美人な姉と『じゃない方』の私

LIN

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じゃない方の私

じゃない方の私

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私はいつも『じゃない方』だった。

私はサキ。3つ離れた姉エリとの四人家族の末っ子として育った。

社交的で美人な姉はいつも周りの注目の的で、私は『美人じゃない方』『社交的じゃない方』陰でそう呼ばれていた。


両親は私たち二人に愛情を注いでくれていたと思う。

でも、姉を見る目の方が優しかったし、姉の方によく話しかけていた。外食も外出も、いつも姉の意見が優先された。


小さい頃は泣いて自分の意見を通してもらおうとしたけど、母はいつもの言葉で私を嗜めた。

「ワガママ言わないの。お姉ちゃんを見習いなさい。次はサキの行きたいところに連れて行ってあげるから」

『次がある』からと許してしまう魔法の言葉。だけど、その『次』は一度も来なかった。


「サキちゃんのお姉ちゃんすごい綺麗だね」

「サキちゃんのお姉ちゃん優しいし楽しいし、あんなお姉ちゃんがいて羨ましいなぁ」

小学生の時に友達に何回も言われて、私は姉の事を自慢に思っていた。

友達を家に呼んだ時に姉がいて、みんなでよく一緒に遊んだ。

それから友達はみんな姉を好きになって「エリさん」「エリちゃん」って姉を呼ぶようになって、姉にばかり話しかける様になっていった。

「今日はエリちゃんいないの?残念だな…」

私と遊ぶ約束をして家に来たのに、そう言って少しつまらなそうにして、友達はいつもより早く家に帰っていった。

(私の友達なのに…お姉ちゃんに取られちゃう…)

私はそう思って、悲しくなった。


妹の私から見ても姉はキレイだと思う。優しいし、いつも友達に囲まれている。

「キレイで優しいなお姉ちゃんがいてよかったね」

近所の人達にもよくそう言って話しかけられた。

私は姉が怒鳴ったり、怒ったりしたところも見たことがない。いつも優しい自慢の姉だった。


姉はいつも可愛い服を着ていた。

姉に憧れていた私は同じ物が欲しいと両親に強請ったけど、いつも買って貰えなかった。

「サキ前にこれ欲しがってたでしょ?あげるよ」

そんな私にいつも服をくれる優しい姉。そして、それを見て両親は言うんだ。

「サキ良かったね。ちゃんとお姉ちゃんにお礼言わなきゃ。お姉ちゃんには新しい服を買ってあげなきゃね。今度買い物に行こうね?」

「私も新しい服欲しい!」

私がそう言うと、母は決まって言った。

「お姉ちゃんから貰ったでしょう?お姉ちゃんはサキにあげたから服がなくなっちゃったの。だから買いに行くのよ。それにお姉ちゃんのほうが大きいから、サキも着れるでしょう?サキの服はお姉ちゃん着れないのよ?」

(それはそうなんだけど…私だって新しい服を着たいのに…)

姉はいつも新しい服を着て、私はお下がりばかり。両親が私に服を買ってくれるのは、年に数回だった。

姉の服を着たら、私も姉みたいになれる気がして嬉しかった。だけど、私も新しい服が欲しかったんだ。
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