婚約破棄追放された元聖女は、王太子たちに監視されています。

克全

文字の大きさ
6 / 14
第一章

第6話:懲罰・忍者頭キャスバル視点

しおりを挟む
 ラムダフォード王国は未曽有の混乱に見舞われている。
 民から慕われていた聖女アリスが追放され、追放した王太子たちの悪行が表に出たにもかかわらず、国王や重臣たちが我が子可愛さに悪行を隠蔽しようとしたのだ。
 それに堪忍袋の緒が切れたスミス公爵が王都から出ていかれ、領都到着後にラムダフォード王国からの分離独立を宣言されたのだ。

 ラムダフォード王国の大黒柱だったスミス公爵が国を見限った影響は、愚かな国王や重臣、色餓鬼の王太子一派の想像を絶するモノだった。
 国外的な影響は、侵略の好機ととらえた国境を接する国々が、軍隊を動員して侵攻の機会をうかがっている。

 国内的な影響は、不正を働いて財をなした政商以外の商人は、家財を処分してスミス公爵領に逃げ出した。
 政商がスミス公爵領に逃げこまないのは、悪事を働いて国財を盗んだ自分たちが許されない事を、よく承知しているからだ。
 政商たちはこの国を見限って、隣国を引き入れる準備をして国に残るか、隣国に逃げ出して安全を確保するかの二択だった。

 まあ、そんな事はどうでもいい事だ。
 愚者や悪人が滅ぶのは当然の事で、目くじら立てるような事ではない。
 問題は、色餓鬼どもが聖女アリスに八つ当たりしようとしている事だ。
 これだけは絶対に防がないと、この国どころか大陸が滅んでしまう。
 いや、神様の虫の居所が悪ければ、人類が滅ぼされるかもしれないのだ。
 断じて色餓鬼どもの愚行は止めなければならない。

 その為に用意したのが、我が家秘伝の猛毒だ。
 猛毒とはいっても命を奪う毒ではなく、王侯貴族としての栄誉を奪う毒だ。
 この毒は身体の突起部を腐らせる毒で、冒された者は気が狂うほどの激痛に苦しめられながら、鼻、耳・性器・指などの突起部が腐り落ちるのだ。
 下賤な貧民の病といわれる梅毒によく似た、鼻が欠けるという症状が現れるため、この毒を受けた者は社交界から追放されるのだ。

 昨日その家伝の毒を、高価な酒に混ぜんて王太子一派に飲ませた。
 親たちに厳しく叱責され、遊興費も自由な行動も禁止されていた連中は、俺からの差し入れを疑う事なく飲んだ。
 それは家に送り込んでいる密偵の知らせで間違いない。
 これで奴らが逆恨みで準備していた刺客が放たれる事はないだろう。
 そう思う心のどこかで、気を緩めるなと警鐘ならす者がいる。

 俺の心の中にいる誰かが、大切な事を見逃している訴えている。
 それが何なのかは分からないが、何かを見逃しているのは確かだ。
 普通の事なら、自分を鍛えるために時間をかけても考えるのだが、事が人類に滅亡にまで関係するので、ここは正直に父上に相談すべきだろう。
 一番大切な事は、この国の事ではなく、人類を滅ぼさせない事であり、その為に聖女アリスを護る事なのだ。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした

由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。 無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。 再び招かれたのは、かつて母を追放した国。 礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。 これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

婚約破棄&追放コンボを決められた悪役令嬢ですが、前世の園芸知識と植物魔法で辺境を開拓したら、領地経営が楽しすぎる!

黒崎隼人
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王太子から婚約破棄と追放を告げられた公爵令嬢イザベラ。 身に覚えのない罪を着せられ、送られた先は「枯れ谷」と呼ばれる痩せ果てた辺境の地だった。 絶望の淵で彼女が思い出したのは、「園芸」を愛した前世の記憶。 その瞬間、あらゆる植物を意のままに操る【植物魔法】が覚醒する。 前世の知識と魔法の融合。 それは、不毛の大地を緑豊かな楽園へと変える奇跡の始まりだった。 堆肥作りから始まり、水脈を発見し、見たこともない作物を育てる。 彼女の起こす奇跡は、生きる希望を失っていた領民たちの心に光を灯し、やがて「枯れ谷の聖女」という噂が国中に広まっていく。 一方、イザベラを追放した王国は、天候不順、食糧難、そして謎の疫病に蝕まれ、崩壊の一途を辿っていた。 偽りの聖女は何の力も発揮せず、無能な王太子はただ狼狽えるばかり。 そんな彼らが最後に希望を託したのは、かつて自分たちが罪を着せて追放した、一人の「悪役令嬢」だった――。 これは、絶望から這い上がり、大切な場所と人々を見つけ、幸せを掴み取る少女の、痛快な逆転譚。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

『冷酷な悪役令嬢』と婚約破棄されましたが、追放先の辺境で領地経営を始めたら、いつの間にか伝説の女領主になっていました。

黒崎隼人
ファンタジー
「君のような冷たい女とは、もう一緒にいられない」 政略結婚した王太子に、そう告げられ一方的に離婚された悪役令嬢クラリス。聖女を新たな妃に迎えたいがための、理不尽な追放劇だった。 だが、彼女は涙ひとつ見せない。その胸に宿るのは、屈辱と、そして確固たる決意。 「結構ですわ。ならば見せてあげましょう。あなた方が捨てた女の、本当の価値を」 追放された先は、父亡き後の荒れ果てた辺境領地。腐敗した役人、飢える民、乾いた大地。絶望的な状況から、彼女の真の物語は始まる。 経営学、剣術、リーダーシップ――完璧すぎると疎まれたその才能のすべてを武器に、クラリスは民のため、己の誇りのために立ち上がる。 これは、悪役令嬢の汚名を着せられた一人の女性が、自らの手で運命を切り拓き、やがて伝説の“改革者”と呼ばれるまでの、華麗なる逆転の物語。

処理中です...