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第1章
43話
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「右近衛大将様、上様、外様の部屋住みを集めることを御許しください」
「余は全て大納言に任せる。
竹千代達のために、大納言がよしと思う事をやってくれればいい」
徳川家祥は徳川慶恕を信じきっていた。
ほとんどの家臣が、いや、父の将軍家でさえ能力を危ぶんでいた自分を信じ、徹頭徹尾次期将軍は政之助様しかいないと周囲を説得してくれたのは、徳川慶恕だけだ。
子など作れないと、多くの家臣が陰口を言うだけなのに、八方手を尽くして方策を探し出し、自分に子宝を授けてくれたのも徳川慶恕だけだ。
その徳川慶恕を信じずに誰を信じるというのだ。
徳川家祥の心にあるの、立派に成人した竹千代に将軍家を譲る時まで、何とか将軍の役目を果たす事だけだった。
「ふむ。
反対する気はない。
だが最初の方針が大きく変わった理由を申せ」
だが、将軍徳川家慶は、徳川慶恕を信じていても任せきるわけにはいかなかった。
徳川家祥が、全てを徳川慶恕に任せる事は仕方がないと思っていたが、自分は臣下に全てを任せるようは無責任な将軍にはならないと、父親を見て誓っていた。
だから理由を聞かないわけにはいかなかった。
「実際に清国に兵を派遣し戦ってみて、清国の人口の増加に驚きました。
清国では、南蛮から取り寄せたトウモロコシ、サツマイモ、落花生を育てることで、順治帝の頃には五千四百万人だった民を、今では四億を超えさせています。
されど我が国は享保から百有余年が過ぎたのに二千六百万人のままでございます。
今は優秀な武士が戦ってくれていますが、数の差はどうしようもございません。
清国内に手に入れた旗地に、新規召し抱えた外様部屋住みの子弟を入植させ、防衛戦力といたしたいのです。
代が変われば、元の主家ではなく将軍家に忠誠を誓うようになりましょう」
徳川慶恕は説明説得に努めた。
交易で蘭国から新たに取り寄せた、ジャガイモ、ヒマワリ、ライ麦、サトウダイコンを栽培する事で、徳川家の直轄領が飛躍的に増えることを説明した。
特にサトウダイコンを栽培する事の利点と、栽培するための労働力確保の必要性を説明説得した。
「それと上様、宝暦治水の事はご存じでしょうか」
ようやく将軍徳川家慶から十分な理解と許可をとった徳川慶恕は、いよいよ本丸に取り掛かることにした。
徳川家にとって最も危険なのは薩摩だった。
長州藩は、中川宇右衛門と椋梨藤太を使って村田清風、坪井九右衛門、周布政之助を失脚させ、愚鈍な毛利敬親を操らせているので心配は不用だった。
場合によれば、尾張兵を派遣して村田達を皆殺しにする覚悟もしていた。
問題は、徳川慶恕自身が藩主につかせた島津斉彬率いる薩摩藩だった。
薩摩藩からどうしても払拭できない、関ヶ原以来の敵対心が問題だった。
特に宝暦治水で幕府から受けた酷い仕打ちと三十万両を超える損害が問題だった。
徳川慶恕は、いよいよこれに手を付けることにしたのだ。
「余は全て大納言に任せる。
竹千代達のために、大納言がよしと思う事をやってくれればいい」
徳川家祥は徳川慶恕を信じきっていた。
ほとんどの家臣が、いや、父の将軍家でさえ能力を危ぶんでいた自分を信じ、徹頭徹尾次期将軍は政之助様しかいないと周囲を説得してくれたのは、徳川慶恕だけだ。
子など作れないと、多くの家臣が陰口を言うだけなのに、八方手を尽くして方策を探し出し、自分に子宝を授けてくれたのも徳川慶恕だけだ。
その徳川慶恕を信じずに誰を信じるというのだ。
徳川家祥の心にあるの、立派に成人した竹千代に将軍家を譲る時まで、何とか将軍の役目を果たす事だけだった。
「ふむ。
反対する気はない。
だが最初の方針が大きく変わった理由を申せ」
だが、将軍徳川家慶は、徳川慶恕を信じていても任せきるわけにはいかなかった。
徳川家祥が、全てを徳川慶恕に任せる事は仕方がないと思っていたが、自分は臣下に全てを任せるようは無責任な将軍にはならないと、父親を見て誓っていた。
だから理由を聞かないわけにはいかなかった。
「実際に清国に兵を派遣し戦ってみて、清国の人口の増加に驚きました。
清国では、南蛮から取り寄せたトウモロコシ、サツマイモ、落花生を育てることで、順治帝の頃には五千四百万人だった民を、今では四億を超えさせています。
されど我が国は享保から百有余年が過ぎたのに二千六百万人のままでございます。
今は優秀な武士が戦ってくれていますが、数の差はどうしようもございません。
清国内に手に入れた旗地に、新規召し抱えた外様部屋住みの子弟を入植させ、防衛戦力といたしたいのです。
代が変われば、元の主家ではなく将軍家に忠誠を誓うようになりましょう」
徳川慶恕は説明説得に努めた。
交易で蘭国から新たに取り寄せた、ジャガイモ、ヒマワリ、ライ麦、サトウダイコンを栽培する事で、徳川家の直轄領が飛躍的に増えることを説明した。
特にサトウダイコンを栽培する事の利点と、栽培するための労働力確保の必要性を説明説得した。
「それと上様、宝暦治水の事はご存じでしょうか」
ようやく将軍徳川家慶から十分な理解と許可をとった徳川慶恕は、いよいよ本丸に取り掛かることにした。
徳川家にとって最も危険なのは薩摩だった。
長州藩は、中川宇右衛門と椋梨藤太を使って村田清風、坪井九右衛門、周布政之助を失脚させ、愚鈍な毛利敬親を操らせているので心配は不用だった。
場合によれば、尾張兵を派遣して村田達を皆殺しにする覚悟もしていた。
問題は、徳川慶恕自身が藩主につかせた島津斉彬率いる薩摩藩だった。
薩摩藩からどうしても払拭できない、関ヶ原以来の敵対心が問題だった。
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徳川慶恕は、いよいよこれに手を付けることにしたのだ。
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