襲ってきた王太子と、私を売った婚約者を殴ったら、不敬罪で国外追放されました。

克全

文字の大きさ
5 / 5
第一章

第5話:暗殺

しおりを挟む
「ソロモン卿、私は王太子を殺したいと言ったら、協力してくれますか?」

 私は思い切って王太子を殺したいとソロモン卿に打ち明けました。
 ソロモン卿は可能性は低いと言われましたが、私には王太子が国王を弑逆してでも私を殺そうとすると思うのです。
 それだけでなく、恥をかかせたソロモン卿に報復するために、内戦を始めるとしか思えないのです。

「自分の命惜しさに言っているわけではないようだな」

 ソロモン卿は私の真意を理解してくれているようです。
 
「はい、戦争ほど愚かな行為はありません。
 誰もが戦争にならないように、死力を尽くして社交をしています。
 それを、愚か者の馬鹿な見栄のために台無しにはできません。
 ソロモン卿はこの国を攻め取る口実を失うと怒られるかもしれませんが、民のために我慢して協力してもらえませんか?」

 よく考えれば、ソロモン卿ほどの方が、王太子の馬鹿さを正確に把握していないはずがないので、今までの言動は王太子を暴発を予測しての布石です。
 国王弑逆という大罪を予測しながら、警告も防止もしないというのは、将来レジオン王国を統治する事を考えれば、外聞が悪いことになります。
 だから、多少は心配していたが、まさか流石に父親である国王を弑逆するとは思わなかった、という態度をとっているのだと思います。

「仕方のない奴だな、本当にこの国の民の事を思うのなら、ここは黙っているべきで、今のような目先の損害に囚われているようでは、貴女の言動で死ななくてもいい民が数多く死ぬ事になるのだぞ」

 やはり演技だったようですね、では、覚悟を決めていただきましょう。
 
「確かにソロモン卿の言う通りになるでしょうね、卿が自分の名声を拘られたら。
 ですが、ソロモン卿が悪名を背負う事を覚悟されれば、全く民に損害をださずに、レジオン王国を攻めとることができるのではありませんか?」

「確かに私が全力をだせば、簡単にレジオン王国を支配下に置くことができる。
 だが、それでは私は逆賊の汚名を後世に残さねばならなくなる。
 そんな事をしなくても、馬鹿が暴発するのを待てば、救国の英雄としてレジオン王国を支配できるのだ。
 それを何故私が汚名を着なければいけないのだ?
 ケイ嬢、貴女の自己満足のために、私が何故そんな汚名を着なければいけない?」

「王太子の暴発ではなく、私が復讐で王家を滅ぼし、ソロモン卿が私を討伐してレジオン王国を救うという事ではいけませんか?
 このストーリーならば、ソロモン卿は救国の英雄となり、民の死傷者もこちらの計算できる範囲に、ほとんど死傷者を出すことなく、レジオン王国を支配できるのではありませんか?」

「民のために、反逆者謀叛人の汚名を着て、レジオン王家を皆殺しにするから、私に魔法で支援しろ、そう言われるのかな?」

「はい、私なら恨みでレジオン王家を皆殺しにしてもおかしくはありません。
 ソロモン卿と仲たがいして領地を出て行く理由を作らないといけませんが、それくらいの話をでっちあげるのは簡単です」

「歴史に悪名を残すことになるが、その覚悟はできているのか?
 実家のライエン伯爵家にも多大な迷惑をかけることになるぞ」

「私の家の事情は御存じでしょう、構いません、やってください。
 ただ、ソロモン卿の魔法で顔を変えくれませんか?
 王太子のために死ぬのは嫌ですから、他国で静かに生きて行けるようにしてください」
しおりを挟む
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

ぽぽまも
2025.11.30 ぽぽまも

読み足りない!
続きを熱烈所望致しますm(_ _)m

2025.11.30 克全

ぽぽまもさん、感想ありがとうございます。

今書いている作品が終わったら、読み直してみます。

解除
ライダーワン

不人気だったんですか?
この作品まで、たどり着けなかったんですかね、

2025.11.16 克全

ライダーワンさん、コメントありがとうございます。

はい、不人気でした、書き出しで読んでいただけないと、どうにもならない時期でした。

解除
プロトケラ
2025.09.14 プロトケラ

 これのどこら辺が完結なの? 尻切れトンボじゃないか。

2025.09.14 克全

プロトケラさん、感想ありがとうございます。

不人気の打ち切り作品です。

解除

あなたにおすすめの小説

大公家を追放されて奈落に落とされたけど、以前よりずっと幸せだ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 大公家を追放されて奈落に落とされたけど、奈落のモンスターの方が人間よりも優しくて、今の方がずっと幸せだ。

姉の物をなんでも欲しがる妹、妹の物をなんでも取り上げる姉、それぞれの末路は

真理亜
恋愛
伯爵令嬢のサブリナには一つ下に妹が一人居る。両親に甘やかされて育った妹は、サブリナの物をなんでも欲しがる我が儘放題な娘になってしまった。一方、サブリナのクラスメートで隣の席のミシェルには、一つ上に姉が一人居る。常にミシェルに対してマウントを取りたがる姉は、ミシェル自身のこともミシェルの持ち物も支配下に置こうとする。 「あなたが妹だったら...」 「あなたが姉だったら...」  二人はお互いにそう思っていた。やがてそれぞれの妹と姉は二人の「物」だけじゃ飽き足らず「者」まで奪おうとするに至る。これにはさすがに堪忍袋の緒が切れた二人は、協力して復讐を果たそうと立ち上がるのだった。

(完)人柱にされそうになった聖女は喜んで死にました。

青空一夏
恋愛
ショートショート。早い展開で前編後編で終了。バッドエンド的な展開で暗いです。後味、悪いかも。

妹に婚約者を取られてしまい、家を追い出されました。しかしそれは幸せの始まりだったようです

hikari
恋愛
姉妹3人と弟1人の4人きょうだい。しかし、3番目の妹リサに婚約者である王太子を取られてしまう。二番目の妹アイーダだけは味方であるものの、次期公爵になる弟のヨハンがリサの味方。両親は無関心。ヨハンによってローサは追い出されてしまう。

婚約破棄と言われても、貴男の事など知りません。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 若き女当主、ルイジア公爵ローザ嬢は、王太子の婚約舞踏会だという事で、仕方なく王都にやってきていた。十三歳で初陣を飾ってから、常に王国のために最前線で戦ってきたローザは、ミルバル皇国から嫁いできた王妃に支配される下劣な社交界が大嫌いだった。公爵家当主の義務で嫌々参加していたローザだったが、王太子から戦場で兵士と閨を共にするお前などと婚約するのは嫌だと、意味不明な罵りを受けた。王家王国のために戦場で命がけの戦いをしてくれた、将兵を侮辱されたローザは、その怒りを込めた一撃を放った。

義妹に誑かされた王太子に婚約破棄され聖女の地位も剥奪されました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 苦しい聖女の務めから解放されました。

実家を没落させられ恋人も奪われたので呪っていたのですが、記憶喪失になって呪わなくなった途端、相手が自滅していきました

麻宮デコ@SS短編
恋愛
「どうぞ、あの人たちに罰を与えてください。この身はどうなっても構いません」 ラルド侯爵家のドリィに自分の婚約者フィンセントを奪われ、実家すらも没落においやられてしまった伯爵家令嬢のシャナ。 毎日のように呪っていたところ、ラルド家の馬車が起こした事故に巻き込まれて記憶を失ってしまった。 しかし恨んでいる事実を忘れてしまったため、抵抗なく相手の懐に入りこむことができてしまい、そして別に恨みを晴らそうと思っているわけでもないのに、なぜか呪っていた相手たちは勝手に自滅していってしまうことになっていった。 全6話

公爵令嬢は婚約者の王太子に横恋慕した自称聖女の妹に呪いをかけられる

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『目には目を歯には歯を、呪いには呪いを』 ベイリー公爵家の長女マリアンヌはとても幸せだった。幼馴染で王国一の美男子と評判なだけでなく、長剣を持っても王国有数の名手であるマクシミリアン王太子との結婚が正式に決まったのだ。幼い頃から婚約していたが、適齢期になっても互いに何の問題もなく、マリアンヌの十八歳の誕生日を待って挙式することになっていた。だがそれは、日頃から自分は聖女だとアピールして、マクシミリアン王太子の婚約者の座を奪おうとしていた妹のサロメに悪の決断をさせることになった。悪魔女である母親カトリーヌの血を色濃く継ぐサロメは、姉マリアンヌに最悪の呪いをかけたのだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。