王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?

克全

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62話

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 私達はゴードン公爵家の王都屋敷で、ゆっくりさせてもらいました。
 とは言っても、ここには兄上の妻妾も子供達もいます。
 あまり大きな顔もできませんし、する気もありません。
 彼女達にとっては、私は邪魔な小姑でしかないのです。
 兄上に権力が集中すれば、彼女達の力も強くなります。
 嫌われてしまうと、将来色々めんどくさいことになります。

 だから、兄上に頼んで離れを貸していただきました。
 兄上の妻妾や甥姪達とは、極力接触しないようにしたのです。
 それが一番互いのためだと、彼女達も分かっているようです。
 最初に私達が挨拶に行って以降、全く行き来がありません。
 最低限の社交辞令を使用人を通して行うだけです。

「ミルド子爵閣下、ご指導願います」

「よし、かかってこい」

 ただ全く何もしないというわけにはいきません。
 それどころか、色々しなければいけない事があります。
 その一つが、オウエンによるゴードン公爵家王都軍の鍛錬です。
 王国近衛騎士団と王国第一騎士団に絶大な影響力を持つゴードン公爵家ですが、王都における独自の戦力も疎かにしてはいません。

 ゴードン公爵家王都軍は、王国近衛騎士団や王国第一騎士団を凌ぐ精鋭として、国内外に知られています。
 なんといっても、双剣の名手で大将軍を務める父上に直臣団です。
 父上が非常時のために、近衛騎士団長を務める双剣の名手で六竜騎士だとか聖騎士だとか称さる兄上と共に鍛え上げた精鋭です。
 王家の直臣と違って有名になる事はないですが、実力的には六竜騎士に匹敵する騎士がゴロゴロいると、陰で噂されているほどなのです。

 そんな武を貴ぶ彼らだからこそ、オウエンには興味があるのです。
 オウエンが私の守護騎士を務めていた頃は、この屋敷の同僚ではありましたが、私を護る事を最優先にしていたオウエンは、ゴードン公爵家王都軍と一緒に鍛錬する時は、極力を手の内を隠していたそうです。

 今もその気持ちに変わりはないそうですが、円熟味が出てきたオウエンには、多少の余裕が生まれたそうです。
 ピリピリと張りつめてばかりではなく、ゆったりと構えて、ゴードン公爵家王都軍の若手を指導るすることができるようになったそうです。

 まあ、ゴードン公爵家王都軍へに指導は、兄上からの依頼でもあります。
 依頼という事は、命令だという事です。
 やらないわけにはいきません。
 どうせやるのなら、真剣に行わなければいけません。
 同時に、私やオウエンにも利がでるようにしなければいけません。
 アレクサンダーとスライダイとお腹の子供のために、貴族らしく図太くならなければならないのです。
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