100 / 192
32.恋愛進化論
1.脱肉体
しおりを挟む
「そう言えば、大学の友達に面白い考えをする子がいるよ」
急に話題を変えた島根は、何やら思い出して笑みを浮かべた。
「その子、恋多き女の子なんだけど、ある時ね、ボーイフレンドとの約束をダブルブッキングしちゃって、その時間配分に四苦八苦していたんだ。
だから、1人の彼氏に絞ったら? 普通沢山の恋人がいるっておかしいことでしょ?って言ったんだけど、彼女は言うんだ。
『どうして? 1人しか愛せないなんて、了見狭いって思わない?』だって。
俺が、普通は1対1でしょ?って言ったら、『誰かを好きになったら、普通他の人は嫌いってことでしょ? それって排他的すぎないかな。
私はこの人はいい人だって思えたら、誰でもいつでも好きになれちゃう、当然同時にね』だって。有紀ちゃん、どう思う?」
「え? 絶対おかしいですよ、何人も同時になんてありえないです」
「だよね、俺もそう言ったんだけど、彼女からしてみたら、俺の方が遅れているらしいんだよ」
コーヒーを一口飲んだ島根は、彼女の言葉を丁寧な口調で淡々と話す。
「彼女の理論だと、何人もの人を同時に愛せる自分は、博愛に満ちているんだって、多少冗談交じりに言っていたけどね」
「なるほどー」
有紀子は興味無さげにそう答え、続きを聞く。
「彼女には恋愛進化論て持論があって、1人に永遠の愛を誓うって思想が古いんだってさ。
言うんだよ、『整形だってもう当たり前だし、漫画やアニメのキャラに恋い焦がれるのだって当たり前。ネカマだっていて、それを分かっていて、その人が操るアバターに恋をすることもある』って言ってて、『その内、恋愛シュミレーションゲームのAIもどんどん高度になって、いつか本当に恋愛をするようになる』だってさ。
まさかって思ったけど、よくよく考えたら、立体映像はもう実用化されているし、受け答えできるロボットやキャラだっているんだから、あながち空想とは言えないよね。
それでさ、彼女、もうすぐ恋愛対象が人ですら無い時代が来るって言ってた」
「男女も超えますか?」
有紀子がそう言うと、彩絵が吹きだして少し萌える。
島根が答えた。
「超えるんじゃない? 彼女、なんか脱肉体とかなんとか言っていたし」
「脱肉体?」
「うん、人類は動物からかけ離れて進化してしまって、もはや自然の生き物とは違う次元に来ているから、もう自然に任せて繁殖しなくても繁栄できる圧倒的な力があるんだよ。
しいて言えば、病原体や気候変動が敵だよね、あとは老化とか。全部科学と医学で乗り越えていくよ、進化だってもう科学を使って人為的に出来る時代に入るしね」
有紀子には全く理解できなかった。
急に話題を変えた島根は、何やら思い出して笑みを浮かべた。
「その子、恋多き女の子なんだけど、ある時ね、ボーイフレンドとの約束をダブルブッキングしちゃって、その時間配分に四苦八苦していたんだ。
だから、1人の彼氏に絞ったら? 普通沢山の恋人がいるっておかしいことでしょ?って言ったんだけど、彼女は言うんだ。
『どうして? 1人しか愛せないなんて、了見狭いって思わない?』だって。
俺が、普通は1対1でしょ?って言ったら、『誰かを好きになったら、普通他の人は嫌いってことでしょ? それって排他的すぎないかな。
私はこの人はいい人だって思えたら、誰でもいつでも好きになれちゃう、当然同時にね』だって。有紀ちゃん、どう思う?」
「え? 絶対おかしいですよ、何人も同時になんてありえないです」
「だよね、俺もそう言ったんだけど、彼女からしてみたら、俺の方が遅れているらしいんだよ」
コーヒーを一口飲んだ島根は、彼女の言葉を丁寧な口調で淡々と話す。
「彼女の理論だと、何人もの人を同時に愛せる自分は、博愛に満ちているんだって、多少冗談交じりに言っていたけどね」
「なるほどー」
有紀子は興味無さげにそう答え、続きを聞く。
「彼女には恋愛進化論て持論があって、1人に永遠の愛を誓うって思想が古いんだってさ。
言うんだよ、『整形だってもう当たり前だし、漫画やアニメのキャラに恋い焦がれるのだって当たり前。ネカマだっていて、それを分かっていて、その人が操るアバターに恋をすることもある』って言ってて、『その内、恋愛シュミレーションゲームのAIもどんどん高度になって、いつか本当に恋愛をするようになる』だってさ。
まさかって思ったけど、よくよく考えたら、立体映像はもう実用化されているし、受け答えできるロボットやキャラだっているんだから、あながち空想とは言えないよね。
それでさ、彼女、もうすぐ恋愛対象が人ですら無い時代が来るって言ってた」
「男女も超えますか?」
有紀子がそう言うと、彩絵が吹きだして少し萌える。
島根が答えた。
「超えるんじゃない? 彼女、なんか脱肉体とかなんとか言っていたし」
「脱肉体?」
「うん、人類は動物からかけ離れて進化してしまって、もはや自然の生き物とは違う次元に来ているから、もう自然に任せて繁殖しなくても繁栄できる圧倒的な力があるんだよ。
しいて言えば、病原体や気候変動が敵だよね、あとは老化とか。全部科学と医学で乗り越えていくよ、進化だってもう科学を使って人為的に出来る時代に入るしね」
有紀子には全く理解できなかった。
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜
矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。
王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。
『…本当にすまない、ジュンリヤ』
『謝らないで、覚悟はできています』
敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。
――たった三年間の別れ…。
三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。
『王妃様、シャンナアンナと申します』
もう私の居場所はなくなっていた…。
※設定はゆるいです。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
某国王家の結婚事情
小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。
侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。
王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。
しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。
幸せな番が微笑みながら願うこと
矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。
まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。
だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。
竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。
※設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる