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第1章
第37話:難癖
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ガニラス王国歴二七三年八月三一日
王都・西地区・王都ダンジョン出入口
田中実視点
「今まで何をしていた、どこまで潜った、どうやって生き残った?!」
ダンジョンから地上に出ようとしたら、係の者が止めやがった。
単に止めただけでなく、尋問まがいの無礼な質問を始めやがった。
「それは、ミノル・タナカ騎士団に対する尋問ですか?
貴男は尋問をする許可を受けているのですか?
無許可の不当な尋問で賄賂を取ろうとしているのなら、団員数四〇〇〇騎のミノル・タナカ騎士団の正規騎士として抗議する」
セオドアが堂々と抗議した。
「うっ、だまれ、だまれ、だまれ、辺境の田舎騎士団風情が偉そうに!
俺様は王家に仕える直属騎士として、ダンジョンの出入りを預かる者として、役目として聞いているのだ!」
「では正式に抗議させていただきましょう。
たった独りで魔境に巨大な城を二つも築き、パラスケボプロス侯爵家の騎士団千騎を降伏臣従させた、ミノル・タナカ様の騎士団に喧嘩を売ったのです。
王家との争いになったら、貴様と実家に責任をとらせる」
「まあ、まあ、まあ、そう尖がるな。
こちらも役目でやっているだけで、多少言葉が荒くなっただけだ」
最初から脅し役と宥め役に分かれていたのだろう。
年嵩の方が宥めに来たが、セオドアはどうするのだろう?
「黙りなさい、これほど恥辱を味合わされたのは生まれて初めてです!
こちらに居られるのは、ミノル・タナカ騎士団四〇〇〇騎を束ねる団長、ルイジャイアン・パッタージ様の三女ヴィオレッタ様と四男レアテス様です。
ダンジョンの使用料に一人小金貨一枚払わせられた事も含めて、貴男方二人と実家に決闘を申し込みます。
今直ぐ実家に使者を送って決闘の準備をさせなさい!」
セオドアはそう言うと、二人の王家騎士に白手袋を叩きつけた。
その作法を真似るようにヴィオレッタとレアテスも白手袋を顔に叩きつける。
護衛役も全員白手袋を叩きつけた。
直接かかわっていなかった、他の王国騎士たちが啞然としている。
地方の田舎騎士がここまでするとは思っていなかったのか?
俺達がパラスケボプロス侯爵家騎士団を叩きのめした事を、単なる噂だけで、実際にはなかった事だと思っていたのか?
それにして、これでも王家に仕える騎士なのか?
白手袋を顔に叩きつけただけで気絶するなんて、一度も祝福された事がないのか?
それなりの騎士家に生まれたら、親に祝福上げしてもらっているよな?
「いったい何事だ?!」
下っ端の騎士とは違う、少し大きな勲章を鎧の上に付けている奴が来た。
ルイジャイアンやセオドアが教えてくれた階級では、騎士長のはずだ。
「貴男もグルですか?」
「なっ、何を言っている?」
「その慌てようはグルのようですね。
では貴男と貴男の実家にも決闘を申し込みましょう」
セオドアは、残っている白手袋を騎士長らしい男に叩きつけた。
今度は先ほどよりも力を加えたのだろう、騎士長の顎が砕けた。
「応援を呼べ、謀叛だ、王家に対する謀叛だ!」
黙って見ていた騎士の中にも少しは度胸のある奴がいるようで、喚き始めた。
全て俺たちの責任にして、ここで皆殺しにする決断をしたようだ。
「愚かにも程がありますね、ダンジョンの最深部に八日間もいた騎士を相手に、堕落した王家騎士が、千や二千の少数で勝てると思っているのですか?
這いつくばって許し乞えば死なずにすむのに、実家を巻き込んで自滅ですか?」
セオドアが固まっている他の王家騎士に視線を向けて言った。
「黙れボケ!」
「騎士隊長の腰巾着が!」
「てめえらの道ずれで殺されてたまるか!」
「死にたいなら自分だけで死ね!」
「普段から気に食わなかったんだよ!」
「親の権力と金で騎士になった糞野郎が!」
「ろくにダンジョンにも潜れない腰抜けが!」
セオドアの殺気の籠った視線に正気を取り戻したのか、これまで固まっていた他の騎士たちが一斉に剣を抜き、謀叛だと喚いた騎士を叩き殺した。
七人の騎士に総掛かりで斬りつけられて、何の抵抗もできずに死んでいった。
「俺達は関係ない、騎士隊長の命令でしかたなく黙認していただけだ」
「そうだ、全部騎士隊長がこいつらに命じてやらせていた事だ」
「俺達は関係ない、貴君らに不当な税を要求したのは他の班か隊だ」
「そうだ、少なくとも俺達は貴君らから不当な税は取っていない」
「俺達は関係ないから、決闘するならこいつらと勝手にやってくれ」
「何なら今このまま殺してしまうか?」
「そうだ、そうすればいい、こいつらの不正を証言してやるから殺してしまえ」
七人が好き勝手な事を言っている。
セオドアはどうする気なのだろう?
俺の指導役だから、最後まで今後の手本になる事をやってくれるのか?
「情けなく気絶してしまっている、とても騎士とは言えない弱者を、気絶させたまま殺すのは、騎士として恥ずべき事です。
ただ、このまま放って置いて、他国に逃げられてしまったら、決闘の為に他国まで追いかけていなかければなりません。
捕らえて行きますが、文句はありませんね!」
セオドアが、命惜しさに騎士長たちを裏切った七人を脅かす。
セオドアは目にも止まらぬ早さで剣に右手を添えている。
ヴィオレッタたちも急いで剣に手をやった。
その事に気がついた卑怯で憶病な七人が、顔面を蒼白にしている。
こういうやり方で脅すのが一番良いのだろうか?
「この者達がやった事は正式に抗議しますが、あなた達の証言と食い違いがあったら、国が責任を問わなくても、ミノル・タナカ騎士団が殺しに来ると思いなさい。
この者達を連れて行きますが、ちゃんと報告できますね?!」
「「「「「はい!」」」」」
王都・西地区・王都ダンジョン出入口
田中実視点
「今まで何をしていた、どこまで潜った、どうやって生き残った?!」
ダンジョンから地上に出ようとしたら、係の者が止めやがった。
単に止めただけでなく、尋問まがいの無礼な質問を始めやがった。
「それは、ミノル・タナカ騎士団に対する尋問ですか?
貴男は尋問をする許可を受けているのですか?
無許可の不当な尋問で賄賂を取ろうとしているのなら、団員数四〇〇〇騎のミノル・タナカ騎士団の正規騎士として抗議する」
セオドアが堂々と抗議した。
「うっ、だまれ、だまれ、だまれ、辺境の田舎騎士団風情が偉そうに!
俺様は王家に仕える直属騎士として、ダンジョンの出入りを預かる者として、役目として聞いているのだ!」
「では正式に抗議させていただきましょう。
たった独りで魔境に巨大な城を二つも築き、パラスケボプロス侯爵家の騎士団千騎を降伏臣従させた、ミノル・タナカ様の騎士団に喧嘩を売ったのです。
王家との争いになったら、貴様と実家に責任をとらせる」
「まあ、まあ、まあ、そう尖がるな。
こちらも役目でやっているだけで、多少言葉が荒くなっただけだ」
最初から脅し役と宥め役に分かれていたのだろう。
年嵩の方が宥めに来たが、セオドアはどうするのだろう?
「黙りなさい、これほど恥辱を味合わされたのは生まれて初めてです!
こちらに居られるのは、ミノル・タナカ騎士団四〇〇〇騎を束ねる団長、ルイジャイアン・パッタージ様の三女ヴィオレッタ様と四男レアテス様です。
ダンジョンの使用料に一人小金貨一枚払わせられた事も含めて、貴男方二人と実家に決闘を申し込みます。
今直ぐ実家に使者を送って決闘の準備をさせなさい!」
セオドアはそう言うと、二人の王家騎士に白手袋を叩きつけた。
その作法を真似るようにヴィオレッタとレアテスも白手袋を顔に叩きつける。
護衛役も全員白手袋を叩きつけた。
直接かかわっていなかった、他の王国騎士たちが啞然としている。
地方の田舎騎士がここまでするとは思っていなかったのか?
俺達がパラスケボプロス侯爵家騎士団を叩きのめした事を、単なる噂だけで、実際にはなかった事だと思っていたのか?
それにして、これでも王家に仕える騎士なのか?
白手袋を顔に叩きつけただけで気絶するなんて、一度も祝福された事がないのか?
それなりの騎士家に生まれたら、親に祝福上げしてもらっているよな?
「いったい何事だ?!」
下っ端の騎士とは違う、少し大きな勲章を鎧の上に付けている奴が来た。
ルイジャイアンやセオドアが教えてくれた階級では、騎士長のはずだ。
「貴男もグルですか?」
「なっ、何を言っている?」
「その慌てようはグルのようですね。
では貴男と貴男の実家にも決闘を申し込みましょう」
セオドアは、残っている白手袋を騎士長らしい男に叩きつけた。
今度は先ほどよりも力を加えたのだろう、騎士長の顎が砕けた。
「応援を呼べ、謀叛だ、王家に対する謀叛だ!」
黙って見ていた騎士の中にも少しは度胸のある奴がいるようで、喚き始めた。
全て俺たちの責任にして、ここで皆殺しにする決断をしたようだ。
「愚かにも程がありますね、ダンジョンの最深部に八日間もいた騎士を相手に、堕落した王家騎士が、千や二千の少数で勝てると思っているのですか?
這いつくばって許し乞えば死なずにすむのに、実家を巻き込んで自滅ですか?」
セオドアが固まっている他の王家騎士に視線を向けて言った。
「黙れボケ!」
「騎士隊長の腰巾着が!」
「てめえらの道ずれで殺されてたまるか!」
「死にたいなら自分だけで死ね!」
「普段から気に食わなかったんだよ!」
「親の権力と金で騎士になった糞野郎が!」
「ろくにダンジョンにも潜れない腰抜けが!」
セオドアの殺気の籠った視線に正気を取り戻したのか、これまで固まっていた他の騎士たちが一斉に剣を抜き、謀叛だと喚いた騎士を叩き殺した。
七人の騎士に総掛かりで斬りつけられて、何の抵抗もできずに死んでいった。
「俺達は関係ない、騎士隊長の命令でしかたなく黙認していただけだ」
「そうだ、全部騎士隊長がこいつらに命じてやらせていた事だ」
「俺達は関係ない、貴君らに不当な税を要求したのは他の班か隊だ」
「そうだ、少なくとも俺達は貴君らから不当な税は取っていない」
「俺達は関係ないから、決闘するならこいつらと勝手にやってくれ」
「何なら今このまま殺してしまうか?」
「そうだ、そうすればいい、こいつらの不正を証言してやるから殺してしまえ」
七人が好き勝手な事を言っている。
セオドアはどうする気なのだろう?
俺の指導役だから、最後まで今後の手本になる事をやってくれるのか?
「情けなく気絶してしまっている、とても騎士とは言えない弱者を、気絶させたまま殺すのは、騎士として恥ずべき事です。
ただ、このまま放って置いて、他国に逃げられてしまったら、決闘の為に他国まで追いかけていなかければなりません。
捕らえて行きますが、文句はありませんね!」
セオドアが、命惜しさに騎士長たちを裏切った七人を脅かす。
セオドアは目にも止まらぬ早さで剣に右手を添えている。
ヴィオレッタたちも急いで剣に手をやった。
その事に気がついた卑怯で憶病な七人が、顔面を蒼白にしている。
こういうやり方で脅すのが一番良いのだろうか?
「この者達がやった事は正式に抗議しますが、あなた達の証言と食い違いがあったら、国が責任を問わなくても、ミノル・タナカ騎士団が殺しに来ると思いなさい。
この者達を連れて行きますが、ちゃんと報告できますね?!」
「「「「「はい!」」」」」
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