徳川慶勝、黒船を討つ

克全

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第1章

40話

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「都統、軍馬と兵糧、玉薬が届きました」

「分かった、直ぐに行く」

 徳川慶恕は、清国に送り来んだ者達への支援に手を抜かなかった。
 交易の利益を全て投入する覚悟までしていた。
 だが実際には、逆に利益が増える状態だった。
 清国と露国の国境線に確固たる領地を確保し、満州、蒙古、北京にまで安全な補給路を確保する事で、陸上交易路を確立したのだ。

 蒙古に拠点を持つ旗王や都統に、欽差大臣の林則徐に間を取り持ってもらい、同じ清国を守る都統という立場で、交易を持ちかけたのだ。
 そして清酒や焼酎といった酒類と、糠漬けや粕漬といった、蒙古では手に入り難い貴重な野菜と塩分を、両方同時に摂取できる食材を売り軍馬を購入した。
 もちろん売る物がない時は、銀で軍馬を確保して、清国派遣幕府軍の完全騎兵化を図り、一兵当たりの機動力と打撃力を増強しようとしていた。

 実戦を繰り返す事で淘汰が進み、本当に実力がある者だけが生き残った。
 幕臣では男谷信友・勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟・鵜殿鳩翁・松平上総介・松岡万・中條金之助・佐々木只三郎・中條金之助・榊原鍵吉などが都統に選ばれた。
 狼人組では島田虎之助・千葉周作・斎藤弥九郎・清河八郎・田中河内介・大石種次などが都統にえらばれたが、この大抜擢にはちゃんと理由がある。

 身分で言いがかりをつけるような者は、既に戦死していた。
 中には味方に背中から撃たれた者もいる。
 誰だって異国に屍を晒したくはないのだ。
 それも臆病で愚かで無能な指揮官のせいで、異国で死にたくないのだ。
 だから、味方から憎まれるような者は、役高五〇〇〇石の大番頭であろうと、役高四〇〇〇石で将軍の親衛隊でもある、書院番頭や小姓番頭であろうと殺された。

 そして生き残ったの者達は、自分達を生きて故国に連れて帰ってくれるであろう、優秀な指揮官を望み選んだ。
 それは生き残った名門譜代旗本も、味方に殺された各番方頭の配下も同じだった。
 生きて江戸に帰り、立身出世を望める者は当然だった。
 都統に選ばれたのが狼人組であろうと、元は幕臣や諸藩士の子弟で、武芸で立身した剣客なのだ。

「砲車隊、砲撃準備。
 小荷駄は葡萄弾、鎖弾、棒弾、榴弾を準備。
 鉄砲隊は三段射撃を準備。
 槍隊は槍衾を作れ。
 騎馬隊は敵の騎馬隊に備えろ」

 広東に派遣された都統の筆頭となった男谷信友は、大筒・半筒・分砲を小荷駄に搭載して運んでいた。
 それを攻め寄せる英軍と仏軍に向けていた。
 準備を整えて一斉に放つ予定だった。
 この一撃で、英軍と仏軍が上陸させた海兵隊主力を壊滅させようとしていた。
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