幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。

克全

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11話

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「そうですか、それは大変でしたね。
 ですがもう安心です。
 なんの心配もありません。
 狭いところですが、どうか寛いでください」

 私達は国境を密出国して、マクリントッンナル王国の南にあるラスドネル王国に入りましたが、宿泊する場所は厳選しました。
 私達はラスドネル王国の実情を知りません。
 私達を苦しめ殺そうとするアイラ達と繋がっている犯罪者ギルドに、私達を売り渡すような宿屋があるかもしれません。

 私達に、親切そうに同情しているように近づいて、アイラ達と通じている貴族士族がいるかもしれません。
 それは神殿関係者も同じですが、私達はもっと大きな利を最初に提示しました。
 その利は神殿関係者も無視できるものではないでしょう。
 
 それに、悪事千里を走るとはよく言ったもので、アイラ達の悪事は、ほぼ正確にラスドネル王国に伝わっていました。
 処罰されていた時のレオナルド様や私以上に、正確な情報を得ていました。
 レオナルド様と私が、ソニー侍女頭に教えてもらって初めて知った事も、ほぼ正確に伝わっていました。
 もしかしたら、ソニーが噂を流してくれた成果かもしれません。

 だから、少しでも良心のある人は、レオナルド様と私に同情してくれています。
 慈愛の心のある人は、救いの手を差し伸べてくれようとします。
 問題は、レオナルド様と私に、人の正邪の判断ができなことです。
 ソニーといえども、何の情報もなしには判断できないそうです。
 だからこそ、以前から調べていた生命神殿にかけたのです。
 でもそれが、私にはうれしい事態となりました。

 生命神殿は性と誕生を司る生命神を祭る神殿です。
 他の神殿のように、男女の性交を禁じたりはしません。
 さすがに節操のない性交は禁じていますが、夫婦や婚約者を神殿内で同室させてくれるなど、とても融通が利きます。
 だからレオナルド様と私も、同室させてくれました。
 性交後の清めの準備まで整えてくれて……

 レオナルド様と私は、生命神殿で初めての時を迎えました。
 過酷な状況の連続が、互いを興奮させていたのは事実です。
 ですが、私には恐怖がありました。
 酸に焼かれた化け物のような醜い顔です。
 正直に言えば、心の情愛はともかく、身体の性愛は不可能かもしれないと、半ばあきらめていたのです。

「容姿は月日と共に変わっていくものだよ。
 でも心の美しさは一生変わらないよ。
 私の眼には、ジェミーの心の美しさが見えるんだよ」

 そう言って、優しく、でも情熱的に、愛してくださいました。
 互いに初めてなので、最初は上手くいきませんでしたが、夜が明けるまでには愛しあう事に成功しました。
 私はこの日の事を生涯忘れません。
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