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第三章
51話
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「ローガン陛下、色々とお世話をかけてしまいました。
心からお礼申し上げます」
「いや、いや。
全ては愚かなミアヒスのせいで、オリビアのせいではない。
ルーク殿が怒るのももっともなことだ。
だが、そろそろルーク殿をゆるしてやってくれんかな?」
確かにあれから二年前以上経っていると聞きます。
ローガン陛下もジェイデンも、二年間一度も自分の国に戻れていません。
もちろん、各国の全権王族大使も彼らに仕える者達もです。
ルークが魔法で妨害する以前に、ルークが怖すぎて逃げる気にもならなかったようです。
私が正気を取り戻すまで、ひたすら待ち続けたそうです。
ようやく私が正気を取り戻し掛けても、恐怖で確かめられなかったそです。
私も、お世話してくれている女官達も。ルークへの恐怖で何もできません。
このままなら、何年何十年と変わらなかったでしょう。
ですが、ルークが魔法で見張っていたのです。
ルークは私が正気を取り戻し掛けているのに気が付いたのです。
そこでローガン陛下とジェイデンを、私のもとに差し向けて来ました。
ローガン陛下はともかく、ジェイデンの眼を欺く事はできませんでした。
でもジェイデンは直ぐに何かを強要する事はありませんでした。
徐々にならしてくれたのです。
私と会いたいと言うルークを止めるのは命懸けだったと思います。
殺人の禁忌を越えたルークを諫めるなんて、私にも無理なのです。
私ですら恐怖で口を利けなくなってしまいます。
それどころか粗相してしまうことでしょう。
私の制止が利かなくなった以上、誰にもルークを止めることなどできないはずなのです。
ですがジェイデンは見事にルークを止めてくれました。
私がルーク会わずに済んでいるのはジェイデンのお陰です。
もしルークが無理に会いに来ていたら、私はまた正気を失っていたでしょう。
嘔吐と粗相を繰り返していたでしょう。
そして、それは今もなのです。
未だに何も食べる事も飲む事もできないでいるのです。
「申し訳ないのですが、まだそれは無理です、ローガン陛下。
せめて何か食べられるくらいにならないと、とてもルークと会う事はできません。
ここまで正気を取り戻すのに二年もかかったのです。
ここで無理をしたら、また狂気に捕らわれてしまいます」
「それはそうだが、二年は長かったのだ。
ルークを恐れて表立った行動はとっていなが、貴族共が国を奪おうと裏で色々と動いているのだ」
「陛下。
それはルーク殿に御任せしましょう。
ルーク殿も色々と我慢して鬱憤が溜まっておられます。
鬱憤は発散しておいてもらわないと、八つ当たりが恐ろしいですから」
ゴメンナサイ。
本当に色々とゴメンナサイ!
心からお礼申し上げます」
「いや、いや。
全ては愚かなミアヒスのせいで、オリビアのせいではない。
ルーク殿が怒るのももっともなことだ。
だが、そろそろルーク殿をゆるしてやってくれんかな?」
確かにあれから二年前以上経っていると聞きます。
ローガン陛下もジェイデンも、二年間一度も自分の国に戻れていません。
もちろん、各国の全権王族大使も彼らに仕える者達もです。
ルークが魔法で妨害する以前に、ルークが怖すぎて逃げる気にもならなかったようです。
私が正気を取り戻すまで、ひたすら待ち続けたそうです。
ようやく私が正気を取り戻し掛けても、恐怖で確かめられなかったそです。
私も、お世話してくれている女官達も。ルークへの恐怖で何もできません。
このままなら、何年何十年と変わらなかったでしょう。
ですが、ルークが魔法で見張っていたのです。
ルークは私が正気を取り戻し掛けているのに気が付いたのです。
そこでローガン陛下とジェイデンを、私のもとに差し向けて来ました。
ローガン陛下はともかく、ジェイデンの眼を欺く事はできませんでした。
でもジェイデンは直ぐに何かを強要する事はありませんでした。
徐々にならしてくれたのです。
私と会いたいと言うルークを止めるのは命懸けだったと思います。
殺人の禁忌を越えたルークを諫めるなんて、私にも無理なのです。
私ですら恐怖で口を利けなくなってしまいます。
それどころか粗相してしまうことでしょう。
私の制止が利かなくなった以上、誰にもルークを止めることなどできないはずなのです。
ですがジェイデンは見事にルークを止めてくれました。
私がルーク会わずに済んでいるのはジェイデンのお陰です。
もしルークが無理に会いに来ていたら、私はまた正気を失っていたでしょう。
嘔吐と粗相を繰り返していたでしょう。
そして、それは今もなのです。
未だに何も食べる事も飲む事もできないでいるのです。
「申し訳ないのですが、まだそれは無理です、ローガン陛下。
せめて何か食べられるくらいにならないと、とてもルークと会う事はできません。
ここまで正気を取り戻すのに二年もかかったのです。
ここで無理をしたら、また狂気に捕らわれてしまいます」
「それはそうだが、二年は長かったのだ。
ルークを恐れて表立った行動はとっていなが、貴族共が国を奪おうと裏で色々と動いているのだ」
「陛下。
それはルーク殿に御任せしましょう。
ルーク殿も色々と我慢して鬱憤が溜まっておられます。
鬱憤は発散しておいてもらわないと、八つ当たりが恐ろしいですから」
ゴメンナサイ。
本当に色々とゴメンナサイ!
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