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第三章
第五十八話:転機
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大道寺長十郎は初めて梅一以外の盗賊と話しをした。
梅一が心から信頼する兄弟分なのだが、そんな事は長十郎には分からない。
盗賊の方も梅一から信用できるとは言われてはいても、信頼しきれない。
だからどうしても互いに警戒することになった。
それでも、危険を冒して会っただけの価値があった。
巳之介が聞いた徳川家基殺しの話しが、仲間を通じて梅一の元に届き、それを長十郎も知ることができたのだ。
だがまだ巳之介を盗人宿に連れて行くことはできないでいた。
橋御門と辻番所の警備がとても厳しく、身体を改めて傷を探しているのだ。
盗賊に屋敷の侵入を許したという、一橋家の体面を潰してでも捕まえようとした巳之介を、まだ諦めずに追い続けているのだ。
そのため巳之介はまだ松平越前守家上屋敷の御殿天井裏に潜んでいた。
仲間の盗賊が毎日振り売りに偽装して水と食料を届けていた。
話しはそれたが、これはとても大切な事だった。
梅一と養父が絶対に仲間を見捨てないという事が配下に知れ渡るからだ。
これは盗賊団の新たな頭目となる梅一にはとても大きな事だった。
そんな梅一が認めた人間だからこそ、幕臣の長十郎と接触してくれる配下がいる。
その配下が長十郎に最も重要な内容を伝えた。
「旦那、どうやら池原雲伯はこの状況で賭場を開くつもりのようです。
水谷屋敷に来ていた大身旗本や御大尽に声をかけています。
浪士の用心棒だけでなく、博徒や火消人足まで集めています。
今なら伝手を使って、旦那を凄腕の用心棒として池原の屋敷に送り込ますが、どうなされますか」
長十郎は直ぐに返事ができなかった。
直接池原雲伯を拷問をかけて自白させたい誘惑にかられた。
だが専門家ではない長十郎には必ず自白させられる自信がなかった、
怒りのあまり池原雲伯を打ち殺してしまう恐れすらあった。
それに、これは梅一の試しだとも分かっていた。
長十郎が門限を破って用心棒を引き受けるか試しているのだと思っていた。
「いや、素人の俺が浪士の演技をしても見破られるだけだ。
ここは専門家のお前達を信じて任す。
何としても証拠か証人を手に入れてくれ。
拷問で自白させられるのなら、それでも構わない」
「分かりやした、旦那。
一任してくださるのなら、後で苦情は言わないで下さいよ。
あっしたちは仲間を大切にしやす。
証拠証人を手にれる事よりも、仲間の安全を最優先にしやす。
ただし、時間はかかっても必ず証拠か証人を手に入れてみせます」
「分かった、任せた以上やり方に文句はつけない」
長十郎と盗賊団の話し合いは終わった。
後は話し合った通り実行するだけだ。
梅一と養父は池原雲伯の考えをほぼ正確に見破っていた。
身の安全を図るために、徳川家基殺しの告発状を複数書いて隠しはずだと見破り、それを手に入れるべく池原雲伯をつけまわしていたのだ。
梅一が心から信頼する兄弟分なのだが、そんな事は長十郎には分からない。
盗賊の方も梅一から信用できるとは言われてはいても、信頼しきれない。
だからどうしても互いに警戒することになった。
それでも、危険を冒して会っただけの価値があった。
巳之介が聞いた徳川家基殺しの話しが、仲間を通じて梅一の元に届き、それを長十郎も知ることができたのだ。
だがまだ巳之介を盗人宿に連れて行くことはできないでいた。
橋御門と辻番所の警備がとても厳しく、身体を改めて傷を探しているのだ。
盗賊に屋敷の侵入を許したという、一橋家の体面を潰してでも捕まえようとした巳之介を、まだ諦めずに追い続けているのだ。
そのため巳之介はまだ松平越前守家上屋敷の御殿天井裏に潜んでいた。
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話しはそれたが、これはとても大切な事だった。
梅一と養父が絶対に仲間を見捨てないという事が配下に知れ渡るからだ。
これは盗賊団の新たな頭目となる梅一にはとても大きな事だった。
そんな梅一が認めた人間だからこそ、幕臣の長十郎と接触してくれる配下がいる。
その配下が長十郎に最も重要な内容を伝えた。
「旦那、どうやら池原雲伯はこの状況で賭場を開くつもりのようです。
水谷屋敷に来ていた大身旗本や御大尽に声をかけています。
浪士の用心棒だけでなく、博徒や火消人足まで集めています。
今なら伝手を使って、旦那を凄腕の用心棒として池原の屋敷に送り込ますが、どうなされますか」
長十郎は直ぐに返事ができなかった。
直接池原雲伯を拷問をかけて自白させたい誘惑にかられた。
だが専門家ではない長十郎には必ず自白させられる自信がなかった、
怒りのあまり池原雲伯を打ち殺してしまう恐れすらあった。
それに、これは梅一の試しだとも分かっていた。
長十郎が門限を破って用心棒を引き受けるか試しているのだと思っていた。
「いや、素人の俺が浪士の演技をしても見破られるだけだ。
ここは専門家のお前達を信じて任す。
何としても証拠か証人を手に入れてくれ。
拷問で自白させられるのなら、それでも構わない」
「分かりやした、旦那。
一任してくださるのなら、後で苦情は言わないで下さいよ。
あっしたちは仲間を大切にしやす。
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ただし、時間はかかっても必ず証拠か証人を手に入れてみせます」
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長十郎と盗賊団の話し合いは終わった。
後は話し合った通り実行するだけだ。
梅一と養父は池原雲伯の考えをほぼ正確に見破っていた。
身の安全を図るために、徳川家基殺しの告発状を複数書いて隠しはずだと見破り、それを手に入れるべく池原雲伯をつけまわしていたのだ。
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