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第一章
第22話:畏怖か恐怖か
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「オセール伯爵閣下、ダンジョンは一つ一つ全く違う物なのですか?
それとも、迷宮式とフィールド式の二種しかないのですか?」
俺は今回のダンジョンアタックで疑問に思った事を確認してみた。
「私は余りダンジョンに入った事がないので、ギルドマスターに聞いただけですが、それでもいいですか?」
「それで結構です」
「経験豊富なポルトス殿に聞いた方が良いのではありませんか?」
「ポルトスは口下手なので」
「そうでした、あれでは会話が成立しませんね。
分かりました、分かる範囲でお話ししましょう」
「お願いします」
「ダンジョンは、ショウ殿が思われた通り、迷宮式とフィールド式に大別されます。
ですが、中には複合型があります」
「階層によって迷宮やフィールドが現れるのですか?」
「そうですが、中には同じ階層に迷宮とフィールドがある場合があります。
意地の悪い迷宮だと、フィールドの下に複数の迷宮があり、一つを除くと行き止まり何てダンジョンもあります」
「嫌な迷宮ですね」
「はい、限られた補給で下に降りた冒険者が、餓死する事もあります」
「アイテムボックスのスキルや魔法袋が希少だと、そうなってしまいますね」
「はい、それと、迷宮の通路もダンジョンによって幅が違います」
「幅が違う?
幅一メートルの迷宮や幅十メートルの迷宮があるのですか?
「はい、一つの階層で道幅が狭くなったり広くなったりしているダンジョンもあるそうで、一対一戦えると思っていたのに、囲まれる迷宮もあるそうです」
「それではパーティー編成や装備選びに困りますね」
「はい、そう聞いています」
「ミャアアアアオン」
「お待ちください、また猛獣が現れたようです」
「強敵ですか?」
「いえ、灰魔鬣犬のようですから、大したことはありません」
「それは、ショウ殿だから大した事がないと言えるのです。
普通の冒険者だと先ず勝てない魔獣なのですよ」
「え、銅上級ですよね?
最低限の実力がある冒険者なら狩れますよね?」
「最低限なのは、銅初級の冒険者です。
銅上級となれば、ほぼ一人前の冒険者です」
「はぁはぁ~
銅級の三段階にも大きな違いがあるのですね」
「うぁあ~!
灰魔鬣犬だ!」
俺達の前を盾代わりに歩かせていた犯罪者奴隷が騒ぎ出した。
「喰われちまうぞぉ!」
「逃げろ!」
木槍や青銅槍を持たせているのに、憶病な事だ。
「俺の行く手を阻むモノを皆殺しにしろ、ウィンド・コンプレッション・ランス」
「「「「「ギャン!」」」」」
「え、あ、あれ」
「なんだ、なんだ、なんだ?!」
「なんなんだ、なんで死んでいるんだ?!」
「いいかげん慣れなさい!」
「ショウ様が斃されたに決まっているでしょう!」
犯罪者奴隷の後ろを歩いている女子供が叱っている。
「流された貴重な血も無駄にするな、パントリー」
「……信じられない魔力量と魔術ですね」
俺の魔力量と魔術にオセール伯爵が驚いている。
もう何度も目の前で見せているのだから、いいかげん慣れて欲しい。
俺が実力を見せつけているのは、犯罪者奴隷達を畏怖させるためなのに。
「そうなのですね、俺の故郷では少ない魔力量だったのですが」
毎度同じやり取りをするのは飽きた。
だが、ポルトスを見ていると、面倒でも言葉を減らすわけにはいかない。
「ショウさんの故郷を敵に回す訳にはいきませんね。
できる事なら縁を結びたいものです」
「閉鎖的な村ですからねぇ~
俺の前に村を出たのは三百年前だと聞いています」
俺の後で地球からこの世界に来る者はいないだろう。
いたとしても、地獄で数万年も鍛えてから来たりはしないだろう。
もう誰も来ないと言っておくのが無難だ。
「話は変わってしまいますが、灰魔鬣犬は二万セントでしたよね?」
話題を変えておこう。
ダンジョンの話しよりも、獲物の話の方が気になる。
ネットスーパーの買取価格が二万セント、二百万円だった。
この世界の相場を確認しておきたい。
特に領地を移動すると変動するかを確認しておきたい。
「私がエノー伯爵家で受け取った買取価格表や販売価格表によると、二万セントでしたが、関所で売るか、領都に戻った時に売るしかありませんよ」
領内で狩られた獲物は、貴族の大切な権利であり収入源でもある。
領地は貴族のもだから、領地内で勝手に狩りをすれば死刑だ。
許可を受けた冒険者は、決まった方法で税を払わなければいけない。
「俺はアイテムボックス持ちだから、その気になれば隠匿できますね」
「やるなら一人の時にしてください。
今回は多くの犯罪者奴隷や女子供が見ています。
どこから密猟がもれるかもしれないのです!」
「分かっています、言ってみただけです。
それにしても、ダンジョンと周囲に住む猛獣や魔獣には、関連があるのですか?
ネウストリア辺境伯領とエノー伯爵領では随分と違いますね」
「そうですね、関連があるのかもしれませんが、よく分かっていません。
ダンジョンが近隣に住む魔獣や猛獣を真似ているのか、単なる偶然なのか。
真似ていると言う考えが主流ですが、真相は誰にも分かりません」
「ミャアアアアオン」
「また魔獣がでたようですね」
「今度は何ですか?」
「灰魔獅子ですね」
「……エノーを出てからずっと襲われ続けているのですが、おかしくないですか?
この街道は何度も往復していますが、こうも群れを作る猛獣や魔獣にばかり襲われるなんて、初めてですよ」
オセール伯爵は勘が良いな。
犯罪者奴隷達を畏怖で縛るために、サクラに魔獣の群れを集めてもらっている。
それも、よく見えるように、街道の前や後ろから現れるように。
今度は側面から不意に出て来させようか?
それにしても、サクラは恐ろしく強い。
俺を乗せたまま、遠距離の敵を見つけて的確に魔法で攻撃できる。
遠距離魔術を放って殺さずに誘導できるなんて、有能すぎるだろう。
「ぎゃあああああ、灰魔獅子だ、灰魔獅子が出やがった!」
「喰われる、今度こそ喰われる!」
「たすけてくれぇ!」
「神様、お助けください」
「俺の行く手を阻むモノを皆殺しにしろ、ウィンド・コンプレッション・ランス」
俺はオセール伯爵から疑いの目を向けられながら、狩りを続けた。
森や魔境に住む生きた魔獣も、何かドロップするかも確認していた。
急ぎ足で丸一日歩くと、陽が暮れるギリギリの時間に関所についた。
ナミュール侯爵などの敵対貴族を警戒するための砦でもある。
こういう砦が例外的な人領域の一つだそうだ。
普通なら村を維持できないような場所に、余裕のあるダンジョン都市が兵力、食糧、武器を支援する事で存在させている。
敵対貴族から領地を護る兵力は、猛獣や魔獣から人々を守る力にもなる。
関所で得られる通行料や入砦料は、軍備の整備に使われる。
兵力が増え軍備がよくなると、関所砦を拠点にする冒険者が集まってくる。
冒険者が集まると、関所で物納される獲物が多くなる。
肉が増えれば砦で養える人数が増え、素材が増えれば商品になる。
商品が増えれば、商人が集まってくる。
この世界の商人はとても危険で、戦えなければやっていけない。
戦えるにしても、危険は少しでも減らしたいのが人情だ。
領都から領都を移動するよりは、領都から関所までの方が危険が少ない。
まあ、仕入れに行きたい領都間の距離にもよる。
関所を維持できるほどの領地なのかどうかもある。
ただ、少なくともエノー伯爵領の関所砦は商人で賑わっていた。
「オセール伯爵閣下、申し訳ないのですが、犯罪者奴隷達は砦に入れられません」
「ああ、分かっているよ。
幾ら賑わっているとはいっても、領境の関所砦に三百もの人間を宿泊させる施設がない事くらい分かっている」
「商人や流れの冒険者を追い出せばどうにかできるのですが、それでは関所砦を維持する金と素材を失ってしまう事になります。
どうかお許しください」
「だいじょうぶ、大丈夫。
途中で襲ってきた、どこぞの侯爵の手先だから、喰い殺されても気にしない」
「護衛の冒険者だけでしたら、雑魚寝でよければ何とかなりますが?」
「彼らなら大丈夫。
家とエノー伯爵家のダンジョンで、白金級階層まで潜れる冒険者が指揮しているから、砦の外でも熟睡できるから」
「え、嘘でしょう?
白金級なんて、この国にいなかったですよね?!」
「それがだ、最近我が領で生まれたのだよ、白金級が。
昨日ダンジョンアタックを成功させて、エノー女伯爵にも認められた。
これで少しはここも安心できるぞ」
「ウォオオオオ、やったぁ~
これであの子にプロポーズできるぞ!」
関所都市での射程距離から少し離れた場所で、オセール伯爵と門番の会話を耳に入れながら、俺は野営の準備をしていた。
野営とは言っても、大した準備ができる訳ではない。
特に予定外の犯罪者奴隷は、着の身着のままだ。
少しでも夜の寒さに耐えられるように、枯れ枝を集めて火をおこすくらいだ。
「みゃあああ」
今日のサクラはドライフードが食べたいようだ。
サクラの身体によくて、美味しく食べてくれたら一番助かるのが、俗に言うカリカリ、ドライフードだ。
十日ほどダンジョンに潜り続けた時に、サクラが欲しがりそうな物は手当たり次第買ってある。
牛乳パック入りチキン味400g12個=5545円
牛乳パック入りまぐろ節味400g12個=5747円
牛乳パック入りかつお節味400g12個=5890円
念のために買っておいた他メーカーのカリカリも出してあげる。
ネットにはカリカリについて色々な評判やランキングが乗っていた。
それこそ獣医さんなどの識者の書いたランキングもあった。
外資系企業や愛猫家の作った商品を推奨していた。
だが俺は、信頼できる知人が勤めていて、猫だけでなく人間も試食していると言う、信頼と実績の超優良日本企業の商品を選ぶ事にしている。
贅沢素材バラエティまぐろ・かつお・白身魚味1・1㎏8袋=9498円
贅沢素材バラエティ毛玉ケア1・1㎏8袋=9498円
贅沢素材バラエティ吐き戻し軽減フードまぐろ・かつお・白身魚味1㎏8袋=9498円
贅沢うまみ仕立て食事の吐き戻し軽減フードお魚づくし800g8袋=7216円
贅沢うまみ仕立てお魚・お肉・野菜入り1・5㎏6袋=7198円
白身魚1・5kg6袋=7198円
ありがたい事に、封を開けてもパントリーに保管すると時間が流れない。
サクラが食べ残した物も、鮮度を保って再保管できる。
ただ、使い残しは兎も角、食べ残しをまた出すのは何か嫌だった。
そこで俺とサクラは、食べ残しを撒餌にしていた。
遠隔魔術で狩りたい猛獣や魔獣を追い立てるのも良いが、それでは魔力を使う。
魔力はどれだけ使っても全く使って気がしないが、何時何が有るか分からない。
その時のために、食べ残しが徐々に増えている。
「ショウ様、おねがいがあるの」
女子供の中でも最年少の女の子が話しかけてきた。
それとも、迷宮式とフィールド式の二種しかないのですか?」
俺は今回のダンジョンアタックで疑問に思った事を確認してみた。
「私は余りダンジョンに入った事がないので、ギルドマスターに聞いただけですが、それでもいいですか?」
「それで結構です」
「経験豊富なポルトス殿に聞いた方が良いのではありませんか?」
「ポルトスは口下手なので」
「そうでした、あれでは会話が成立しませんね。
分かりました、分かる範囲でお話ししましょう」
「お願いします」
「ダンジョンは、ショウ殿が思われた通り、迷宮式とフィールド式に大別されます。
ですが、中には複合型があります」
「階層によって迷宮やフィールドが現れるのですか?」
「そうですが、中には同じ階層に迷宮とフィールドがある場合があります。
意地の悪い迷宮だと、フィールドの下に複数の迷宮があり、一つを除くと行き止まり何てダンジョンもあります」
「嫌な迷宮ですね」
「はい、限られた補給で下に降りた冒険者が、餓死する事もあります」
「アイテムボックスのスキルや魔法袋が希少だと、そうなってしまいますね」
「はい、それと、迷宮の通路もダンジョンによって幅が違います」
「幅が違う?
幅一メートルの迷宮や幅十メートルの迷宮があるのですか?
「はい、一つの階層で道幅が狭くなったり広くなったりしているダンジョンもあるそうで、一対一戦えると思っていたのに、囲まれる迷宮もあるそうです」
「それではパーティー編成や装備選びに困りますね」
「はい、そう聞いています」
「ミャアアアアオン」
「お待ちください、また猛獣が現れたようです」
「強敵ですか?」
「いえ、灰魔鬣犬のようですから、大したことはありません」
「それは、ショウ殿だから大した事がないと言えるのです。
普通の冒険者だと先ず勝てない魔獣なのですよ」
「え、銅上級ですよね?
最低限の実力がある冒険者なら狩れますよね?」
「最低限なのは、銅初級の冒険者です。
銅上級となれば、ほぼ一人前の冒険者です」
「はぁはぁ~
銅級の三段階にも大きな違いがあるのですね」
「うぁあ~!
灰魔鬣犬だ!」
俺達の前を盾代わりに歩かせていた犯罪者奴隷が騒ぎ出した。
「喰われちまうぞぉ!」
「逃げろ!」
木槍や青銅槍を持たせているのに、憶病な事だ。
「俺の行く手を阻むモノを皆殺しにしろ、ウィンド・コンプレッション・ランス」
「「「「「ギャン!」」」」」
「え、あ、あれ」
「なんだ、なんだ、なんだ?!」
「なんなんだ、なんで死んでいるんだ?!」
「いいかげん慣れなさい!」
「ショウ様が斃されたに決まっているでしょう!」
犯罪者奴隷の後ろを歩いている女子供が叱っている。
「流された貴重な血も無駄にするな、パントリー」
「……信じられない魔力量と魔術ですね」
俺の魔力量と魔術にオセール伯爵が驚いている。
もう何度も目の前で見せているのだから、いいかげん慣れて欲しい。
俺が実力を見せつけているのは、犯罪者奴隷達を畏怖させるためなのに。
「そうなのですね、俺の故郷では少ない魔力量だったのですが」
毎度同じやり取りをするのは飽きた。
だが、ポルトスを見ていると、面倒でも言葉を減らすわけにはいかない。
「ショウさんの故郷を敵に回す訳にはいきませんね。
できる事なら縁を結びたいものです」
「閉鎖的な村ですからねぇ~
俺の前に村を出たのは三百年前だと聞いています」
俺の後で地球からこの世界に来る者はいないだろう。
いたとしても、地獄で数万年も鍛えてから来たりはしないだろう。
もう誰も来ないと言っておくのが無難だ。
「話は変わってしまいますが、灰魔鬣犬は二万セントでしたよね?」
話題を変えておこう。
ダンジョンの話しよりも、獲物の話の方が気になる。
ネットスーパーの買取価格が二万セント、二百万円だった。
この世界の相場を確認しておきたい。
特に領地を移動すると変動するかを確認しておきたい。
「私がエノー伯爵家で受け取った買取価格表や販売価格表によると、二万セントでしたが、関所で売るか、領都に戻った時に売るしかありませんよ」
領内で狩られた獲物は、貴族の大切な権利であり収入源でもある。
領地は貴族のもだから、領地内で勝手に狩りをすれば死刑だ。
許可を受けた冒険者は、決まった方法で税を払わなければいけない。
「俺はアイテムボックス持ちだから、その気になれば隠匿できますね」
「やるなら一人の時にしてください。
今回は多くの犯罪者奴隷や女子供が見ています。
どこから密猟がもれるかもしれないのです!」
「分かっています、言ってみただけです。
それにしても、ダンジョンと周囲に住む猛獣や魔獣には、関連があるのですか?
ネウストリア辺境伯領とエノー伯爵領では随分と違いますね」
「そうですね、関連があるのかもしれませんが、よく分かっていません。
ダンジョンが近隣に住む魔獣や猛獣を真似ているのか、単なる偶然なのか。
真似ていると言う考えが主流ですが、真相は誰にも分かりません」
「ミャアアアアオン」
「また魔獣がでたようですね」
「今度は何ですか?」
「灰魔獅子ですね」
「……エノーを出てからずっと襲われ続けているのですが、おかしくないですか?
この街道は何度も往復していますが、こうも群れを作る猛獣や魔獣にばかり襲われるなんて、初めてですよ」
オセール伯爵は勘が良いな。
犯罪者奴隷達を畏怖で縛るために、サクラに魔獣の群れを集めてもらっている。
それも、よく見えるように、街道の前や後ろから現れるように。
今度は側面から不意に出て来させようか?
それにしても、サクラは恐ろしく強い。
俺を乗せたまま、遠距離の敵を見つけて的確に魔法で攻撃できる。
遠距離魔術を放って殺さずに誘導できるなんて、有能すぎるだろう。
「ぎゃあああああ、灰魔獅子だ、灰魔獅子が出やがった!」
「喰われる、今度こそ喰われる!」
「たすけてくれぇ!」
「神様、お助けください」
「俺の行く手を阻むモノを皆殺しにしろ、ウィンド・コンプレッション・ランス」
俺はオセール伯爵から疑いの目を向けられながら、狩りを続けた。
森や魔境に住む生きた魔獣も、何かドロップするかも確認していた。
急ぎ足で丸一日歩くと、陽が暮れるギリギリの時間に関所についた。
ナミュール侯爵などの敵対貴族を警戒するための砦でもある。
こういう砦が例外的な人領域の一つだそうだ。
普通なら村を維持できないような場所に、余裕のあるダンジョン都市が兵力、食糧、武器を支援する事で存在させている。
敵対貴族から領地を護る兵力は、猛獣や魔獣から人々を守る力にもなる。
関所で得られる通行料や入砦料は、軍備の整備に使われる。
兵力が増え軍備がよくなると、関所砦を拠点にする冒険者が集まってくる。
冒険者が集まると、関所で物納される獲物が多くなる。
肉が増えれば砦で養える人数が増え、素材が増えれば商品になる。
商品が増えれば、商人が集まってくる。
この世界の商人はとても危険で、戦えなければやっていけない。
戦えるにしても、危険は少しでも減らしたいのが人情だ。
領都から領都を移動するよりは、領都から関所までの方が危険が少ない。
まあ、仕入れに行きたい領都間の距離にもよる。
関所を維持できるほどの領地なのかどうかもある。
ただ、少なくともエノー伯爵領の関所砦は商人で賑わっていた。
「オセール伯爵閣下、申し訳ないのですが、犯罪者奴隷達は砦に入れられません」
「ああ、分かっているよ。
幾ら賑わっているとはいっても、領境の関所砦に三百もの人間を宿泊させる施設がない事くらい分かっている」
「商人や流れの冒険者を追い出せばどうにかできるのですが、それでは関所砦を維持する金と素材を失ってしまう事になります。
どうかお許しください」
「だいじょうぶ、大丈夫。
途中で襲ってきた、どこぞの侯爵の手先だから、喰い殺されても気にしない」
「護衛の冒険者だけでしたら、雑魚寝でよければ何とかなりますが?」
「彼らなら大丈夫。
家とエノー伯爵家のダンジョンで、白金級階層まで潜れる冒険者が指揮しているから、砦の外でも熟睡できるから」
「え、嘘でしょう?
白金級なんて、この国にいなかったですよね?!」
「それがだ、最近我が領で生まれたのだよ、白金級が。
昨日ダンジョンアタックを成功させて、エノー女伯爵にも認められた。
これで少しはここも安心できるぞ」
「ウォオオオオ、やったぁ~
これであの子にプロポーズできるぞ!」
関所都市での射程距離から少し離れた場所で、オセール伯爵と門番の会話を耳に入れながら、俺は野営の準備をしていた。
野営とは言っても、大した準備ができる訳ではない。
特に予定外の犯罪者奴隷は、着の身着のままだ。
少しでも夜の寒さに耐えられるように、枯れ枝を集めて火をおこすくらいだ。
「みゃあああ」
今日のサクラはドライフードが食べたいようだ。
サクラの身体によくて、美味しく食べてくれたら一番助かるのが、俗に言うカリカリ、ドライフードだ。
十日ほどダンジョンに潜り続けた時に、サクラが欲しがりそうな物は手当たり次第買ってある。
牛乳パック入りチキン味400g12個=5545円
牛乳パック入りまぐろ節味400g12個=5747円
牛乳パック入りかつお節味400g12個=5890円
念のために買っておいた他メーカーのカリカリも出してあげる。
ネットにはカリカリについて色々な評判やランキングが乗っていた。
それこそ獣医さんなどの識者の書いたランキングもあった。
外資系企業や愛猫家の作った商品を推奨していた。
だが俺は、信頼できる知人が勤めていて、猫だけでなく人間も試食していると言う、信頼と実績の超優良日本企業の商品を選ぶ事にしている。
贅沢素材バラエティまぐろ・かつお・白身魚味1・1㎏8袋=9498円
贅沢素材バラエティ毛玉ケア1・1㎏8袋=9498円
贅沢素材バラエティ吐き戻し軽減フードまぐろ・かつお・白身魚味1㎏8袋=9498円
贅沢うまみ仕立て食事の吐き戻し軽減フードお魚づくし800g8袋=7216円
贅沢うまみ仕立てお魚・お肉・野菜入り1・5㎏6袋=7198円
白身魚1・5kg6袋=7198円
ありがたい事に、封を開けてもパントリーに保管すると時間が流れない。
サクラが食べ残した物も、鮮度を保って再保管できる。
ただ、使い残しは兎も角、食べ残しをまた出すのは何か嫌だった。
そこで俺とサクラは、食べ残しを撒餌にしていた。
遠隔魔術で狩りたい猛獣や魔獣を追い立てるのも良いが、それでは魔力を使う。
魔力はどれだけ使っても全く使って気がしないが、何時何が有るか分からない。
その時のために、食べ残しが徐々に増えている。
「ショウ様、おねがいがあるの」
女子供の中でも最年少の女の子が話しかけてきた。
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