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第一章
第6話:生き恥・ニルラル公爵家騎士団長
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眼を開けると、先代の奥方様そっくりの女性がおられた。
一瞬夢を見ているのかと思ったが、女性らしい香りにハッとさせられる。
直ぐにカチュア様だと分かったが、何も言えなかった。
自分のやってきたこと、やらなかった事を思えば、何も言えない。
ただ自然と涙が流れるだけだ。
「大丈夫ですか、直ぐにお薬を飲ませてあげますからね。
必ず助かりますから、気をしっかり持つのですよ」
カチュア様はそう言ってくださるが、私には分かっている。
もう絶対に助からないし、助けてももらえない。
カチュア様の後ろにいる、神々しいまでに光り輝く金色の聖獣を眼を見れば、何故自分が命永らえているのかが分かった。
金色の聖獣は、私に全てを話せと言っているのだ。
「カチュア様、治療は結構でございます。
それよりも、お話ししなければいけない事があります。
大切な、とても大切なお話です、どうか驚かずにお聞きください」
「何故私の名前を知っているのですか?
貴男はどこのどなたですか?
私はニルラル公爵家の者だと聞かされましたが、それは本当ですか?」
カチュア様が少し驚いた声で質問される。
カチュア様の肩にとまっているフェアリーが、殺意の籠った眼で私を見ている。
先代の奥方様が可愛がっていたフェアリーなのだろうか?
だとしたら、私の顔を覚えていても不思議ではないし、殺意を向けられるのも当然だが、このフェアリーはどこまで話したのだろう。
凄惨な所までカチュア様に話しているのだろうか?
「本当でございます、カチュア様は正真正銘の公爵令嬢でございます。
悪女ビエンナに、母親である先代の奥方様ロジーナを殺され、ご自身は大魔境に捨てられたのでございます」
嘘偽りなく、私の知る限りのことを話そう。
どうせ話し終えたら消えてしまう事は分かっている。
聖獣様の力で、魂だけが人型を取ってカチュア様と話しているのだろう。
聖獣様はよほどカチュア様を気に入られているようだ。
醜く無残な遺体をカチュア様の目に晒したくないのだろう。
同時に、私のような性根の腐り果てた人間は、苦しみ抜いて死ねばいいと思っておられるから、魔蟲に徐々に身体を喰い殺される苦痛を与えられたのだろう。
生きて犯した罪悪に応じて、苦痛を与えて殺されたのだ。
だから罪の浅い者は、早々に狂気に侵されて楽に死ぬことができた。
私と同じように罪深い連中ほど、なかなか死にきれずに苦痛に苛まれていた。
「カチュア様、お逃げください。
悪女ビエンナがカチュア様を探しております。
あの者なら、どのような手段を使ってでもカチュア様を探し出します。
探し出して、自分の利益になるように利用しようとするでしょう。
人の世は恐ろしく汚い所でございます。
どうかこのまま大魔境の奥深くに隠れられ、心静かにお暮しください」
最後はなんだか支離滅裂な事を口にしてしまったが、全てを話せてよかった。
悪女ビエンナは人間の常識や良識では測れない悪行を平気でやる。
近づかないのが一番だという事を伝えられたのなら、それでいい。
皇国が聖女を欲しているようだが、そんな事は知った事ではない。
本当に聖女が大切だったのなら、あの時助けに来てくれれば、ロジーナ様も忠義の者達も死ななくてすんだのだ。
だが、それは、俺が口にしていい事ではないな。
どうやら生き恥はさらさずにすむようだ。
今まで行った事の償いに、公の場で全てを証言させられるかと思っていたが、聖獣様のご慈悲で、これで死なせてもらえるようだ。
お別れでございます、カチュア様、どうかお幸せに。
一瞬夢を見ているのかと思ったが、女性らしい香りにハッとさせられる。
直ぐにカチュア様だと分かったが、何も言えなかった。
自分のやってきたこと、やらなかった事を思えば、何も言えない。
ただ自然と涙が流れるだけだ。
「大丈夫ですか、直ぐにお薬を飲ませてあげますからね。
必ず助かりますから、気をしっかり持つのですよ」
カチュア様はそう言ってくださるが、私には分かっている。
もう絶対に助からないし、助けてももらえない。
カチュア様の後ろにいる、神々しいまでに光り輝く金色の聖獣を眼を見れば、何故自分が命永らえているのかが分かった。
金色の聖獣は、私に全てを話せと言っているのだ。
「カチュア様、治療は結構でございます。
それよりも、お話ししなければいけない事があります。
大切な、とても大切なお話です、どうか驚かずにお聞きください」
「何故私の名前を知っているのですか?
貴男はどこのどなたですか?
私はニルラル公爵家の者だと聞かされましたが、それは本当ですか?」
カチュア様が少し驚いた声で質問される。
カチュア様の肩にとまっているフェアリーが、殺意の籠った眼で私を見ている。
先代の奥方様が可愛がっていたフェアリーなのだろうか?
だとしたら、私の顔を覚えていても不思議ではないし、殺意を向けられるのも当然だが、このフェアリーはどこまで話したのだろう。
凄惨な所までカチュア様に話しているのだろうか?
「本当でございます、カチュア様は正真正銘の公爵令嬢でございます。
悪女ビエンナに、母親である先代の奥方様ロジーナを殺され、ご自身は大魔境に捨てられたのでございます」
嘘偽りなく、私の知る限りのことを話そう。
どうせ話し終えたら消えてしまう事は分かっている。
聖獣様の力で、魂だけが人型を取ってカチュア様と話しているのだろう。
聖獣様はよほどカチュア様を気に入られているようだ。
醜く無残な遺体をカチュア様の目に晒したくないのだろう。
同時に、私のような性根の腐り果てた人間は、苦しみ抜いて死ねばいいと思っておられるから、魔蟲に徐々に身体を喰い殺される苦痛を与えられたのだろう。
生きて犯した罪悪に応じて、苦痛を与えて殺されたのだ。
だから罪の浅い者は、早々に狂気に侵されて楽に死ぬことができた。
私と同じように罪深い連中ほど、なかなか死にきれずに苦痛に苛まれていた。
「カチュア様、お逃げください。
悪女ビエンナがカチュア様を探しております。
あの者なら、どのような手段を使ってでもカチュア様を探し出します。
探し出して、自分の利益になるように利用しようとするでしょう。
人の世は恐ろしく汚い所でございます。
どうかこのまま大魔境の奥深くに隠れられ、心静かにお暮しください」
最後はなんだか支離滅裂な事を口にしてしまったが、全てを話せてよかった。
悪女ビエンナは人間の常識や良識では測れない悪行を平気でやる。
近づかないのが一番だという事を伝えられたのなら、それでいい。
皇国が聖女を欲しているようだが、そんな事は知った事ではない。
本当に聖女が大切だったのなら、あの時助けに来てくれれば、ロジーナ様も忠義の者達も死ななくてすんだのだ。
だが、それは、俺が口にしていい事ではないな。
どうやら生き恥はさらさずにすむようだ。
今まで行った事の償いに、公の場で全てを証言させられるかと思っていたが、聖獣様のご慈悲で、これで死なせてもらえるようだ。
お別れでございます、カチュア様、どうかお幸せに。
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