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第一章
第十三話:話し合い
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梅一は一刻ほど賭場にいたのだが、他の客が誰も来なかった。
梅一は水谷屋敷の直ぐ側から来たから大丈夫だったが、大身武士や商家の御隠居や若旦那では、御用改めが行われているのに賭場に来る気にはならない。
何より水谷屋敷で賭場や売春が行われている事は秘密なのだ。
それに、今回の御用改めが水谷屋敷の悪事が露見したために行われてるのなら、行けば自分達まで捕まってしまうのだ。
「今日は他のお客さん達は来そうにありませんね。
残念ですが商用の刻限も迫っています。
私はこれで帰らせていただきます」
「せっかく来ていただいたのにすみませんでしたね」
他の客が全くいなかった事もあるのだろうが、博徒の若い衆が総出で梅一を見送り、さすがの梅一も少々面映ゆい思いをしていた。
だがそんな気持ちは、水谷屋敷を出て直ぐに吹き飛んでしまった。
「どうやら俺との約束をきちんと守ってくれたようだな。
今度は某が約束を守る番だ。
約束通り、悪人に限り殺してやる。
誰を殺せばいいのだ」
水谷屋敷を出た梅一の前に浪人者が現れたのだ。
盗みの技に自信のある梅一が全く浪人者の気配を感じ取ることができなかった。
これほどの強者に出会った事は、百戦錬磨の梅一でも四度しかいなかった。
この浪人者でようやく五人目だった。
「旦那、脅かさないで下さいよ、人が悪い」
「お前のような海千山千の盗賊がしらじらしい事を口にするな。
さっさと殺す相手を教えてもらおう」
「せっかちですね、旦那。
まあ、こちらとしては、やる事さえやってもらえればそれでいいです。
まず最初に言っておきますが、相手は確かに悪人です。
座頭の金貸しなんですが」
「おお、こら、待て、某に目の見えない者を殺せと言っているのか」
「まあ、最後まで話を聞いてくださいよ、旦那。
座頭が高利で金を貸しているのは旦那も御存じのことでしょ」
「ああ、知っている。
だが座頭金が高利のは最初から分かっている事だ。
それが嫌なら最初から金を借りなければいい」
「旦那、今日食べる物すらない人間は、明日の利息の事など考えられないのですよ。
ここで身体を売らされていり御家人の娘さん達も、親が借りた金の為に嫌々身体を売っているのじゃなりませんか」
「その座頭も、金が返せない相手の娘に身体を売らせているという事か」
「はい、その通りなんですよ、旦那。
しかも最初から娘に身体を売らせる事を前提に、親兄弟を博打や女に誘い込んで金を貸し付けるんです。
しかも身体を売らされる娘さん達には、一切報酬を渡さないです。
ここのように衣食住が保証されているわけではないんですよ」
浪人者は梅一の話を聞いて殺しても構わないだろうという気になっていた。
だが問題はその程度の相手なら、梅一でも簡単に殺せるのにと疑問に思った。
これが自分を試すための殺しなら理解できるが、それ以外に何か理由があるのなら、確かめておかなければいけないと感じていた。
梅一は水谷屋敷の直ぐ側から来たから大丈夫だったが、大身武士や商家の御隠居や若旦那では、御用改めが行われているのに賭場に来る気にはならない。
何より水谷屋敷で賭場や売春が行われている事は秘密なのだ。
それに、今回の御用改めが水谷屋敷の悪事が露見したために行われてるのなら、行けば自分達まで捕まってしまうのだ。
「今日は他のお客さん達は来そうにありませんね。
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今度は某が約束を守る番だ。
約束通り、悪人に限り殺してやる。
誰を殺せばいいのだ」
水谷屋敷を出た梅一の前に浪人者が現れたのだ。
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「せっかちですね、旦那。
まあ、こちらとしては、やる事さえやってもらえればそれでいいです。
まず最初に言っておきますが、相手は確かに悪人です。
座頭の金貸しなんですが」
「おお、こら、待て、某に目の見えない者を殺せと言っているのか」
「まあ、最後まで話を聞いてくださいよ、旦那。
座頭が高利で金を貸しているのは旦那も御存じのことでしょ」
「ああ、知っている。
だが座頭金が高利のは最初から分かっている事だ。
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「旦那、今日食べる物すらない人間は、明日の利息の事など考えられないのですよ。
ここで身体を売らされていり御家人の娘さん達も、親が借りた金の為に嫌々身体を売っているのじゃなりませんか」
「その座頭も、金が返せない相手の娘に身体を売らせているという事か」
「はい、その通りなんですよ、旦那。
しかも最初から娘に身体を売らせる事を前提に、親兄弟を博打や女に誘い込んで金を貸し付けるんです。
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