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47.下準備
2.加奈子の裏目標
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加奈子は、「今度の日曜日に国分寺に買い物しに行こう」と有紀子に提案した。今度のマラソン大会のために新しい運動靴を買うことにしたのだ。
興味を持って楽しげに目を見開いて笑みをこぼして話を聞く有紀子に、加奈子が続ける。
「それで、靴を有紀に選んでもらいたいんだ」
「いいよー、格好良いのと可愛いのとどっちがいーい?」
「どっちでもいいよ、走りやすいやつ」
数学の授業が終わった直後に席に駆け寄ってきた加奈子の頼みを、教科書をしまう有紀子は快く承諾した。
有紀子は、加奈子が今履いている白地に波のような青いラインが2本入っている靴を思い浮かべる。新しさはないし、月のクレーターの様に表面が剥けた感じがちらほらあって、多少履き古した感はあるが、履き潰した感じではない。ちょうど良く加奈子の足と同化した感じだ。
そこで、有紀子が言った。
「でも、今履いてる運動靴で十分じゃない? ただの授業なんだし」
「有紀子が選んだ靴なら、実力以上に頑張れる気がするの」
「うふふ、そう言うことならまっかせなさーい(笑)」
加奈子は軽く伝えたし、有紀子も軽く受け止めていた。だがしかし、内心加奈子の本気度は尋常じゃなかった。
実は、1年の時も2年の時も卒業する3年の先輩たちへのお土産に、トップ10入りという目標を立てていたのだ。
おちゃらけているようで、実はマラソン大会に向けて大真面目に頑張っている。それでも陸上部の壁は厚い。部活で散々走り込んできたのに、1年の時は28位。2年の時は23位だった。
スポーツをしている加奈子はとても素敵だ。汗がキラキラ輝いていて眩しく感じる。白いTシャツと紺色のハーフズボンの体操着を着た姿も、テニスウェアを着た姿も憧れてしまう。有紀子は体育や部活で見せる加奈子の姿を思い出して、かっこいいなー、とほほ笑んだ。
3年になってから春夏の地区大会では個人で優勝、ダブルスでも優勝した。残念ながら都大会ではベスト16に入るのがやっとだったが、ここ5,6年の部の成績としては上々だ。
気分上々の加奈子は、更に魅力的になった。男の子として(笑)。当然女子中心の加奈ちゃんファンクラブまでできて、「きゃーきゃー」黄色い声援が響き渡っている。なぜか一緒にいる有紀子にも女の子のファンが付いた。
有紀子が訊いた。
「走りやすいやつ? それなら私が選ぶより、自分で履いて選ぶ方がいいよ」
「その選んだ中から有紀ちゃんが選んで。私が早く走れますようにって願いを込めて」
「分かった、そうする」
部活を引退した2人は、それぞれ家庭教師をつけて受験勉強に励んでいる。スポーツ好きの加奈子にとって、マラソン大会が高校最後の大会となる。
(今年こそはベスト10に入ってみせる)
既に心は臨戦態勢。卒業する自分へのお土産だ。加奈子は有紀子の笑顔を見て、改めて心に誓った。
興味を持って楽しげに目を見開いて笑みをこぼして話を聞く有紀子に、加奈子が続ける。
「それで、靴を有紀に選んでもらいたいんだ」
「いいよー、格好良いのと可愛いのとどっちがいーい?」
「どっちでもいいよ、走りやすいやつ」
数学の授業が終わった直後に席に駆け寄ってきた加奈子の頼みを、教科書をしまう有紀子は快く承諾した。
有紀子は、加奈子が今履いている白地に波のような青いラインが2本入っている靴を思い浮かべる。新しさはないし、月のクレーターの様に表面が剥けた感じがちらほらあって、多少履き古した感はあるが、履き潰した感じではない。ちょうど良く加奈子の足と同化した感じだ。
そこで、有紀子が言った。
「でも、今履いてる運動靴で十分じゃない? ただの授業なんだし」
「有紀子が選んだ靴なら、実力以上に頑張れる気がするの」
「うふふ、そう言うことならまっかせなさーい(笑)」
加奈子は軽く伝えたし、有紀子も軽く受け止めていた。だがしかし、内心加奈子の本気度は尋常じゃなかった。
実は、1年の時も2年の時も卒業する3年の先輩たちへのお土産に、トップ10入りという目標を立てていたのだ。
おちゃらけているようで、実はマラソン大会に向けて大真面目に頑張っている。それでも陸上部の壁は厚い。部活で散々走り込んできたのに、1年の時は28位。2年の時は23位だった。
スポーツをしている加奈子はとても素敵だ。汗がキラキラ輝いていて眩しく感じる。白いTシャツと紺色のハーフズボンの体操着を着た姿も、テニスウェアを着た姿も憧れてしまう。有紀子は体育や部活で見せる加奈子の姿を思い出して、かっこいいなー、とほほ笑んだ。
3年になってから春夏の地区大会では個人で優勝、ダブルスでも優勝した。残念ながら都大会ではベスト16に入るのがやっとだったが、ここ5,6年の部の成績としては上々だ。
気分上々の加奈子は、更に魅力的になった。男の子として(笑)。当然女子中心の加奈ちゃんファンクラブまでできて、「きゃーきゃー」黄色い声援が響き渡っている。なぜか一緒にいる有紀子にも女の子のファンが付いた。
有紀子が訊いた。
「走りやすいやつ? それなら私が選ぶより、自分で履いて選ぶ方がいいよ」
「その選んだ中から有紀ちゃんが選んで。私が早く走れますようにって願いを込めて」
「分かった、そうする」
部活を引退した2人は、それぞれ家庭教師をつけて受験勉強に励んでいる。スポーツ好きの加奈子にとって、マラソン大会が高校最後の大会となる。
(今年こそはベスト10に入ってみせる)
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