愛するということ

緒方宗谷

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47.下準備

1.里美の秘密作戦

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 休み時間に、私(里美)は廊下を歩いている陸君を捕まえて、廊下の角っこに引っ張っていった。
「ねえ陸君、もうすぐひいちゃんのお誕生日なんだけど、一緒にプレゼントを選ぶの手伝ってくれないかな?
 ひいちゃん、とても陸君のこと気に入ってるから、陸君も選んだって言ったら、とっても喜ぶと思うの」
「いいよ、一緒に選ぼう」
 陸君はニッコリと笑ってそう言ってくれた後、安心したかのように鼻から息を吐いて言った。
「でもよかった。篠原さんまで僕と話してくれなくなるんじゃないかって、心配してたんだ」
「え? まさか! そんなことあるわけないじゃん」
 安堵する表情を見て、私は言ってあげる。
「大丈夫だよ、私は友達だから。私のこと友達以上の友達にしてね? 特別な友達だよ」
 変なことを言ってしまった。告白はしていないけど、陸君は私の気持ちを知っているはずだ。ならすんなり「好きだから」と言ってもいいのに、変にゆがんで口から出ちゃう。
「篠原さんは、何買うかもう決めてるの?」
「ううん、何がいいかなぁ?」
 ひいちゃんは、お花とニット製品が好きだから大体買うものは決めてるけど、分からないふりをした。だってその方がデートぽくって思い出になるもん。それに、陸君に選んでもらうのに価値があるから。
「じゃあ僕も考えてみる。2人で幾つか案を出して見て回ろうよ」
「うん、そうしよう」
「いつ行こうか」
 ひいちゃんの誕生日は10月30日だと伝えた。
「出来れば私、今度の日曜日がいいな」
 陸君は、目線を私から外して、少し斜め上を向いて考えいる様子だ。坂本知恵と約束があるのだろうか。
「うん、いいよ、今度の日曜は暇だから」
「やったぁ! ありがとー‼」
 最後のデート。村上さんにも内緒の計画だ。10月30日、実はこの日は私の19歳のバースデーなのだ。(アメリカ時代の関係で1年ずれている)
 陸君にプレゼントを選んでもらうの。でも陸君にも秘密。ひいちゃんのためと偽って、陸君に選んでもらうんだ。
 はぁ~! なんかジンとする! 目の奥がしゅわっとして涙が出そう。私は心の中でぴょんぴょん飛び跳ねて、漫画みたいに涙をちょちょぎらせて笑った。

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