異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。

克全

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第13話9日目の出来事

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(龍ちゃんありがとう。
 これでみんな安心して暮らせるね)

(シャロンのためだからね。
 他の人間のためには、絶対にこんなことしないからね)

(分かっているわ。
 ありがとう、龍ちゃん)

 神龍はとても困っていた。
 シャロンの願いがとても激しいのだ。
 心優しいシャロンならこうなる事は予測できたのに、予測していなかった。
 シャロンと一緒に旅することができる事があまりにうれしくて、当然予測できたことが、頭から抜け落ちてしまっていた。

 願いをかなえること自体は、別に難しい事ではなかった。
 荒廃した村を再生し、生き残っているわずかな民を助ける。
 神龍鱗兵を創り出せば、百年は稼働しているから、何の手間もない。
 鱗も奇麗好きの性格のお陰で、魔法袋に山ほどある。
 百体や千体、いや、数万体創り出しても、減ったことが分からないほどだ。

 だがこれでは神罰にならない。
 神龍が国を見捨てる事で、この国は滅ぶのが普通だ。
 それが数々の神龍伝説になっている。
 もう誰も信じていない神話の話だが、神龍に見捨てられた国は、滅び荒廃するのがお定まりの結末なのだ。
 だが、シャロンが行くところ行くところで神龍鱗兵に護られる村が創り出される。

 だが神龍の迷いなど一瞬で吹き飛んで消え去った。
 シャロンに「ありがとう、龍ちゃん」と言われ、にっこりと微笑を向けられた時に全身を駆け巡る喜びに比べれば、伝説や評判などどうでもよくなった。
 優しく、心を込めて身体を撫ぜ擦ってもらえる喜びに比べれば、伝説など糞くらえだと本気で思う。

(龍ちゃん、食べ物大丈夫かな?
 次の村も食べる物に困っていないかな?
 お腹が減ると辛く苦しく寂しい気持ちになるよね。
 お腹一杯食べさせてあげたいな)

 シャロンにそんな事を言われたら、憂いの表情を浮かべられたら、じっとなどしていられなくなるのが今の神龍だ。
 急いで元の身体に戻り、空を電光石火の勢いでかけて海まで行き、海の大型獣を狩りつくしかねない勢いで獲る。
 ついでに殺され狩られた中型小型の海獣や魚はいい迷惑だ。

 だが一度神龍が本気で狩りをすれば、当分食料の心配はいらない。
 人間が狩れる程度の大型海獣を一頭狩れば、七浦潤うというのが人間界の常識。
 早い話が、大型海獣一頭で七つの漁村が豊かに暮らしていけるという諺だ。
 それが神龍の感覚で大型海獣と呼ばれる獲物を狩れば、百程度の村が一年は暮らしていける食料となる。
 それが数百といるとなれば、この国全てを養えるくらいだった。
 シャロンのおねだりが、一国を支えるほどの食料となるのだから恐ろしい。
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