの少し希望があるのかもしれないと思った俺は、体育祭が終わったらこの気持ちを伝えることを決意するのだった。
 
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