地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全

文字の大きさ
65 / 82
第二章

第65話:休日

しおりを挟む
「ミャアアアアオン」

 朝からサクラが甘えてくる。
 賢いサクラはひと段落ついた事を理解してくれている。
 だから今まで我慢していた遊びを要求してきた。

 サクラの全身を異世界ネットスーパーで買った馬用ブラシで整えてあげる。
 本当は猫専用のブラシを使ってあげたいのだが、重種馬以上の大きくなったサクラでは、猫用ブラシは小さ過ぎる。

 魔術で回復や快復が可能性になったとはいえ、皮膚を刺激して血流を促進させ新陳代謝を良くするのは、サクラの健康維持には欠かせないと思っている。
 いや、そんな建前よりも、サクラが気持ち様さそうにする姿が見たい。

 毛玉ができないようにしてあげる。
 被毛の汚れを落としてあげる。
 皮膚を清潔に保ってあげる。

 そうしておけば、グルーミング時に飲み込む被毛の量を少なくできる。
 吐き出さなければいけない被毛の量を減らせれば、サクラが苦しまずにすむ
 
「グルグルグルグル」

 サクラがうれしそうに喉を鳴らしてくれると、俺もうれしくなる。 
 首から背中、尻尾の方に流してブラッシングすると喜んでくれる。
 尻尾の付け根を重点的にやると、更に喜んでくれる。

 背中に満足すると頭を擦りつけてくるから、額の辺りを優しくする。
 額に満足すると、お腹を見せてくれる。
 弱点のお腹は、強くなり過ぎないように気を付けなければいけない。

 脚は余り触られたくないようなので、さらっと終わらせる。
 もう大丈夫かなと思っても、もう一度背中や額をやれと身体を擦りつけてくるので、いつの間にか結構な時間がたっている。

 サクラのお世話は単なるブラッシングだけでは終わらない。
 最後に肉球にケガをしていないかチェックしなければいけない。
 全身全霊の力を使って肉球プニプニをしなければいけない。

 ブラッシングが終わったら朝飯の準備。
 手を抜いた事などないけれど、最近は俺が出した物を素直に食べてくれていた。

 だが今日は、珍しく出した物をイヤイヤした。
 時間に余裕があるから我儘を言っても良いと分かっているのだ。
 こう言う、忙しい時は気を使い、時間のある時に甘える性格も可愛い。

 地球にいた頃は、カロリーの与え過ぎには注意しなければいけなかった。
 特にシニアになってからは、脂肪の多い肉は欲しがってもあげられなかった。

 だが今は、好きな物を好きなだけ食べさせてあげられる。
 深層で狩ったボア系がドロップしたロース肉も、脂身を取らずにあげられる。

 今のサクラなら寄生虫など心配いらないと思うが、念のためにローストボアにしておいた塊肉にする。

 食感を愉しむためのカリカリを塗した上から液状キャットフードをかけてあげる。
 美味しそうに食べるサクラを見ていると、俺もうれしくなってくる。

 サクラが美味しそうに食べている間に、俺も同じローストボアを食べる。
 最近は婚約者になったカミーユと食べる事が多かったが、今日はまだダンジョンから戻っていないので、朝食の相手をする必要がない。

 昨晩食べ過ぎた菓子パン分のカロリーを消化するのに必死なのだろう。
 魔術が使えるなら、必要もない魔術を連発するだけでカロリーを消費できるのだが、可哀想に、カミーユに魔術の才能はない。

 回復系の魔術で自分のケガを治す時は、身体に蓄えてありタンパク質や脂肪、各種栄養素を使うので、それでカロリーを消費する事もできる。

 だが、幾ら痩せるためとはいえ、わざとケガをしろとは言えない。
 いや、もしこの方法が知れ渡ってしまったら、女性の中には進んでケガをする人がいるかもしれないので、怖くて教えられない。

「ミャアアアアオン」

 サクラがもっと食べたいと身体をすり寄せてくる。
 五十キロのボア系ロース肉を食べても物足らないようだ。
 いや、これから使うカロリーを食べ貯めておきたいのだろう。

「レバーが食べたいのか?
 レバーは食べ過ぎるとビタミンA過剰摂取症になるぞ?」

「ミャ、ミャ、ミャ、ミャン」

 そんな病気になるほど馬鹿じゃないと反論されてしまいまった。
 タンパク質過剰摂取症とか腎臓病とか、各種栄養素も食べ過ぎると病気になってしまうが、サクラがそんなドジを踏むことはないな。

 カミーユやポルトスならありえるが、サクラに限ってはありえない。
 だから、魔境で狩ったベア系魔獣のレバーをドンと出してやれる。
 パントリーに保存しておいたから、寄生虫も病原菌もいないはずだ。

「ミャアアアアオン」

 満腹になったサクラがダンジョンに行こうと誘ってくる。

「ちょっとだけ待ってくれ。
 軍の連中に城塞都市から出ないように命じてくる」

 多くの捕虜を兵士にした。
 彼らには毎日城塞都市外に造った平野で素振りをさせている。

 今日も素振りさせる予定だったが、サクラと俺がいない状態でやらせると、敵対している近隣領主軍や魔獣がやってきた時に殺されてしまう。

 万が一にもそんな事になったら胸が痛むので、城塞都市外訓練は中止させた。
 その代わり、城壁高層マンション内での個人訓練や、城壁の天辺にある歩廊での部隊訓練を命じた。

 城壁高層マンションの個室だと、個人の素振りしかできない。
 だが歩廊にはそこそこの幅と長大な距離がある。
 百人隊くらいなら部隊規模で素振り練習ができる。
 
「待たせたね、行こうか」

「ミャアアアアオン」

 最低限の準備が終わってからナミュールダンジョンに潜った
 一般的なダンジョンだと聞いているが、まだ誰も最下層まで潜っていない。
 少なくとも全ナミュール侯爵時代には、銀片級冒険者しかいなかった。

「今日はどこまで潜る気だい?」

「ミャ、ミャ、ミャ、ミャ」

「最後まで行くって、それは幾らなんでも遣り過ぎじゃないか?」

「ミャ、ミャン、ミャン、ミャ、ミャン」

「わかったよ、最近は十分遊んであげていなかったから、今日はサクラが満足するまで遊んであげるよ」

 さて、どこまで潜る事になるのやら。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...