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三年生の一学期
🖼️
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前の席に座る川島茜が振り返って、申し訳なさそうに口を開く。
「修学旅行は去年行ったよ」
「うそ、なんで? わたし行ってない」奈緒が頭を勢いよくもたげて、そのまま絶句。
右斜め前に座る最前列の粂川が振り向いて、少し虚空を見る。
「体調崩して休んでなかったか? 確か」
「やっだー、もう。三年間で一番楽しみなやつなのにぃ。三回行くでしょ? 普通」
クラス中がどよめいて、「いかない、いかない」と声が上がる。
「中学の時は三回行ったわよ。京都と沖縄と北海道」奈緒は、教室を見渡して吃音気味に主張した。
「わたしのところも三回あったよ」どこからともなく援護射撃。
「宿泊学習じゃねーの?」
「にしては遠すぎねー?」
「一年で京都ってなんだよ、ふつー会津だろ」
男子の発言が続いた後、女子の誰かが「ずるいー」とやっかみの声を上げる。すると、いろいろな思い出話が入り乱れた。
そんな中、神妙な面持ちの奈緒が、一人ごちる。
「でもなんで、体調崩したんだろ? 記憶ない」
「食べすぎ」粂川が間髪入れずに教えた。
「なんか投げるものないですか?」
奈緒が何もない机の上で物を物色しながら前席の子に問うと、粂川が左手で身構える。
「やめろよ」
物を投げる素振りをする奈緒と、防御する素振りした粂川を笑う茜が、まつ毛にかかった長めのサイドバングを、頭を微かに揺らして本来の位置に戻す。
「ほら、転校するかもって話しあったでしょ? 夏休み前に」
奈緒が懐疑的な眼差しで頬を膨らませて口をつぐみ、瞬きもせず彼女の双眸を見やりながら考え込む。
🐿️成瀬奈緒🍭
🌴川島茜⛱️
作画:緒方宗谷
「修学旅行は去年行ったよ」
「うそ、なんで? わたし行ってない」奈緒が頭を勢いよくもたげて、そのまま絶句。
右斜め前に座る最前列の粂川が振り向いて、少し虚空を見る。
「体調崩して休んでなかったか? 確か」
「やっだー、もう。三年間で一番楽しみなやつなのにぃ。三回行くでしょ? 普通」
クラス中がどよめいて、「いかない、いかない」と声が上がる。
「中学の時は三回行ったわよ。京都と沖縄と北海道」奈緒は、教室を見渡して吃音気味に主張した。
「わたしのところも三回あったよ」どこからともなく援護射撃。
「宿泊学習じゃねーの?」
「にしては遠すぎねー?」
「一年で京都ってなんだよ、ふつー会津だろ」
男子の発言が続いた後、女子の誰かが「ずるいー」とやっかみの声を上げる。すると、いろいろな思い出話が入り乱れた。
そんな中、神妙な面持ちの奈緒が、一人ごちる。
「でもなんで、体調崩したんだろ? 記憶ない」
「食べすぎ」粂川が間髪入れずに教えた。
「なんか投げるものないですか?」
奈緒が何もない机の上で物を物色しながら前席の子に問うと、粂川が左手で身構える。
「やめろよ」
物を投げる素振りをする奈緒と、防御する素振りした粂川を笑う茜が、まつ毛にかかった長めのサイドバングを、頭を微かに揺らして本来の位置に戻す。
「ほら、転校するかもって話しあったでしょ? 夏休み前に」
奈緒が懐疑的な眼差しで頬を膨らませて口をつぐみ、瞬きもせず彼女の双眸を見やりながら考え込む。
🐿️成瀬奈緒🍭
🌴川島茜⛱️
作画:緒方宗谷
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