転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全

文字の大きさ
41 / 91
第四章

第41話:奴隷売買四

しおりを挟む
 全ての客が帰る翌日まで待って、性奴隷に落とされた女性達に事情をはなした。
 その時までに、この街にある売春宿の全てを制圧してあった。
 あまりの怒りに、もう力を制限する気など毛頭なかった。
 少なくともこの街にいる間は、魔力を惜しむことはない。
 この街を繁栄させているが、同時に女子供に地獄の苦しみを与えている悪党共は、一気に滅ぼすことにしたのだ。

「今まで貴方達を苦しめてきた連中は、このように無力な状態にしている。
 今までやられてきたことの復讐を、思う存分やればいい。
 この通り、奴隷契約書は無効にしてある、もう貴方達は自由だ」

 俺はそう言って奴隷契約が無効になった証文を見せた。
 この街を預かる代官や役人が、悪党共と結託して女子供に結ばせた契約だ。
 いや、代官や役人も悪党だから、一緒に悪党共と表現すべきだろう。
 今は領主に報告されないように苦痛地獄にだけ落としているが、後でこの人達の自由にできるように連れてこよう。
 経絡を突いて痛覚だけを亢進させて、視覚も聴覚も臭覚も味覚も奪っているし、筋力も十分の一にまで低下させているから、女子供でも簡単に勝てる。

「家に帰るなら私の仲間に護衛させて送り届けさせよう。
 新たな街で一から生きていきたいのなら、知り合いが領主をしている、クレイヴン城伯の領都にまで送り届けさせる。
 そこには俺が領主からもらった屋敷があるから、安心して暮らすことができる。
 家に帰るのが嫌で、クレイヴン城伯領に行くのも嫌なら、俺の仲間にずっと護ってもらう方法もあるが、その場合は住む家がダンジョンか魔境の近くに限定される。
 俺の仲間は魔獣専門の猟師だから、それ以外の仕事では生きていけないからな」

 これから莫大な金を配るが、その金を醜く奪い合って被害者同士が争うような事だけは避けたい。
 これだけは毎回細心の注意を払っている。
 同時に、あまりに不幸な記憶を刻み込まれて心が壊れた女子供には、意識体ドッペルゲンガーにマンツーマンで世話をさせなければいけない。

 すでに殺されてしまっている不幸な女子供の家族を確認して、善良な人達なら見舞金を渡したいし、女子供を売って利を得たような家族なら、それ以上不幸な女子供が生まれないようにしなければいけない。
 それだけの事を行うのに必要な意識体ドッペルゲンガーは創り出している。
 後は目の前にいる悪党共を、被害者の女子供に処分させるだけだ。

「私は家に帰らずクレイヴン城伯領に行かせてもらいます。
 私を売った金で酒を買うような父親のもとには帰りたくはありません」

「私は人知れず静かにくらしたい……もう誰とも関わり合いになりたくない……」

 色々な考えの女子供がいるが、傷の大きな女子供ほど記憶を消した部分が多いから、意識体ドッペルゲンガーに世話をさせなければいけない。
 後の事は意識体ドッペルゲンガーに任せて、次の場所に向かおう。
 そこも一刻を争う状態になっている。

「では、後は好きにしてくれ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~

いとうヒンジ
ファンタジー
 ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。  理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。  パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。  友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。  その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。  カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。  キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。  最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。 そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。 【第二章】 原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。 原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。

処理中です...