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第一章
第8話:正直
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私は嘘偽りのない正直は気持ちを話しました。
元の平和な日本の事は話しませんでしたが、争いが怖い事は話しました。
復讐したい気持ちがないわけではありませんが、戦うくらいなら諦めます。
何度も話して、孤児達も証言してくれて、やっと政府の手先も納得してくれたようで、今後の話となりました。
「君が作るパンには、僅かだがケガや病気を治す力があるようだが、それも聖女の力の一種かね?」
「はい、たぶんそうだと思いますが、自分ではわかりません。
神様が気紛れに与えてくれたものなので、よくわからないのです」
政府の手先は真剣に考えていましたが、ビックリするような提案をしてきました。
「どうだろうか、多くの助手をつけるから、王宮でパンを焼かないかね。
ケガや病気を癒すパンが大量に作れるのなら、多くの人が助かる」
「ですがそれではここにいる者たちが困ってしまいます。
私は聖女ですが、見も知らない人を多く助けるために、親しい人を見殺しにする事はできません」
身勝手かもしれませんが、自分の気に入った人を見捨てるくらいなら、他の多くの人を不幸にする方を選びます。
それで聖女の力を失うことになっても、後悔はしません。
普通にパンが焼ければ、心優しいこの人達を助けることができるのですから。
「分かった、だったらここにいる全員を王宮で雇おう。
君の助手や手伝いにするから、好きに使うがいい。
その代わりと言っては何だが、レジネル王国の件は私に任せて欲しい。
難民が大量に押し寄せてきて、我が国の民と争いになっている。
無暗に民を殺したくないから、君の名を使ってあの国の中で何とかしたいのだ」
どうやらこの人はかなりの権力者のようですね。
他国への侵攻を決定できるほどの権限を持っているようです。
私を処罰するのではなく、利用するために調べていたのですね。
私のような政治も軍事も知らない人間が、天変地異で荒れている国を救うのは不可能ですから、この人に任せた方がいいでしょう。
「分かりました、私の名前はいくら使ってくださっても結構です。
それに、焼ける限りパンを作らせてもらいます。
その代わりと言っては何ですが、助けられる人は助けてあげてください」
「分かっているよ、私だって人殺しは嫌いだからね。
ただ、君のような素晴らしい人間を陥れた悪人は許しておくわけにはいかないから、それ相応の罰を与える事にするよ」
私の事を気に入ってくれたようですが、別にどうでもいい事です。
私は大好きなパンが焼けて、食べてくれた人が美味しいと言ってくれれば、それが一番幸せなのです。
元の平和な日本の事は話しませんでしたが、争いが怖い事は話しました。
復讐したい気持ちがないわけではありませんが、戦うくらいなら諦めます。
何度も話して、孤児達も証言してくれて、やっと政府の手先も納得してくれたようで、今後の話となりました。
「君が作るパンには、僅かだがケガや病気を治す力があるようだが、それも聖女の力の一種かね?」
「はい、たぶんそうだと思いますが、自分ではわかりません。
神様が気紛れに与えてくれたものなので、よくわからないのです」
政府の手先は真剣に考えていましたが、ビックリするような提案をしてきました。
「どうだろうか、多くの助手をつけるから、王宮でパンを焼かないかね。
ケガや病気を癒すパンが大量に作れるのなら、多くの人が助かる」
「ですがそれではここにいる者たちが困ってしまいます。
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身勝手かもしれませんが、自分の気に入った人を見捨てるくらいなら、他の多くの人を不幸にする方を選びます。
それで聖女の力を失うことになっても、後悔はしません。
普通にパンが焼ければ、心優しいこの人達を助けることができるのですから。
「分かった、だったらここにいる全員を王宮で雇おう。
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その代わりと言っては何だが、レジネル王国の件は私に任せて欲しい。
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ただ、君のような素晴らしい人間を陥れた悪人は許しておくわけにはいかないから、それ相応の罰を与える事にするよ」
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