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第1章
5話
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富山衆の集めてきてくれた情報は、出雲国松江藩十八万六千石の九代藩主・松平斉斎が、度重なる領内の災害、天候不順・水害・火事を無視して幕府に十二万両もの献金を行い、官職の得て立身出世を図ったこと。
それだけならばまだ家臣も我慢したのかもしれないが、相撲や鷹狩などの遊興にふけり、藩財政を極度に悪化させていた。
これにより君臣の関係が極度に悪化しており、家臣の中には斉貴は強制的に隠居させられる、主君押込まで考えている者がいるというのだ。
徳川慶恕は急ぎ徳川家祥に謁見を願い出て、徳川家祥から将軍・徳川家慶に謁見する段取りをつけてもらった。
尾張徳川家を継承した徳川慶恕なら、直接徳川家慶将軍に謁見を願い出る事も可能なのだが、必ず徳川家祥を通した。
自分が仕えるのは徳川家祥だと内外に知らしめていた。
これは徳川家祥を押しのけて息子を将軍にしようとする、水戸徳川家当主・徳川斉昭のへの挑戦状でもあった。
徳川慶恕の願いは直ぐにかなえられた。
徳川慶恕は昨年一年間で百万両近い純利益を上げ、そのうちの半分、五十万両を幕府に、いや、徳川家祥に献金したのだ。
その五十万両が徳川家祥が幕府に献上した事で、徳川家祥の評価が一変し、徳川家祥の将軍継承を反対する者が少なくなっていた。
少なくとも尾張徳川家と浜田松平家、高須松平家と広瀬松平家が団結して強力に徳川家祥を後押ししているのだ。
それに正面から逆らうのは躊躇われたのだ。
徳川家慶も自分の息子が可愛くないわけではないのだ。
尾張徳川家と幕閣が強力に支えてくれるのなら、安心して将軍位を継がせることができるのだ。
そこに、出雲国松江藩の君臣争いが徳川慶恕から報告された。
出雲国松江藩、越前松平家に高須家から養子が入り、家祥を支えてくれるのなら、これほど安心できることはない。
それに高須兄弟は誓紙血判を出して水戸系血族が将軍にならない事を誓っていた。
家祥に何かあった時には徳川斉順が、もし斉順が亡くなっていたら徳川斉匡がというように、徳川家斉系の男子に将軍家を継承させ、高須兄弟が支える事を誓っていたので、徳川慶恕の献策はよほど無理な事以外は最初から聞き届ける気だった。
「高須松平家三男、松平修理大夫義比。
隠居した松平斉斎の養子となり越前松平家を継ぐべし。
越前松平家を継ぐにあたり、諱を与える。
以後慶比と名乗るがよい」
「ありがたき幸せでございます」
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