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第1章
18話
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「上様、一大事でございます。
由々しきことが判明したしました」
「何事だ左中将。
そなたほどの者が、そこまで血相を変えるなど、よほどの事であろう。
遠慮はいらぬ、側に来て話すがいい」
「これは幕府だけでなく、徳川家の命運を変えるような一大事でございます。
何卒人払いをお願い致します」
徳川慶恕は人払いをしたうえで、日本国内と国外の金銀交換比率の違いを話した。
日本の金銀交換比率は金一に銀五だったが、世界の金銀交換比率は金一に銀十五だったので、碁石を使って異国と貿易で日本の金が流出することを説明した。
最初はよく理解できなかった将軍家慶公も、何度か説明を聞くうちに、西国大名が無計画に密貿易を繰り返せば、日本の財力が金銀の交換だけで失われることに気がつき愕然とした。
「それは一大事ではないか、左中将!
いかにして防ぐつもりだ!」
「幕府が受取る運上金や税を、全て金納となされませ。
一方幕府が支払う分はすべて銀となされませ。
必要な銀は我らが用意いたします。
幕府と尾張家で南蛮と戦うための軍資金を積み立てるのでございます」
口ではそう言った徳川慶恕だが、すでに莫大の金を蓄えていた。
高須兄弟の支配する諸藩では、以前から収入は金建てで支払いは銀建てだった。
密貿易時代からの利益三百万両を、全て小判に変えていた。
「それと、もっと利益を上げるためにも、南蛮船と清国船の入港は出島に限るものの、尾張家の船は清国や南蛮に行けるようにするのです」
「だがそれでは、尾張家に特別扱いが過ぎると言いだす者ができるのでないか?
幕府水軍を清国に行かるのは駄目なのか?」
「恐れながら上様、今の幕臣は信用できません。
己の私利私欲のためならば、日本の金を持ち出して銀に変え、日本の金を全て異国に流出させる者が現れます。
尾張家の家臣ならば私の一存で処刑できますが、幕臣では手が出せません。
上様は有無を言わせず権現様以来の譜代功臣を処刑できますか?」
徳川慶恕に詰め寄られ、将軍家慶公は全てを慶恕に任せることにした。
だが、利益の半分を幕府、徳川本家に集めることになるので、問題はなかった。
そして慶恕の献策にしたがい、権現様が残してくださった大法馬金百二十六個を再備蓄することにし、日本中の鉱山から産出される金と小判を集めようとした。
『行軍守城用勿作尋常費』という文字が鋳込まれ、本来ならば戦費以外には使えないはずの大法馬金が、今では二十六個しか残っていないのだ。
大法馬金:鋳造当時は三百三十キロで慶長大判二千枚分。
天保小判の規定量目は三匁(十一・二十二グラム)
金の量だけでいえば、大法馬金だけで五万千八百九両分の金だ。
百個を直ぐに再鋳造しようと思えば、五百十九万両必要になるのだ。
由々しきことが判明したしました」
「何事だ左中将。
そなたほどの者が、そこまで血相を変えるなど、よほどの事であろう。
遠慮はいらぬ、側に来て話すがいい」
「これは幕府だけでなく、徳川家の命運を変えるような一大事でございます。
何卒人払いをお願い致します」
徳川慶恕は人払いをしたうえで、日本国内と国外の金銀交換比率の違いを話した。
日本の金銀交換比率は金一に銀五だったが、世界の金銀交換比率は金一に銀十五だったので、碁石を使って異国と貿易で日本の金が流出することを説明した。
最初はよく理解できなかった将軍家慶公も、何度か説明を聞くうちに、西国大名が無計画に密貿易を繰り返せば、日本の財力が金銀の交換だけで失われることに気がつき愕然とした。
「それは一大事ではないか、左中将!
いかにして防ぐつもりだ!」
「幕府が受取る運上金や税を、全て金納となされませ。
一方幕府が支払う分はすべて銀となされませ。
必要な銀は我らが用意いたします。
幕府と尾張家で南蛮と戦うための軍資金を積み立てるのでございます」
口ではそう言った徳川慶恕だが、すでに莫大の金を蓄えていた。
高須兄弟の支配する諸藩では、以前から収入は金建てで支払いは銀建てだった。
密貿易時代からの利益三百万両を、全て小判に変えていた。
「それと、もっと利益を上げるためにも、南蛮船と清国船の入港は出島に限るものの、尾張家の船は清国や南蛮に行けるようにするのです」
「だがそれでは、尾張家に特別扱いが過ぎると言いだす者ができるのでないか?
幕府水軍を清国に行かるのは駄目なのか?」
「恐れながら上様、今の幕臣は信用できません。
己の私利私欲のためならば、日本の金を持ち出して銀に変え、日本の金を全て異国に流出させる者が現れます。
尾張家の家臣ならば私の一存で処刑できますが、幕臣では手が出せません。
上様は有無を言わせず権現様以来の譜代功臣を処刑できますか?」
徳川慶恕に詰め寄られ、将軍家慶公は全てを慶恕に任せることにした。
だが、利益の半分を幕府、徳川本家に集めることになるので、問題はなかった。
そして慶恕の献策にしたがい、権現様が残してくださった大法馬金百二十六個を再備蓄することにし、日本中の鉱山から産出される金と小判を集めようとした。
『行軍守城用勿作尋常費』という文字が鋳込まれ、本来ならば戦費以外には使えないはずの大法馬金が、今では二十六個しか残っていないのだ。
大法馬金:鋳造当時は三百三十キロで慶長大判二千枚分。
天保小判の規定量目は三匁(十一・二十二グラム)
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百個を直ぐに再鋳造しようと思えば、五百十九万両必要になるのだ。
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