3 / 37
2話初日の出来事2
しおりを挟む
(龍ちゃん。
龍ちゃんがこの国を出てしまって大丈夫なの?
この国が亡んだりしない?)
(大丈夫、大丈夫。
ちょっと天災が起きたり魔獣が現れたりするけど、人間はしぶといから。
図太くて穢くて小狡いから、滅びたりはしないよ)
(全然大丈夫な気がしないんだけど?
私は大丈夫だから、この国に残ったらどう?
何か約束があるんじゃないの?
約束を破って、龍ちゃんが罰や制裁を受けたりしない?)
(そんな事にはならないよ。
元々先に約束を破ったのは、ロナンデル王家だからね。
毎日祈りを捧げ、僕に挨拶に来ると約束したのに、もう十年も来ていないからね)
(十年て、先代の王妃様が亡くなられてからよね?)
(そうだね。
あの子は傍系の王族だったから、一応王家の人間だからね)
「なにを惚けている!
さっさと出ていけ!
お前の顔など見たくない。
いや、側に近寄られるのも嫌だ。
さっさとこの国から出て行け!」
守護龍と魂を通わせていたシャロンは、裁かれた直後であるにもかかわらず、王太子も陪審員の貴族も無視していた。
何を言っても無駄だと分かっていたので、時間を過ぎるのを待っていただけだったが、それが堂々としているように見えていた。
シャロンが泣き叫び温情を乞う姿を期待していた王太子を、苛立たせていたのだ。
だがようやく王太子が満足できる光景が目の前に現れた。
近衛騎士達がシャロンを腕を拘束し、荒々しく裁きの間から連れ出したのだ。
これが王太子の嗜虐心を大いに刺激した。
それは劣情として現れ、その欲望に満ちた目が、シャロンの後姿を捕えた。
王太子が近衛騎士を呼び止め、詳細な取り調べを寝室で行おうと考えた瞬間。
「殿下。
お疲れになられたのではありませんか?
寝室でお休みになられた方がいいと思われます
私がご一緒させていただきますから、直ぐにお休みになってください」
シャロンの後姿を見て激しく劣情をもよおした王太子だったが、近寄ってきたジェスナの体臭を嗅いだとたん、劣情はジェスナに移った。
ジェスナが王太子を虜にした小道具、媚薬の香水だ。
あまりにも激しい効果と副作用で、多くの国で危険薬物として取り締まられている媚薬を、ジェスナは王太子に使っていたのだ。
明らかな犯罪行為だった。
この媚薬はロナンデル王国でも厳しく禁じられているのだ。
だがそれを取り締まる人間がいなかった。
今ロナンデル王国で一番権力を持っているのは、モドイド公爵だ。
そのモドイド公爵の娘が、王太子を籠絡するために媚薬を使っても、後難を恐れて誰も訴えたりしなかった。
それがこの国を混乱と不幸に陥れた要因の一つだった。
龍ちゃんがこの国を出てしまって大丈夫なの?
この国が亡んだりしない?)
(大丈夫、大丈夫。
ちょっと天災が起きたり魔獣が現れたりするけど、人間はしぶといから。
図太くて穢くて小狡いから、滅びたりはしないよ)
(全然大丈夫な気がしないんだけど?
私は大丈夫だから、この国に残ったらどう?
何か約束があるんじゃないの?
約束を破って、龍ちゃんが罰や制裁を受けたりしない?)
(そんな事にはならないよ。
元々先に約束を破ったのは、ロナンデル王家だからね。
毎日祈りを捧げ、僕に挨拶に来ると約束したのに、もう十年も来ていないからね)
(十年て、先代の王妃様が亡くなられてからよね?)
(そうだね。
あの子は傍系の王族だったから、一応王家の人間だからね)
「なにを惚けている!
さっさと出ていけ!
お前の顔など見たくない。
いや、側に近寄られるのも嫌だ。
さっさとこの国から出て行け!」
守護龍と魂を通わせていたシャロンは、裁かれた直後であるにもかかわらず、王太子も陪審員の貴族も無視していた。
何を言っても無駄だと分かっていたので、時間を過ぎるのを待っていただけだったが、それが堂々としているように見えていた。
シャロンが泣き叫び温情を乞う姿を期待していた王太子を、苛立たせていたのだ。
だがようやく王太子が満足できる光景が目の前に現れた。
近衛騎士達がシャロンを腕を拘束し、荒々しく裁きの間から連れ出したのだ。
これが王太子の嗜虐心を大いに刺激した。
それは劣情として現れ、その欲望に満ちた目が、シャロンの後姿を捕えた。
王太子が近衛騎士を呼び止め、詳細な取り調べを寝室で行おうと考えた瞬間。
「殿下。
お疲れになられたのではありませんか?
寝室でお休みになられた方がいいと思われます
私がご一緒させていただきますから、直ぐにお休みになってください」
シャロンの後姿を見て激しく劣情をもよおした王太子だったが、近寄ってきたジェスナの体臭を嗅いだとたん、劣情はジェスナに移った。
ジェスナが王太子を虜にした小道具、媚薬の香水だ。
あまりにも激しい効果と副作用で、多くの国で危険薬物として取り締まられている媚薬を、ジェスナは王太子に使っていたのだ。
明らかな犯罪行為だった。
この媚薬はロナンデル王国でも厳しく禁じられているのだ。
だがそれを取り締まる人間がいなかった。
今ロナンデル王国で一番権力を持っているのは、モドイド公爵だ。
そのモドイド公爵の娘が、王太子を籠絡するために媚薬を使っても、後難を恐れて誰も訴えたりしなかった。
それがこの国を混乱と不幸に陥れた要因の一つだった。
145
あなたにおすすめの小説
愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。
【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】
聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。
「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」
甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!?
追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました
青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。
しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。
「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」
そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。
実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。
落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。
一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。
※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております
無能扱いされ、パーティーを追放されたOL、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
恋愛
かつて王都で働いていたOL・ミナ。
冒険者パーティーの後方支援として、管理と戦略を担当していた彼女は、仲間たちから「役立たず」「無能」と罵られ、あっけなく追放されてしまう。
居場所を失ったミナが辿り着いたのは、辺境の小さな村・フェルネ。
「もう、働かない」と決めた彼女は、静かな村で“何もしない暮らし”を始める。
けれど、彼女がほんの気まぐれに整理した倉庫が村の流通を変え、
適当に育てたハーブが市場で大人気になり、
「無能」だったはずのスキルが、いつの間にか村を豊かにしていく。
そんなある日、かつての仲間が訪ねてくる。
「戻ってきてくれ」――今さら何を言われても、もう遅い。
ミナは笑顔で答える。
「私はもう、ここで幸せなんです」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる