【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~

榊シロ

文字の大きさ
27 / 415

14.廃墟探索ホラー動画①(怖さレベル:★★☆)

しおりを挟む
(怖さレベル:★★☆:ふつうに怖い話)

ええと、たぶん、
こういうのを見ている方なら、
お分かりになるかと思うんですが。

ときどき、
無性に怖い話とか、
ホラー系の映像を見たくなる時ってありますよね。

幸い、今のご時世、
動画サイトや見放題サービスをちょいと調べれば、
わざわざレンタルショップに通わなくても、
手軽にそういうものを摂取できます。

特に僕は、
肝試しなどと称して廃墟を探索するような度胸も、
いっしょに突撃してくれるような友人もおらず、
もっぱらそういったインターネット上の
恐怖体験に頼り切っていました。

そんな風にホラー系のものが好きだったにも関わらず、
僕は情けないことに……その、けっこうなビビリで。

一軒家に家族と同居していたから良いものの、
ホラー映画のキャラクターが夢に出てきて冷や汗をかいたり、
夜のトイレや風呂場が怖くてたまらなくなったり、
なんてことは今までも多々ありました。

とはいえ、霊感なんてものはなく、
生まれてこの方、幽霊らしきものの
姿形すら、見たことはなかったんですけど。


そして、あの日。

いつものごとく、
休日に自室でダラダラしていた僕は、
なんとなくホラーを摂取したい気分になり、
登録していた見放題サービスを検索していました。

「……お、これいいな」

新着に上がっていた、
そのサイトオリジナルの廃墟探索系ホラー。

特に今回、その舞台が同じ県内ということもあって、
僕は迷うことなくそれを選択しました。

なにせ、廃墟探索がメイン。

夕暮れのほの暗い日差しの下、
キャストが訪れているのは、
同一県内とはいえ見たことの無い廃家です。

「こんなトコ、あったんだなぁ」

木々に囲まれているその場所。

家の外壁は長年風雨に晒されたせいか、
コケやツタが絡まっていて、
とても人の住めるような状況ではありません。

かつて四人家族の暮らしていたその家は、
息子二人が殺害されるという事件をきっかけに、
それを苦にして両親は自殺した――という、
ウソかホントかもわからない、テロップでの解説が表示されました。

『さあ、それではさっそく中を探索しましょう……』

やや浮かれ気味のリポーターが、
マイク片手にそろそろと中へ侵入しようとしています。

『失礼しまーす……』

――キィイン

リポーターが、その家に侵入する、
まさにその瞬間。

鋭い耳鳴りが鼓膜を揺らしました。

(ん、なんだ……?)

ぞわり、と今まで体感したことのないほどの悪寒。

突如として緊張状態に入った身体は、
真正面で流れている動画に釘付けでありながら、
周囲になにごとかの異常が起きていることを知らせています。

「……っ?」

ひやりと冷えた室内をぐるりと見回しても、
なんら異変は見当たりません。

天井、壁、床、ベッドに机も、
いつもの通りのまま。

パソコンを前に座るソファの後ろだって、
本棚があるばかり。

だというのに、
自分の部屋、ここだけがまるで異空間のように
冷え切っているのです。

『さあ、リビングを突っ切り、問題の二階へと上がっていきます……』

目を離した隙に、
リポーターはしずしずと廃屋の中を通り、
古びた階段へと足を踏み出しています。

(まさか、呼び寄せた……?)

ホラー映像を見ていると、
妙なものを呼び寄せやすい、というのは
皆さん聞きかじっていることだと思います。

僕も霊感など無いものの、
こんな動画を見ていたせいで、
きっと見えないものを呼び寄せたのだろう、
そう考え、震える指で動画の視聴を止めようとしました。

『さあ……ここが、噂の部屋。
 二人の息子が亡くなった、問題の洋室です!』

ガラリ、
と映像が映り変わったその場面。

「え……?」

そこは、僕の部屋でした。

天井、壁、床、ベッドに机も、
いつもの通りのまま。

廃屋にあるまじき明るい色彩、
テレビカメラが光を調節をしているにしても、
あきらかに生活感のある、そこ。

誰もいないソファの前に置かれた机には、
開かれていない、ノートパソコン。

「なん……どうして……」

ソファの後ろに置かれた本棚も映し出され、
並べられた本の帯の一致を理解した瞬間の
僕の悪寒は、さきほどとは比べ物になりません。

『いやー……まさか、ここで殺人事件が起きたなんて。
 まったくおぞましいですね』

リポーターが、まるで感情のこもっていない声で、
一歩二歩と歩みを進めていきます。

うちは、四人家族。
長男は僕――弟は、隣室にいる。

殺人事件……
二人の息子が殺された……
それが起きたのは、いったいいつ――?

ギシリ。

腰掛けたソファが、
妙な音を立てて軋みました。

『んん? おやぁ、窓が開いていますねぇ。
 いや、ガラスが壊されているのかな?』

リポーターが、破れたカーテンをめくる様に
下を覗きます。

割れた窓。

真っ暗なその景色にブレる、
細く白い――影。

「……ッ!?」

――キィイン。

耳鳴り。

それと共に、
一切の音が消え去りました。

目前の動画からも、
身じろぐ自分の吐息すら、
耳に入らない。

カタン。

窓辺から、
沈黙に映える、物音。

「……っ、……」

せり上がった恐怖が、
今にも弾けようとした、その瞬間。

>>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。 意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。 隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...