義妹に誑かされた王太子に婚約破棄され聖女の地位も剥奪されました。

克全

文字の大きさ
5 / 5
第一章

第5話:神使

しおりを挟む
 吾輩は猫である、名前はミーちゃんと言う。
 どこで生まれたかといえば、性根の悪い人間が支配する地上である。
 弱肉強食の、特に人間という悪食の支配する世界で生まれたため、親兄弟はもう人間に喰われてしまった。

 吾輩は生き残るために誇り高く戦い続け、遂に敗れて喰われることになったのだが、吾輩の勇ましい戦いぶりは、神のお眼鏡にかなったようだ。
 敵に喰われる寸前に神によって救われ、その力のごく一部を分け与えられ、神使の列に加わるように命じられた。
 吾輩に否やはなく、即座にその列に加わったのだが、それは間違いだったかもしれない、とその当時は思うことがあった。

 当初は神使に選ばれた事に誇りを感じ、真摯にお仕えしていたのだが、事もあろうに、この世界で一番性悪な人間を見守るように神様から命じられてしまった。
 その時の衝撃と哀しみは、今でもまざまざと思いだせる。
 本気で神通力を返上して死のうかと思ったほどだ。
 だが、大恩ある神様を命に逆らう事もできず、嫌々とはいえ人間を見守ってると、極稀に神様と見まごうほどの魂の輝きを持った者が生まれてくる。

 その者を護り、神の列に導くのは吾輩の役目だと知った時、神となるべき者を導く尊い役目を賜ったと知って、心から誇り高く思った。
 そして今、新たな神候補、リリアを護ることになった。
 余計な事はせず、ただ護る事が御役目だが、座して待つのは好きではない。
 リリアに害意を抱き、兵を用意している以上、もはや手加減は不用だ。

 吾輩はリリアの側を離れ、王宮に潜入した。
 リリアを陥れた妹のポーラが、王太子と情を通じている現場に入り込み、神通力を乗せた爪でツボを傷つけてやった。
 これで身体が暴走して、自分では思うがままに使えなくなる。
 王太子の性器は常に血液が充満し、ポーラの性器は永劫に収取し続ける。
 王太子の性器が腐り落ちるまで、離れることができなくなったのだ。
 性器が腐り落ちるまでのひと月の間は、公式の場にはでれなくなる。

 そのままマルティナの所に行った。
 サンディランズ公爵の後妻におさまって、リリアを虐めていたマルティナ。
 こいつが諸悪の根源で、この国の王に毒を盛るほどの悪女だ。
 今も、息子ほど年の離れた第二王子のディビッドを誘惑し、寝所に引き入れて背徳の快感に浸っている。

 ディビッドを殺して王太子の地位を確固たるものにする心算なのか、それとも王太子と第二王子を手駒にしてこの国を支配するつもりなのか、どうしたいのかは分からないし、どうでもいい。
 こいつらもツボを爪でついて人前に出られなくする。
 ひと月時間が稼げれば、足手纏いの人間が幾らいても、無事に悪魔のダンジョンに辿り着けるだろう。

 それに、これほど評判が悪くなる事が露見すれば、マルティナとポーラの母娘も、エルフィンストン王家も、信望が地に落ちる。
 その時に人々が頼るのは、聖女であるリリアだ。
 彼女が神に列するほどの徳を積めるかどうかは、吾輩の支援にかかっているのだから、直ぐにリリアの元に戻らないといけない。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

オラクル
2020.09.10 オラクル

4話、お別れだと思って思っていましたとあるが、思っていましたではないですか。思っての部分が一つ多いのでは?

2020.09.10 克全

感想ありがとうございます。

直します。

解除

あなたにおすすめの小説

傷物の大聖女は盲目の皇子に見染められ祖国を捨てる~失ったことで滅びに瀕する祖国。今更求められても遅すぎです~

たらふくごん
恋愛
聖女の力に目覚めたフィアリーナ。 彼女には人に言えない過去があった。 淑女としてのデビューを祝うデビュタントの日、そこはまさに断罪の場へと様相を変えてしまう。 実父がいきなり暴露するフィアリーナの過去。 彼女いきなり不幸のどん底へと落とされる。 やがて絶望し命を自ら断つ彼女。 しかし運命の出会いにより彼女は命を取り留めた。 そして出会う盲目の皇子アレリッド。 心を通わせ二人は恋に落ちていく。

ベッドの上で婚約破棄されました

フーツラ
恋愛
 伯令嬢ニーナはベッドの上で婚約破棄を宣告された。相手は侯爵家嫡男、ハロルド。しかし、彼の瞳には涙が溜まっている。何か事情がありそうだ。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

わたしと婚約破棄? では、一族の力を使って復讐させていただきますね

ともボン
恋愛
 伯爵令嬢カスミ・リンドバーグは、第二王太子シグマとの婚約お披露目パーティーで衝撃的な告白をされる。 「カスミ・リンドバーグ! やはりお前とは結婚できない! なのでこの場において、この僕――ガルディア王国の第二王太子であるシグマ・ガルディアによって婚約を破棄する!」  理由は、カスミが東方の血を引く“蛮族女”だから。  さらにシグマは侯爵令嬢シルビアを抱き寄せ、彼女と新たに婚約すると貴族諸侯たちに宣言した。  屈辱に染まる大広間――だが、カスミの黒瞳は涙ではなく、冷ややかな光を宿していた。 「承知しました……それではただいまより伯爵令嬢カスミ・リンドバーグではなく、ガルディア王国お庭番衆の統領の娘――カスミ・クレナイとして応対させていただきます」  カスミが指を鳴らした瞬間、ホール内に潜んでいたカスミの隠密護衛衆が一斉に動き出す。  気がつけばシグマは王城地下牢の中だった。  そこに現れたのは、国王バラモンと第一王太子キース――。  二人はカスミこそ隣国との戦争で王国を勝利へ導いたクレナイ一族の姫であり、シグマの暴挙は王家にとっても許されぬ大罪だとしてシグマとの縁を切った。  それだけではなく、シグマには想像を絶する処罰が下される。  これは婚約破棄から生まれる痛快な逆転劇と新たなラブストーリー。

国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?

naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ゆるふわ設定です。 連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。

森聖女エレナ〜追放先の隣国を発展させたら元婚約者が泣きついてきたので処刑します〜

けんゆう
恋愛
緑豊かなグリンタフ帝国の森聖女だったエレナは、大自然の調和を守る大魔道機関を管理し、帝国の繁栄を地道に支える存在だった。だが、「無能」と罵られ、婚約破棄され、国から追放される。  「お前など不要だ」 と嘲笑う皇太子デュボワと森聖女助手のレイカは彼女を見下し、「いなくなっても帝国は繁栄する」 と豪語した。  しかし、大魔道機関の管理を失った帝国は、作物が枯れ、国は衰退の一途を辿る。  一方、エレナは隣国のセリスタン共和国へ流れ着き、自分の持つ「森聖力」の真価 に気づく……

黒の聖女、白の聖女に復讐したい

夜桜
恋愛
婚約破棄だ。 その言葉を口にした瞬間、婚約者は死ぬ。 黒の聖女・エイトは伯爵と婚約していた。 だが、伯爵は白の聖女として有名なエイトの妹と関係をもっていた。 だから、言ってはならない“あの言葉”を口にした瞬間、伯爵は罰を受けるのだった。 ※イラストは登場人物の『アインス』です

【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる

みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。 「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。 「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」 「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」 追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。