王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?

克全

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69話

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「ここは和解しよう。
 完全に敵対するのは危険すぎる。
 最終的な調合だけは、ノドン子爵とミルド子爵が認めた人間だけにやらせて、素材はアーレンに持ち込ませればいい。
 それで薬効が落ちようと、それはアーレンの責任だ。
 ノドン子爵は今まで以上の薬が作れるように研究に重点を置いてくれ。
 国内で販売する薬は、国内で集めた素材を使ってくれ」

 兄のいう事も理解できます。
 アーレンと敵対して、ノドンダンジョンでの探査を邪魔されたくはないです。
 ノドンダンジョンで使われる薬が急増しているので、アーレンに売る渡す分の素材まで集めている時間がありません。
 ノドン子爵とミルド子爵に仕える者から、信用信頼できる者を集めて、薬の調合を教えることができれば、莫大な薬を作る事が可能です。

 今までは、信用できる家臣がいなかったですが、今は違います。
 ゴードン公爵家と関係が改善されてからは、ゴードン公爵家出身の家臣に大切な仕事を任せるつもりでしたが、それは兄レイズに止められました。
 アーレンの手紙が届いたことがよほどショックだったのでしょう。

 ですが人材がいないわけではありません。
 自由戦士ギルドの本部がノドン子爵領の荒地に出来たことで、引退した自由戦士が次々と安住の地として荒地にやってきました。
 普通は危険で結婚できない自由戦士ですが、安住の地と安定した稼ぎ場となるノドンダンジョンを得たことで、家庭を築くことができるようになっています。
 自由戦士の妻や家族になら、薬作りの秘術の一部を公開しても安全です。

 それに素材ごとに集める役割を分業させることで、早期に秘密が漏洩する事を防ぐことができます。
 もっとも、すでに大半の秘密はアーレンに知られてしまっています。
 最終的な調合方法の漏洩さえ防ぐことができれば、薬の独占生産販売をもう少し続けることができます。
 
 大切なのは、今の薬以上の効果を発揮する新薬の開発です。
 素材の厳選の仕方や採集方法を新たに考え、素材の数を増やす事や調合の手順を増やす事で、段違いの新薬を生みだしたい。
 まったく今までとは違う成分の抽出方法を考え出せれば、調合方法は今まで通りでも段違いの薬効の新薬を開発する事も可能です。

 ノドン子爵の家業を製薬として、子孫に伝える事も可能です。
 ミルド子爵の家業を武術とする事も可能です。
 領主として領地経営が大切ですし、領地経営が貴族の本分です。
 でもそれだけでは、領民に負担をかけてしまう可能性があります。
 領民の税に頼らない、独自の収入方法が大切です。
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