8 / 15
7話
しおりを挟む
「まあ、そういうわけなのよ。
コーンウォリス公爵閣下は女心が分からない野暮な人なの。
でも若奥様を愛しているのは間違いないわ。
貴女も自分の魔力をいじって分かったでしょ。
魔力が増えると扱えなくなって死にそうになると。
本当に死にかけたし、子供を殺しかけたでしょ。
だから嫌でも信じなさい!」
嘘です!
絶対に嘘です!
キャスバルが私を愛していたなんて、信じられません。
愛している相手に、あのような態度をとれるなんて信じられません!
それに、父上が私を騙していたなんて、信じられません。
いえ、父上だけでなく、家族全員を私を騙していたなんて、信じられるわけがないではありませんか!
それも、私を死なさないためだなんて、誰が信じるのです。
全部キャスバルとゾーイの陰謀です!
策略です!
でも、コーンウォリス公爵家に嫁いできてから、持病が安定したのは確かです。
魔力を鍛錬しだして、持病がぶりかえしたのも確かです。
私に持病があるからこそ、父上が家を傾けてまで縁談をまとめてくれたのも自覚していますし、持病があるからこそ、キャスバル様には選ばれないと思っていました。
そうです。
私は自分の悪いところから眼をそらしていたのです。
持病持ちだから、キャスバル様に愛されないのだとは自覚していても、それを認められなかったのです。
なのに、嫉妬にかられて勝手に魔力を増やし、みなの愛情を踏み躙るように死にかけてしまいました。
なにより、自分の子供を死なせかけてしまいました。
いえ、殺しかけたと言った方がいかもしれません。
でも、でもまだ信じきれません。
眼の前にいる賢女ゾーイはとても魅力的です。
貴族が好むような豊満な肉体ではありませんが、美しい顔立ちをしています。
私を騙して、意のままに操ろうとしているのかもしれません。
すでに魔法で意識を操られているのかもしれません。
でも、だからといって、彼女が真実を話していたら、私が魔力で対抗したら、イアンを残して死んでしまいます。
ああ、愛するイアン!
イアンを残して死ぬわけにはいきません!
でも、ゾーイとキャスバルに騙されるのは絶対に嫌!
「信じられません。
まだ信じる事はできません!
父上と母上を呼んでください。
父上と母上の言う事なら信じられます。
でも、キャスバル様と賢女ゾーイの言う事を鵜呑みにはできません!」
分かっています。
本当は分かっているのです。
病弱な私を、小さい頃から守り育ててくれた乳母が泣いているのです。
耐えきれずに嗚咽を漏らして泣いているのです。
キャスバル様と賢女ゾーイの言う事が真実だと、分かっているのです。
でも、それを認めたくない私がいるのです。
コーンウォリス公爵閣下は女心が分からない野暮な人なの。
でも若奥様を愛しているのは間違いないわ。
貴女も自分の魔力をいじって分かったでしょ。
魔力が増えると扱えなくなって死にそうになると。
本当に死にかけたし、子供を殺しかけたでしょ。
だから嫌でも信じなさい!」
嘘です!
絶対に嘘です!
キャスバルが私を愛していたなんて、信じられません。
愛している相手に、あのような態度をとれるなんて信じられません!
それに、父上が私を騙していたなんて、信じられません。
いえ、父上だけでなく、家族全員を私を騙していたなんて、信じられるわけがないではありませんか!
それも、私を死なさないためだなんて、誰が信じるのです。
全部キャスバルとゾーイの陰謀です!
策略です!
でも、コーンウォリス公爵家に嫁いできてから、持病が安定したのは確かです。
魔力を鍛錬しだして、持病がぶりかえしたのも確かです。
私に持病があるからこそ、父上が家を傾けてまで縁談をまとめてくれたのも自覚していますし、持病があるからこそ、キャスバル様には選ばれないと思っていました。
そうです。
私は自分の悪いところから眼をそらしていたのです。
持病持ちだから、キャスバル様に愛されないのだとは自覚していても、それを認められなかったのです。
なのに、嫉妬にかられて勝手に魔力を増やし、みなの愛情を踏み躙るように死にかけてしまいました。
なにより、自分の子供を死なせかけてしまいました。
いえ、殺しかけたと言った方がいかもしれません。
でも、でもまだ信じきれません。
眼の前にいる賢女ゾーイはとても魅力的です。
貴族が好むような豊満な肉体ではありませんが、美しい顔立ちをしています。
私を騙して、意のままに操ろうとしているのかもしれません。
すでに魔法で意識を操られているのかもしれません。
でも、だからといって、彼女が真実を話していたら、私が魔力で対抗したら、イアンを残して死んでしまいます。
ああ、愛するイアン!
イアンを残して死ぬわけにはいきません!
でも、ゾーイとキャスバルに騙されるのは絶対に嫌!
「信じられません。
まだ信じる事はできません!
父上と母上を呼んでください。
父上と母上の言う事なら信じられます。
でも、キャスバル様と賢女ゾーイの言う事を鵜呑みにはできません!」
分かっています。
本当は分かっているのです。
病弱な私を、小さい頃から守り育ててくれた乳母が泣いているのです。
耐えきれずに嗚咽を漏らして泣いているのです。
キャスバル様と賢女ゾーイの言う事が真実だと、分かっているのです。
でも、それを認めたくない私がいるのです。
52
あなたにおすすめの小説
初恋に見切りをつけたら「氷の騎士」が手ぐすね引いて待っていた~それは非常に重い愛でした~
ひとみん
恋愛
メイリフローラは初恋の相手ユアンが大好きだ。振り向いてほしくて会う度求婚するも、困った様にほほ笑まれ受け入れてもらえない。
それが十年続いた。
だから成人した事を機に勝負に出たが惨敗。そして彼女は初恋を捨てた。今までたった 一人しか見ていなかった視野を広げようと。
そう思っていたのに、巷で「氷の騎士」と言われているレイモンドと出会う。
好きな人を追いかけるだけだった令嬢が、両手いっぱいに重い愛を抱えた令息にあっという間に捕まってしまう、そんなお話です。
ツッコミどころ満載の5話完結です。
名も無き伯爵令嬢の幸運
ひとみん
恋愛
私はしがない伯爵令嬢。巷ではやりの物語のように義母と義妹に虐げられている。
この家から逃げる為に、義母の命令通り国境を守る公爵家へと乗り込んだ。王命に物申し、国外追放されることを期待して。
なのに、何故だろう・・・乗り込んだ先の公爵夫人が決めたという私に対する処罰がご褒美としか言いようがなくて・・・
名も無きモブ令嬢が幸せになる話。まじ、名前出てきません・・・・
*「転生魔女は国盗りを望む」にチラッとしか出てこない、名も無きモブ『一人目令嬢』のお話。
34話の本人視点みたいな感じです。
本編を読まなくとも、多分、大丈夫だと思いますが、本編もよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/618422773/930884405
初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。
義兄のために私ができること
しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。
しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。
入り婿である義兄はどこまで知っている?
姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。
伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜
珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」
「……え?」
幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。
うっとりと相手について語るモニカ。
でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……?
ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです
私の旦那様はつまらない男
おきょう
恋愛
私の旦那様であるロバート伯爵は、無口で無愛想な仕事バカ。
家庭を返り見ず仕事に精を出すのみのつまらない男である。
それでも私は伯爵家の妻として今日も面倒な社交の場に出なければならないのだ。
伯爵家の名を落とさないために。あぁ面倒くさい。
※他サイトで投稿したものの改稿版になります。
老伯爵へ嫁ぐことが決まりました。白い結婚ですが。
ルーシャオ
恋愛
グリフィン伯爵家令嬢アルビナは実家の困窮のせいで援助金目当ての結婚に同意させられ、ラポール伯爵へ嫁ぐこととなる。しかし祖父の戦友だったというラポール伯爵とは五十歳も歳が離れ、名目だけの『白い結婚』とはいえ初婚で後妻という微妙な立場に置かれることに。
ぎこちなく暮らす中、アルビナはフィーという女騎士と出会い、友人になったつもりだったが——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる