月乙女の伯爵令嬢が婚約破棄させられるそうです。

克全

文字の大きさ
28 / 29
第2章

27話

しおりを挟む
「何故なの?
 妾のどこが気に食わないと言うの?
 許せない。
 絶対に許せない!」

 ビクトリア王女は怒り哀しんでいた。
 自分が妊娠し子供を産んでいる間に、ジョージが侍女と浮気していたのだ。
 絶対に許せなかった。
 わがまま放題、好き放題に育てられたビクトリア王女には、自分を裏切った人間への耐性などなかった。

 ましてジョージは、ビクトリア王女の御陰で伯爵位を賜っているのだ。
 本来なら実家の予備として、死ぬまで飼い殺しにされるはずだったのを、ビクトリア王女が父王陛下に御願して、無理矢理伯爵位を授けてもらったのだ。
 家格を合わすために、父王陛下はヴラド大公に借りまで作っているのだ。
 父王陛下にあわす顔がなかった。

「フレディ。
 私の恨み、晴らしてくれますか?」

「御任せください。
 王女殿下を蔑ろにし、恥をかかせたジョージを殺して御覧に入れます」

 ビクトリア王女は、守護騎士のフレディ・ライトに相談した。
 ビクトリア王女は、自分の怒りと哀しみを吐き出した。
 フレディはビクトリア王女の無念を晴らすためにジョージを殺す事にした。
 ビクトリア王女の屈辱を晴らす事も大切だったが、王家の体面を守るために、密かにジョージを殺す事にした。

 フレディを含めたビクトリア王女付きの者達は、内々に国王陛下から密命を受けていたのだ。
 それは時機を見てジョージを殺す事だった。
 だから絶好の好機だった。
 愛憎入り乱れるのが男女の仲、ビクトリア王女の気持ちが変わらないうちに殺す心算だった。

 その知らせは逸早く国王陛下にも届けられた。
 国王陛下はいたく喜ばれ、王家の斥候に暗殺を命じられた。
 誰にも分からないように、毒針を使ってジョージを暗殺させた。
 可哀想だったのは、ジョージの浮気相手だった。
 全てを闇に葬るために、一緒に殺されてしまった。

 いや、侍女一人だけではすまなかった。
 ジョージと関係を持った事のある平民の女は全て殺された。
 流石に貴族令嬢は殺されなかったが、誰もが恐怖していた。
 特に身分の微妙な準貴族の令嬢が戦々恐々としていた。
 国王陛下の命令で、ジョージと浮気相手が殺されたのが、直ぐに社交界の噂になったからだ。

 だがこれは国王陛下の警告でもあった。
 ジョージとの事を一言でもしゃべれば、情け容赦なく殺すと言う警告だった。
 王女が可愛い国王陛下と言えども、ジョージの方が悪いと言うのは分かっていた。
 平民女なら簡単に殺せるが、貴族令嬢を殺すのは難しかった。

 しかし安心もしていた。
 ビクトリア王女から悪い男を引き離す事が出来たのだ。
 だがそれも、ビクトリア王女の惚れっぽさの為に台無しになっていまった。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

【短編】婚約破棄の断罪裁判を開いた王太子、証言で全て自分の首を絞める

あまぞらりゅう
恋愛
エドゥアルト王太子から「婚約破棄だ!」と断罪されるシャルロッテ侯爵令嬢。 彼は彼女の『悪行』を暴くため、証人を次々と呼び出す。 しかし、証言されるのは、全て『彼女が正しかった証拠』ばかり。 断罪裁判はいつしか、王太子自身の罪を暴く場へと変わっていき……? ※覚えやすさや分かりやすさを重視しているので、登場人物の名前は「キャラクター名+身分表記」にしています ★他サイト様にも投稿しています!

悪役令嬢ベアトリスの仁義なき恩返し~悪女の役目は終えましたのであとは好きにやらせていただきます~

糸烏 四季乃
恋愛
「ベアトリス・ガルブレイス公爵令嬢との婚約を破棄する!」 「殿下、その言葉、七年お待ちしておりました」 第二皇子の婚約者であるベアトリスは、皇子の本気の恋を邪魔する悪女として日々蔑ろにされている。しかし皇子の護衛であるナイジェルだけは、いつもベアトリスの味方をしてくれていた。 皇子との婚約が解消され自由を手に入れたベアトリスは、いつも救いの手を差し伸べてくれたナイジェルに恩返しを始める! ただ、長年悪女を演じてきたベアトリスの物事の判断基準は、一般の令嬢のそれとかなりズレている為になかなかナイジェルに恩返しを受け入れてもらえない。それでもどうしてもナイジェルに恩返しがしたい。このドッキンコドッキンコと高鳴る胸の鼓動を必死に抑え、ベアトリスは今日もナイジェルへの恩返しの為奮闘する! 規格外で少々常識外れの令嬢と、一途な騎士との溺愛ラブコメディ(!?)

婚約破棄される前に、帰らせていただきます!

パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。 普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。

見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。 そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。 そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。 ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!

ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。 なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。

処理中です...