【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~

榊シロ

文字の大きさ
383 / 415

151.赤い紙、青い紙①(怖さレベル:★★★)

しおりを挟む
(怖さレベル:★★★:怖い話)
※終盤、少々残酷なシーン有り※

こうして、いろいろな怖い話を聞かせてもらって、おれも思い出しましたよ。
昔、幽霊に声をかけられた、ってことを。

……ええ、幽霊に、です。
つっても、おれは最初、まったく気がつきゃしなかったんですが。

ほら、聞いたことありません?
学校の怪談とかでよくある『赤い紙、青い紙』ってヤツ。

ホラー好きはピンとくるでしょう。
これは、学校のトイレの怪談です。

夕方、もしくは夜。
ひとりでトイレの個室に入ると、トイレのペーパーが切れている。

途方に暮れていると、便器の中から、

『赤い紙が欲しいか? 青い紙が欲しいか?』

と、不思議な声が聞こえてくる、って怪談です。

助かったと思って、どちらかの紙を答えたらアウト。

赤い紙と言うと、血まみれにされて殺される。
青い紙と言うと、血を抜かれて殺される、という、
なんとも理不尽な、逃れようのない恐ろしい話です。

どうやら、似たような話はいくつもあるらしく、
『赤い紙、青い紙』に足して『黄色い紙、白い紙』なんて、
バリエーションがあったりするみたいですね。

助かる方法としては『いらない』と答えるだとか、
無視してトイレから出る、などが一般的みたいですが、
『答えないと殺される』という場合もあるらしく、
聞かれた時点で助からない、という、まぁなんとも恐ろしい怪談です。

まあ、おれとしては、
聞かれた時点で助からないのなら、怪談として広まってるのは矛盾してるだろ、
とか思ってしまって、ほとんど信じちゃいませんでしたけど。

でも……ま、その『赤い紙、青い紙』の怪談、あったんですよ。
うちの地区内の、ふるーい公民館にね。

ええ、学校、じゃないんですよ。
なぜか、その公民館が、ウワサの出所だったんです。

うちの地区には育成会っていう子どもたちの集まりがあって、
ボランティア活動をやったり、盆踊りや太鼓たたきの練習したりっていうのがあったんです。

うちは親がそういう地域活動に熱心なタチだったので、
おれももれなくそこに入れられました。

ボランティア活動以外にも、
ポートボールやら野球の練習やら、放課後や休みの日に駆り出され、
小学校に入っている期間、いろいろ体験させられました。

で、その育成会のメイン活動場所が、
例のその公民館だったわけなんですよ。

ここがまぁ、壁に軽いひび割れが入ってたり、
ちょっとツタが張ってたり、クモの巣もすごいわで、
いかにも古くから使ってます、ってばかりに年季が入った施設。

いかにも、幽霊が出ますよ~って感じの公民館だったわけです。

実際、夏場になると育成会のメンバーで肝試しをやるんですが、
この古臭い公民館がそのまま、メイン会場になります。

その時ばかりは、違う地区の子どもたちまで呼び込んで、
かなり盛大にやるんですよ。

『あの公民館は出る』なんて言われてましたけど、
実際にホンモノを見たヤツはいなくって、
おれたちは、ただ雰囲気を楽しんでただけですけどね。

――あの時、までは。

……さっきも言った通り、うちの公民館のトイレにはウワサがあってね。
例の『赤い紙、青い紙』のウワサが。

まあ、おれは当然、信じちゃいませんでした。

怖い話のまとめサイトにも腐るほど載ってる話だし、
学校の七不思議でもド定番の話でしょう?

面白がった誰かが、テキトーに流しただけの、
ただの作り話だろ、ってね。

おれは小さい頃から、スレた可愛くないガキだったから、
この手の怪談話、はなからバカにしてました。

……ま、あんなことを体験しちまったせいで、
怖い話はすべてウソ、なんてこと、言えなくなっちまったんですが、ね。

ええ……あれは、おれが丁度、6年生になった年の、夏のことです。

もうちょっとで小学校を卒業する、ってことで、
育成会も、最後の年になりましてね。

今までは企画側だった肝試しも、
最終学年になると、もてなされる側になるんです。

そんで、その年の肝試しのテーマが、
例の『赤い紙、青い紙』だったんですよ。

肝試しの内容としては、以下の通り。

・公民館の入口からぐるっと一周してトイレに入る
・トイレの個室に置かれている赤い紙か青い紙のトイレットペーパーを取る
・公民館の外へ出て、終了

もちろん、公民館内にはお化け役の子どもが潜んでいて、
簡単には取って戻れないようになっています。

ちなみに、過去のテーマと言うと、
『公民館の13階段』、『空き部屋に潜む花子さん』などなど。

これは毎年、育成会の大人たちが考えていました。

でも、さっきも言った通り、おれはスレたガキでして、

(ホントになんか起きてたら、とっくにこの公民館取り壊されてんだろ)

と、まったく怪談を信じていませんでした。

とはいえ、毎年、この肝試しは大盛況です。

今年は特に、もともとウワサされていた
『赤い紙、青い紙』がテーマということで、
なんと、例年の倍の参加者数になってしまって。

あんまり参加人数が多いと、怖いものも怖くなくなるな、なんてこぼしていたら、
どうやらそれが大人の耳に入ったらしく、おれは改まって声をかけられました。

『お前、肝試しのオオトリな』と。

ええ……なんと、一番最後の挑戦者に抜擢されちまったんですよ。

それでも、おれは強気でした。
年下のヤツらのおどろかしなんて、取るに足らねぇ、って。

幽霊なんて信じちゃいないし、
今までは脅かし役として参加していたんです。

だから当日、先に行ったヤツらが半べそかいて帰ってきたり、
怖さに途中棄権したり、キャーキャー騒ぎつつ出てくるのをからかったりしつつ、
おれは悠長に順番を待っていました。

「こ……怖そうだね、たっくん……!」
「なにが『怖い』だよ、バーカ。こんなんへっちゃらだっての」

おれを『たっくん』と呼ぶのは、
同じ小学六年生の三ノ田(みのだ)というヤツでした。

同じ育成会の仲間なものの、
すごくビビりで、いつもおれの背中に隠れてるようなタイプです。

>>
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

ママが呼んでいる

杏樹まじゅ
ホラー
鐘が鳴る。夜が来る。──ママが彼らを呼んでいる。 京都の大学に通う九条マコト(くじょうまこと)と恋人の新田ヒナ(あらたひな)は或る日、所属するオカルトサークルの仲間と、島根にあるという小さな寒村、真理弥村(まりやむら)に向かう。隠れキリシタンの末裔が暮らすというその村には百年前まで、教会に人身御供を捧げていたという伝承があるのだった。その時、教会の鐘が大きな音を立てて鳴り響く。そして二人は目撃する。彼らを待ち受ける、村の「夜」の姿を──。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/1/2:『そうしき』の章を追加。2026/1/9の朝4時頃より公開開始予定。 2026/1/1:『いえい』の章を追加。2026/1/8の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/31:『たこあげ』の章を追加。2026/1/7の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/30:『ねんがじょう』の章を追加。2026/1/6の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/29:『ふるいゆうじん』の章を追加。2026/1/5の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/28:『ふゆやすみ』の章を追加。2026/1/4の朝4時頃より公開開始予定。 2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

百の話を語り終えたなら

コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」 これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。 誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。 日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。 そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき—— あなたは、もう後戻りできない。 ■1話完結の百物語形式 ■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ ■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感 最後の一話を読んだとき、

霊和怪異譚 野花と野薔薇

野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。 静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。 『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。 一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。 語られる怪談はただの物語ではない。 それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。 やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。 日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。 あなたも一席、語りを聞いてみませんか? 完結いたしました。 タイトル変更しました。 旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる ※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。 エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。 表紙イラストは生成AI

処理中です...