持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全

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第二章貴族偏

疲労困憊

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「凄いね!
 本当にまた属性竜を斃してしまったんだね!
 幸運で属性竜を斃してのではなく、実力で属性竜を斃したことが証明されたね。
 これからはどのような場所でも堂々と構えていればいい」

 興奮するレオン第四皇子が鬱陶しいです。
 役目に間に合いように、本当に無理して戦ったので、疲労困憊なのです。
 生活魔法や回復魔法を使って、身嗜みは整えましたが、精神的な疲労まで完全に回復できたわけではありません。
 できればもっと静かにして欲しいのです。

「だが、今回は素材の損耗が激しいな。
 前回の属性竜よりも強かったのか?
 それとも夜間で奇襲に失敗したのか?
 いったいどうなっているのだ?」

 なぜか私にばかり質問してきますが、私には返事をする気力がありません。
 レオン第四皇子の子守りは、ジョージ様かマルティン様の担当でしょう。
 私が視線を送って頼んだのですが、残念ながら二人とも私以上に疲労困憊です。
 元々の身体強化の差と、年齢による体力気力の低下で、お二人は私やイヴァンやダニエルよりも、属性竜との実力差が大きいのです。
 仕方ありません、私がこたえるしかないでしょう。

「殿下、もう少し令嬢に気遣いを見せないと嫌われてしまいますよ。
 役目の時間に間に合わせようと、かなり危険な狩りになったようです。
 殿下のお目を穢さないように、急ぎ身嗜みを整えましたが、ジョージもマルティンも殿下の御下問に答えられないほどです。
 ラナ嬢も本当はその場にへたり込みたいくらいなんですよ」

 ドウラさんが私達のために足をこの場に運んでくれたようです。
 まだ治療の途中で、完全に身体が回復していないのに、ありがたい事です。
 ドウラさんに諌言で、自分が愚かな行為をしていたのに気がついたのでしょう。
 レオン第四皇子が赤面しています。

「それは申し訳ない事をした。
 ドウラ城伯にも病をおしてここに来させてしまったようだな。
 今日の検分は中止するから、十分な休養をとるように」

 正直レオン第四皇子の言葉はありがたいです。
 今の体調では、自信を持ってレオン第四皇子を護るとは言い切れません。
 ですが、それでお咎めを受ける事はないのでしょうか?
 属性竜の素材を献納させられるのも嫌です。
 何とか役目をちゃんと果たしたように、誤魔化す事はできないでしょうか?

「いえ、それではこの子達が陰で何を言われるか分かりません。
 殿下に慈悲の心があるのなら、私にこの狩りの状況を説明させてください。
 今度は真正面から消耗戦となって狩った属性竜です。
 この戦いを綿密に研究することで、厄竜を迎え討つ際に役立ちます」

「おお!
 それは何より大切な事だ。
 詳しく説明してくれ!」
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