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43.伝えたいこと
2.失恋
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「なんか、篠原さんといると落ち着く」
ホッと一息ついた陸君はそう言って、自分のココアを眺めながら続ける。
「僕、篠原さんのことが好きだったらよかった。
ほら、前に篠原さんの曾おばあちゃんに彼氏だって勘違いされたことあったじゃん?
篠原さんと遊んでいる時、いつもそう思うんだよ」
何で? 何でそんなこと言うの? なんか嬉しい気持ちもあるけど、今好きじゃないってことだよね。
私は陸君の瞳に視線を向けて、息がつまった。
何でそんな笑顔を見せるの? 絹が裂かれるようなつらそうな笑顔。
私は黙って話を聞いた。
「……僕さぁ、実は加奈に告白したんだよね」
「告白?」
「うん、僕と加奈が付き合っているって思っている人多いみたいだけど、実は付き合っていないんだ」
ビックリした。ずっと相思相愛だったのかと思ってた。ん? でもなんでケンカしてんの? 渡辺さんが原因って噂もあったけど、あれは絶対違う。陸君は二股なんてしないもん。
私が黙っていると、陸君が言葉を続けた。
「あっさりフラれちゃってさ。全然想定してなかったんだ、フラれるなんて。
向こうも僕のこと好きだって思ってくれてると思っていたんだけどね。
すごく後悔した。友達のままでいればよかったって。あのままで十分満足していればよかったのに、望みすぎたんだよね、きっと」
何でだろう。なら、そのまま友達同士で付き合えばいいのに、今の私みたいに。何で喧嘩別れみたいになったんだろう。だって、村上さんすごく怒ってるみたいだし。訊こうかな? やめとこうかな?
「村上さんのことまだ好きなんだね」
私がそう言ったら、陸君触れるだけで壊れてしまいそうなほどすごい薄いガラス細工みたいな表情をした。
「知恵はいい子なんだ……。知恵はさ、とても傷つきやすくて、人の傷まで自分の傷のように思う子なんだよ。
何するわけでも無いのにいつもそばにいてくれて、一緒に楽しんでくれるんだ」
遊んでいるような子に見えるけど、そんなことないんだね。でも、そんなこと私にも出来る。なのに出来なかった。すごく悔しい。自分が情けない。
これが私の性格だ。好きな男子とはいい友達。友達以上だけど、友達は友達。だから落ち着くんだ。陸君は屈託のない笑顔を見せてくれる。
草原にある1本の木の下で涼んでいると、優しく照らしてくれる木漏れ日のような笑顔に、私は自分の殻が破れなくて、微笑み返す。
何で坂本知恵となんか付き合っているのか問い詰めたかったけど、もういいや。すごくつらかったんだね、失恋の痛みが。告白もしていない私だってつらいんだもん。伝えてフラれたらつらいのは当たり前だよね。
そうか、彼女は男子の心の傷を癒すのが得意なのかな? はたから見てるとイヤラシイ女に見えるけど、ムカついてしまうのは、ああなれない私たちの嫉妬なのかも。
なんかずいぶん穏やかだ。こういう時、私こうしちゃうんだね。心は痛いのに、穏やかにしちゃうんだ。
ヤバい、なんか泣けてきた。
陸君に「ごめん」て言われて余計泣けてきた。テーブルの上で手を握られて、余計に余計に泣けてきた。
ホッと一息ついた陸君はそう言って、自分のココアを眺めながら続ける。
「僕、篠原さんのことが好きだったらよかった。
ほら、前に篠原さんの曾おばあちゃんに彼氏だって勘違いされたことあったじゃん?
篠原さんと遊んでいる時、いつもそう思うんだよ」
何で? 何でそんなこと言うの? なんか嬉しい気持ちもあるけど、今好きじゃないってことだよね。
私は陸君の瞳に視線を向けて、息がつまった。
何でそんな笑顔を見せるの? 絹が裂かれるようなつらそうな笑顔。
私は黙って話を聞いた。
「……僕さぁ、実は加奈に告白したんだよね」
「告白?」
「うん、僕と加奈が付き合っているって思っている人多いみたいだけど、実は付き合っていないんだ」
ビックリした。ずっと相思相愛だったのかと思ってた。ん? でもなんでケンカしてんの? 渡辺さんが原因って噂もあったけど、あれは絶対違う。陸君は二股なんてしないもん。
私が黙っていると、陸君が言葉を続けた。
「あっさりフラれちゃってさ。全然想定してなかったんだ、フラれるなんて。
向こうも僕のこと好きだって思ってくれてると思っていたんだけどね。
すごく後悔した。友達のままでいればよかったって。あのままで十分満足していればよかったのに、望みすぎたんだよね、きっと」
何でだろう。なら、そのまま友達同士で付き合えばいいのに、今の私みたいに。何で喧嘩別れみたいになったんだろう。だって、村上さんすごく怒ってるみたいだし。訊こうかな? やめとこうかな?
「村上さんのことまだ好きなんだね」
私がそう言ったら、陸君触れるだけで壊れてしまいそうなほどすごい薄いガラス細工みたいな表情をした。
「知恵はいい子なんだ……。知恵はさ、とても傷つきやすくて、人の傷まで自分の傷のように思う子なんだよ。
何するわけでも無いのにいつもそばにいてくれて、一緒に楽しんでくれるんだ」
遊んでいるような子に見えるけど、そんなことないんだね。でも、そんなこと私にも出来る。なのに出来なかった。すごく悔しい。自分が情けない。
これが私の性格だ。好きな男子とはいい友達。友達以上だけど、友達は友達。だから落ち着くんだ。陸君は屈託のない笑顔を見せてくれる。
草原にある1本の木の下で涼んでいると、優しく照らしてくれる木漏れ日のような笑顔に、私は自分の殻が破れなくて、微笑み返す。
何で坂本知恵となんか付き合っているのか問い詰めたかったけど、もういいや。すごくつらかったんだね、失恋の痛みが。告白もしていない私だってつらいんだもん。伝えてフラれたらつらいのは当たり前だよね。
そうか、彼女は男子の心の傷を癒すのが得意なのかな? はたから見てるとイヤラシイ女に見えるけど、ムカついてしまうのは、ああなれない私たちの嫉妬なのかも。
なんかずいぶん穏やかだ。こういう時、私こうしちゃうんだね。心は痛いのに、穏やかにしちゃうんだ。
ヤバい、なんか泣けてきた。
陸君に「ごめん」て言われて余計泣けてきた。テーブルの上で手を握られて、余計に余計に泣けてきた。
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